みどりのスケッチブック

いなかのくらしと身近な自然のスケッチブック。

東京日記3 ムカシノクラシ

2012年09月01日 | おでかけ
2日間の講習会を終えて、2泊目の夜は旧知の先輩の家にお泊りです。
しかし、その前に大学時代からの友人とも久々に会いました。
友人も先輩一家も久しぶりに会えてとてもうれしかったです。
もう少し長い時間一緒にいられれば良かったのですが、強行軍で予定を詰め込んでいたので泣く泣くお別れです。
次回はもっとゆっくり会いたいな。

翌日は先輩の家を出て、狙い定めていた日本民家園へ向かいました。
前々からネットで発見し、常々行きたいと思っていた場所なのです。

先輩の家からは結構時間がかかりましたがなんとか到着。
静かな住宅地を抜けると、民家園のある生田緑地が見えてきました。
受付で入園料を払い、いざ出発です!


↑入口のたてもの。

園内には所狭しと昔の家が復元されています。
復元といっても、1970年前後まで実際に使われていた建物を移築してきたものです。
ほとんどが農家のようで、豪農や庄屋さんの家だそうで、当時の一般的な農家は作りが弱く、残っているものがないそうです。
豪農や庄屋の家といっても、今の私たちの目から見るとみすぼらしいような藁ぶきの家です。
しかし細かいところに贅沢な材が使われていて200年、300年ともつものになっているのだそうです。
すぐに消えてなくなるものにお金を注ぎ込む現代の生活と違い、昔の金持ちは孫の代まで残る生活の場にお金を使ったのですね。
そんな昔の知恵の溢れた民家園はすぐに私を虜にしました。(笑)

心に残った建物を少し紹介すると・・・。


こちらは奥州街道にあった馬宿だそうです。
ボランティアの方がいて、説明もしてくれました。
入口は馬が入れるように大きくなっています。
床張りの店先はとてもきれいな作りで見ているだけでわくわく♪


ふと、あることに気が付きました。
この大きな店先には雨戸がありません。
大雨になったり、夜間には困るのではないでしょうか?
そう思ってよぅく辺りを見回すと…


あった!
雨戸発見!!
しかも、縁側の手すりの上の非常に狭いスペースです。
ここに三枚の雨戸をしまいこんで、使う時は三枚が縦一列に並んで戸締りができるのです。


くぅ~!!この小憎らしい粋な計らい!
小さなスペースを利用して最大限の効果を上げる日本の匠の技と遊び心!にくいねぇ!!
正直、めちゃめちゃ感動しました!
これだから昔の人の知恵と工夫には魅かれざるを得ないのです。


こちらは家の奥、土間が続いて厩になっています。
昔の人はここに馬をつないで泊まったのだそうです。


土間を上がるとそこには囲炉裏。
しかも、火が入っているではありませんか!


民家の保存のために、ローテーションで数件ずつ囲炉裏に火をくべているのだそうです。(午後3時半まで)
おおぅ!これぞ生きた博物館だよ!!
木を燃やす煙のにおい、火の温かさ、実際に使われていた民家の囲炉裏が、まだ絶えることなく火を入れられているという現実にまたまた感動させられてしまいました。
近所だったら確実に通うよ!東京に住んでいた頃に気が付いていれば絶対この近くに住んだのになぁ…。
今となってはどうしようもない話です。


囲炉裏のそばにはボランティアの女性が一人。
走り回る小学生にしゅろの葉で編んだバッタを作ってあげていました。


私ももらっちゃった♪
結構リアルでしょ?


年配の女性と子供と囲炉裏…なんだかじんとくるいい風景やねぇ…。

所変わってお向かいの油屋さん。


油の看板が千と千尋みたい…って、こっちがオリジナルか。


お店の勘定するところって、なんかそそられます。
板の間がイイ!


あれぇ?このお店、扉がないぞ・・・!?
そう思ってよく見たら、またしてもカラクリが!
なんと、天井にくっついてますよ!!
しかも扉つきの扉が…。
小スペースの有効活用、ここにも見たり!
ああ、ため息が出るような昔の工夫にほれぼれします。


工夫といえば、このお店敷居に切ってある木戸の溝が面白い形をしています。
写真じゃちょっと見えづらいけれど、普通なら木戸の数だけまっすぐな溝がはじからはじまであるはずですが、短い溝、中くらいの溝、端までの溝とそれぞれ長さが違います。
なんとこれ、溝を彫る時間と手間を省いてそれぞれの位置までにしか溝を掘っていないのだとか!
一見サボっただけのように見えますが、ものすごい合理的です。
しかも、これがまたクールなデザイン性を産んで、まさに用の美と昇華しているではありませんか。
民家園、すごすぎるよ…。

と、いろんなマニアックな部分に打ちのめされてしまいました。


なんか、こういう風景が懐かしくノスタルジィをそそる。
記憶があるかないかのはざまの頃に見た風景か…?


1件だけあった板葺きの家。石が乗っかってます。


多くの建物はかやぶき。
美しいねぇ…


この厚み!圧巻。


意外と軒先が低くて頭がぶつかりそうな家も。


ワイルドな合掌造りは豪雪地帯の農家さん。


威風堂々で暮らしに根付いた妖怪たちが人間と一緒に住んでそう。


合掌造りといえば、建物の一つが休憩所とレストランになっています。
ここでおそば食べた。


民家には必ず入口のすぐ横に厩があります。


昔、どれほど人々が馬を大切に扱い、愛情を込めて育てていたかがよくわかります。
昔の家は厩のにおい、煙のにおい、藁のにおい…そんなにおいであふれていたのでしょう。


どこの家にもりっぱなかまどがありました。


こちらは珍しい竹の外壁です。
真竹をたたいて割って、土壁の上から張っています。
なんだか粋ですね。


二棟がつながった民家です。
かやぶきってアジアっぽいですね。


家のつなぎ目は大きな木をくりぬいた雨どいが設置されています。
丸太のカヌーの逆バージョン。おもしろいし贅沢!


とにかく広い土間では、いったいどんな仕事がされていたのでしょうか。

非常に興味の尽きない民家園は想像以上に素敵な場所でした。
そして、その魅力はボランティアの人々の力によるところが大きいようです。
きっと地域の人々にすごく愛されているのでしょう。
毎月のように楽しそうなイベントがあって、本当に入り浸っていたい場所でした。
ああ~、もっと近けりゃいいのに!

というわけで、予想以上に満喫した民家園を後にして次なる目的地へ向かうことにしました。
しかし、変に中途半端な時間になってしまい、次の目的地へは時間内にたどり着けそうにありません。
あきらめつつも他にやることもないので一応目的地へ移動しました。

場所は東北沢から徒歩十数分。


はい、日本民芸館でございます。
見事に閉館時間を過ぎていましたが、いちおう来てみました。


こちらは西館。

せっかく来たけどしかたがない。
バーナード・リーチ展も見たかったし、民芸館のお土産物コーナーだけでも行きたかったな。
まぁ、また次の機会にね。

というわけで、あらかじめ目星をつけておいた銭湯へ。
さっぱり汗を流してから夜行バスで帰りましょう。


かなり久しぶりな東京の銭湯。
昔はたしか370円だったのに、450円になってた!高い…
しかし、小ざっぱりして雰囲気の良いお風呂でした。
湯上りはオロナミンCで。

そして〆に旧友と新宿で晩ごはん。
ベルクめっちゃおいしかったよ~。
田舎には絶対ない店だな。

そんなこんなで講習会も無事に終了、古い友達たちとも会えてほろ酔い気分でご満悦になって夜行バスに乗り込むのであった…。

「あ、お土産買うの忘れた~!!」

バスが出発してから心の中で叫んだのは秘密。
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8 コメント

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古民家 ()
2012-09-03 21:33:18
古民家だけの明治村みたいですね。
そんなとこあったんですね。
一軒一軒じっくりと隅々まで見ていきたい感じですね。
絶対座敷童子が居そうですね。

ひしゃげ竹は徳島の落合集落にもありますけどかっちょいいね。
古民家っていわゆるクールだよね。
無理だけど業を盗んで作ってやろうという気になりませんか。何時かね。

日本民藝館絶対クールです。
また何時かく~るだす。
落ち着くよね。
お土産はいらないけどここのお土産コーナーはやばいよ。

東京の研修お疲れ様でした。
実りが多い研修で良かったね。
返信する
すてきだ~ (やぶちん)
2012-09-03 23:51:23
遠くてごめん!

よいとこだね!行ってみたい!火をいれてるのが感動です。

馬は無理でもヤギさん飼えないかな~。広いお家に住みたいよお・・・。
返信する
燦さんへ (オイノコ)
2012-09-04 22:41:00
ひしゃげ竹というのですか!徳島にあるとは知りませんでした。また里山の竹利用法が一つ増えましたね。
どの家もほんとにクールでした。本気で真似したいと思いましたよ!魔法のコンパクトがあったら大工さんに変身するのに。
日本民芸館、本当はお土産物コーナーではなく、推薦工芸品売店というのだそうです。名前からしてやばいくらいクールですね。きっとそこだけで私は3時間くらいいそうです。
今度は時間に余裕を持って見に行きます!
返信する
やぶちんさんへ (オイノコ)
2012-09-04 22:42:41
めっちゃお勧めです!
感動しますよ~。イベントのある時にぜひ行ってみてください。

屋島ならヤギ飼えますぜ…。
返信する
Unknown (川越)
2012-09-06 11:46:27
茅葺き屋根は定期的に煙りでいぶさないと虫にやられるらしいです。でも中で火を使うのはなかなか許可が下りずに難しいと聞いたことがあります。茅葺き屋根は夏も暑くないし、日本にはぴったりなんでしょうけど、もう許可が下りないのは残念ですね。
返信する
川越さんへ (オイノコ)
2012-09-07 07:46:40
茅葺屋根をふき替えるのに片側だけで500万円もかかるそうです。材料を集めるのも大変だし、昔の結の力があってこその賜物だったのですね。
どちらにしろ今の時代には保存が難しい建物になってしまったというのは残念なことです。
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ちびっとだったけど (みつえもん)
2012-09-08 17:32:11
あっちゅう間だったけど
会えてよかったよ~( ´ ▽ ` )ノ

お土産に貰った硬いお菓子が大人気だった。今度遊びに行ったらあれ買って帰りたいU+2661
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みつえもんへ (オイノコ)
2012-09-09 16:48:59
アゴ壊れなかった?(笑)
店構えもかっちょいいところなので、今度こっち来たらぜひ買いに行こう!
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