劇団☆新感線「鋼鉄番長」（12月4日）

入り口前の看板。「俺が２号だ！」と叫んでいます。ということは一文字隼人ですね（古いか）。


2010年劇団☆新感線30周年興行<<秋>>豊年万作チャンピオン祭り「鋼鉄番長」

作・演出：いのうえひでのり

キャスト
兜剛鉄…三宅弘城

浅見山サツキ…坂井真紀

権田原ユカ…高田聖子
灰汁音醤太郎…粟根まこと
井尻亀吉…河野まさと

九竜伊崎教頭…右近健一
蟹江田刑事…逆木圭一郎
ゲソ子…村木よし子
業村／不良…インディ高橋
ギャルカナ…山本カナコ
与作／不良…磯野慎吾
ジャイアント吉田／不良…吉田メタル
三田リカ…中谷さとみ
沢々尻モニカ…保坂エマ
真毛校長／ネエ子…村木仁

土方夢知彦…田辺誠一
天王子天牙…古田新太



オッス！オラ、兜剛（かぶと　つよし）！！
いとしのアイドル、沢々尻モニカちゃんを不良どもから助けようとして、
瀕死の重傷を負ってしまった！！
…しかし、誰もが死んだと思ったオレは、マッドサイエンティストの手によって奇跡の復活を果たしたのだった。
鋼鉄の肉体を持つ不死身の男、兜剛鉄（かぶと　ごうてつ）として！！

オレを助けた男・暗闇警視もとい蟹江田刑事は、オレにある特殊任務を命じた。
それは「学園」の名を借りた超極悪犯罪組織・聖アンガー学園の陰謀を暴くこと。
しかも聖アンガー学園には、オレの沢々尻モニカちゃんが拉致されているというではないか！
正義のため、いとしいモニカちゃんを救うため、今、オレの単三電池が火を噴くぜ！

大事なことだからもう一度言う。オレは兜剛鉄、不死身の男だ！！



↑舞台の雰囲気を少しでも出そうと、なるだけ頑張って書いてみたんですが、どうでしょうか。
なんかわかりにくいなー、と思った方はこちらをどうぞ。


えー、ではまずはいきなり感想ですが、

最初から最後まで徹底的に面白かったです。


公式サイトにテーマは「小六魂（昭和）」とありましたが、まさにその通り！
「人間国宝」「神田正輝」などのフレッシュなネタから、
関西限定のローカルネタ（東京公演で“ちちんぷいぷい”は何に置き換えられてたんだろう）、
そしてアラフォーじゃないとわからない懐かしネタ（うしろ髪ひかれ隊なんて何十年ぶりだか）まで、
頭からしっぽまであんこぎっしり。
「これでもかー！オラオラー！」
といわんばかりの劇団の熱意が伝わってきました。

昨今の少年ジャンプにはない、ちょっぴりお下劣でパンチの利いたギャグがてんこもりの楽しい舞台は、
たとえていうなら、鳥○明や井上○彦ではなく、山上たつひこやどおくまんの、
永井豪で言えばデビルマンじゃなくてハレンチ学園のテイストです。
非実在青少年がどーたらこーたらと目くじら立ててる人なんておならぷぅ、でふっとばす勢いが感じられました。
（だからといってそれをテーマとして前面に出してるわけじゃないですが）

私の席は2階の左の端っこだったので、舞台を左斜め上から見るかっこうになってしまい、
正直スクリーンも舞台もかなり見づらかったです。今回は白っぽい映像が多かったので余計に。
それでも充分楽しめたし、北斗百裂拳ばりに次から次へと飛び出してくるネタのおかげで、
最後まで気を抜くことなく舞台に集中してたんですけどね。
第1幕が終わって休憩の幕が下りた時、「え！？もう？？」と本気で驚いてしまいましたから。

ここから先は出演者別の感想。

●三宅さん
じゅんさん演じる兜剛鉄とは違うキャラなのかもしれませんが、三宅さんの兜剛鉄も“ちょっぴりミニマムなところがかわいらしい変態ストーカー”としていい味を出してました。ただ、代役なので、三宅さんの魅力を120％引きだす役だったかというとまた別問題なのですが…次は準備万端フルスロットルの三宅さんを見に行きます！

●坂井さん
浅見山サツキのキャラだけでなく、挿入歌の「くちびるにマニュフェスト」まで、完璧なナンノのパロディありがとうございました。「恋のザッツワチャドゥ」ほどの破壊力がなかったのは残念ですが、人は成長するものですもんね。久しぶりにココリコミラクルタイプが見たくなりました。

●聖子さん
昔の学園ドラマにこういう“優等生だけど実は裏で不良をたばねてる”キャラっていそうだよなぁ…と、聖子さんを見ながらしみじみ思いました。実際に具体的な元ネタがあるのかもしれませんが、私はスクールウォーズ世代なのでわかりませんのことよ。おほほ（←威張れるほどのことではない）。

●粟根さん
“学園モノのメガネ”ということで岩清水君的なキャラを予想していたのですが、その正体（？）は、悪の組織のマッドサイエンティスト、しかも幹部から中途半端な扱いを受ける、という粟根さんにしかできなさそうな役どころでした。でもできればモニカのハンカチの匂いをかぐとか、「君のためなら死ねる！」とかやってほしかったかかな。

●河野さん
もともとは池田成志さんの役だったからなのか、初登場のシーンからは予想だにしなかった複雑な役（これってネタばれ？）、ご苦労様でした。どこまでもブレ続ける井尻のキャラに「もしかして今のもアドリブ！？」と疑ってしまう場面が何度もありました。しかしブブセラお上手ですね(笑)

●右近さん
あまりに似てるのでご本人かと思っちゃいました！しかしパンフレットの写真が舞台とまったく違うのは大人の事情なんでしょうか。私の席は舞台から遠かったので、パンフレットでじっくり確認したかったのに。残念。

●逆木さん
「チンパイ停止状態」がアドリブだったのかどうか気になります。一番ツボにはまったのはキャッツ・アイをパロったレオタード姿でした。あの格好について誰のツッコミもなかったのがまた魅力倍増。

●インディさん
リアルゴラムキター！！実写でアレができる人がいるとは思いもよりませんでした。これは是非ピーター・ジャクソンに教えないといけませんね。いよっ！日本一のゴラム役者！！

●メタルさん
染五郎状態のメタルさんを見て、「ふさふさのメタルさんなんてメタルさんじゃないやい！」と泣いて駆け出しそうになりましたが（嘘）、その後のアバターがものすごくハマっていたのでよしとします。個人的にはジャイアント吉田のガンダムまたはグフも見たかったです。そしてひとこと「ザクとは違うのだよザクとは！」と。

●エマさん
いや～、まさか新感線であの沢○エ○カがネタになるとは…。冒頭のハミ尻には度肝を抜かれました。そして後半のミスターも。近くで見られなかったのが残念でたまりません。

●村木仁さん
個人的には校長よりもネエ子のほうがツボにはまりました。「ヘアスプレー」が元ネタと思われるシーンでは、うっかりかわいいとさえ思ったし。ハナ肇ネタも懐かしくてよかったです。

●田辺さん
ドラマでも「ハンサムなのに天然ボケの残念な人」を演じることが多い田辺さんですが、ここまでやっちゃっていいんでしょうか(笑)。某J事務所のMさんがこれを見たらなんていうのかしら。歌もすごいし。ムッチの歌う「ブルージ０ンズ・ぶるーす」、カラオケに入ってたら絶対歌いますよ、私は。

●古田さん
初登場シーンで「あれ、痩せた？」と思ったらその後しっかりネタにされてました。古田さんの悪役を新感線で見るのは初めてでしたが、痩せてすっきりしたせいか、悪役らしくてかっこよかったです。動きもいつも以上にキレがあったし、まさしく「どうして僕はこう決まってしまっちゃうんだろう」状態でした。しかし天牙の口ぐせの「ナイスですね」の元ネタって…どこが小六魂や！こってこてのアダルトやんけ！！それとも、そこまで深く考えずに使うのが小六魂なのか？？


…とまあ、ここまでぐだぐだと書きましたが、一番笑ったのは舞台が始まる前に、ものすごく普通のテンションで淡々と流れる

“2010年劇団☆新感線30周年興行豊年万作チャンピオン祭り「鋼鉄番長」”

のアナウンスでした。このタイトルだけでもひねりの聞いた羞恥プレイになりかねないのに、それを華麗にクリアできるシアターBRAVA！スタッフのおねえさんのプロ意識には感動しました。じーん。

私も町内放送の「骨粗鬆症検診」で噛んでる場合じゃないわ。


というわけで今年の観劇スケジュールはこれで終了。
来年のスケジュールはまだ白紙ですが、次の新感線ではぜひ元気なじゅんさんを見たいです。
そして大人計画の舞台で三宅さんも…