Flour of Life

煩悩のおもむくままな日々を、だらだらと綴っております。

舞台「PLUTO プルートゥ」(3月9日)

2018-03-16 21:02:33 | バレエ・演劇




先週の金曜日、大阪は森ノ宮ピロティホールまで、舞台「PLUTO プルートゥ」を見に行ってきました。
なんやかんやで家に帰ったのが日曜の夜だったので、感想を書くのが遅くなりました。てへ。

森ノ宮ピロティホールに行くのは久しぶりでしたが、いつのまにか近くにショッピングモールが出来てたんですね。時の流れを感じましたが、ピロティホールの中は依然と変わりありませんでした。相変わらずトイレの個室が狭い狭い。こっちの方を先に変えてくれよ、という感じです。

トイレの話はこれくらいにして、舞台について。

ストーリーをざっと説明すると、

人間とロボットが共存する世界。世界最高水準といわれるロボットたちが次々と破壊される事件が起きる。高性能刑事ロボットのゲシヒト(大東駿介)は、謎を解くために日本に渡り、自分と同じく高性能で、限りなく人間に近いロボットのアトム(森山未來)とともに事件を追うことになる。やがて、事件の背景には5年前の中央アジア戦争で、ペルシア王国に派遣された「ボラー調査団」が関係しているらしいことが明らかになる。当時、トラキア合衆国のアレキサンダー大統領が、ペルシア王国は大量破壊ロボット兵器を隠し持っていると主張して、戦争は勃発した。その際に大量破壊兵器の存在を探るべく派遣されたのが「ボラー調査団」だった。ゲシヒトが事件の核心に近づきつつある一方、アトムの妹のウラン(土屋太鳳)は、廃墟の壁に美しい花畑を描く不思議な男と出会う。そして、その場に駆けつけたアトムの名を聞いた途端、豹変した男が口にした「プルートゥ」とは-

といった感じです。プログラムのあらすじをまとめようとしたのですが、上手く書けませんでした。気になる人は原作を読みましょう。うん、それがいい。私もそうしようかな…

内容はまとめられませんでしたが、感想はまとめられます。ひと言で言うと、

とにかくすごかった!!

です。語彙力なさすぎな気もしますが、これは衝撃のあまり私の貧相な語彙力が消し飛んでしまったと解釈してください。

私が見たのは午後7時開演の回だったのですが、特に調べもせずに「休憩をはさんで2時間半くらいかな~」と思って行ったら、なんと終演は午後10時でした。そして休憩は1回のみ。久しぶりの観劇なので、これは結構キツイかも…と始まる前は危ぶんでおりました。

…が、そんなのは私の吹越もとい取り越し苦労。不勉強な私にとっては、これまで見たことがない斬新な演出、役者の演技とダンス、そして見る人の心に訴えかけるストーリー、それらすべてが圧倒的で、第1幕も第2幕も時が経つのを忘れて舞台を見入ってしまいました。いやぁ、人間ってこんなことができるんですねぇ。すごいなぁ。ほんとすごいなぁ。というのが率直な感想です。上手く説明できないのが歯がゆいです。

主人公のアトムを演じる森山未來のパフォーマンスは、もはや説明がいらないとは思いますが、言葉による演技と身体能力を駆使したダンスで、彼の持つ表現力を最大限に発揮して、限りなく人間に近い、けれど人間ではないロボットのアトムを見事に演じていました。彼にしかできないパフォーマンス、彼にしかないエネルギーが舞台から伝わってきました。ここ最近、彼をテレビや映画で見る機会が減っているのが寂しいと思っていましたが、生の舞台でしかできないことをやっている森山未來を目の当たりにしたら、仕方ないなとあきらめる気になりました。いや、来年の大河は楽しみだけどね。本音ではいつか大河で主役をやってほしかったけどね。

ゲシヒトの妻・ヘレナと、ウランの2役を演じた土屋太鳳は、今回が初舞台だそうで。身体能力の高さとダンスの上手さが評価されている彼女ですが、とても小柄な人なので、舞台の上で存在感を出せるかな?と心配していました。まだ若い彼女が、ウランはともかくゲシヒトの妻のヘレナを演じるのはハードルが高いんじゃないかとも。しかも1人2役なんて。しかし、いざ舞台を見てみると、確かに大東駿介と比べるとかなり身長差があるものの、ヘレナは包容力のある大人の女性として輝いていたし、ウランはウランでまだ幼さの残る、優しくて勝気な女の子として瑞々しいオーラを放っていました。しかも、ヘレナとウランの出番はそれぞれにはっきり分けてあるのかと思いきや(第1幕はヘレナ、第2幕はウラン、みたいに)、太鳳ちゃんはヘレナとウランを何度も行ったり来たりしていました。顔の表情も声色もまったく違うのに、です。どうやって気持ちを切り替えてるんだろう、と感心しました。彼女がたくさんの映画やドラマを掛け持ちできる理由もわかった気がします。もっとも、健康のために、あまりハードスケジュールにならないでほしいという気持ちは変わりませんが。

ウランが躍る場面は彼女のダンス能力が発揮されてて良かったけれど、太鳳ちゃんの演技で圧巻だったのは、ゲシヒトを亡くしたヘレナが天馬博士(柄本明)の前で初めて泣く場面でした。ロボットのヘレナが、ぎこちない表情で声を振り絞りながら泣く様子からは、人間の泣く姿とは違う哀しみが伝わってきました。あまりに素晴らしかったので、太鳳ちゃんも未來君同様、舞台の世界に行ってしまうんじゃないかと思えてきましたが、さてどうでしょう。まずは海外のアクション映画に参加してほしいのですが。

ゲシヒト役の大東駿介は、多分今回が初見(前に見た記憶がない)なのですが、ゲシヒトはストーリーの細かい部分を観客に説明する役でもあるのでセリフは多いし、荒っぽい殺陣もあるしで大変な役なのに、その役割を十分に果たしていたと思います。セリフに耳慣れない単語が多いことと、私の右耳が難聴なせいで、ところどころ聞き取れないセリフもありましたが、おおむね大丈夫でした。聴覚障碍者向けに字幕があればいいのになー。これだけ視覚に訴える舞台なのに。

上の方にも書きましたが、舞台の演出は、プロジェクションマッピングを映したり漫画のようなコマ割りで空間を切り取ったり、白いパネルを動かして舞台のセットにしたり、はたまた歌舞伎の黒子のように人を担いで空を飛ばせたり、演出・振付のシディ・ラビル・シェルカウィをはじめとするスタッフのアイデアの多様さに舌を巻きました。言葉にすると陳腐(というか私の言葉が陳腐なだけか)なので、とにかく舞台を見てほしい…!って、公演が終わってから書いても仕方ないのですが。東京と大阪だけでなく、イギリスとオランダとベルギーで海外公演があったそうですが、現地で見た人たちがどんな感想を持ったのか気になりますね。俳優の演技とダンスと、舞台の演出に。

この公演を見るのを楽しみにしていたので、見終わってしまった今はとても寂しい気持ちでいっぱいですが、舞台を見る楽しさと喜びを思い出すことができたので、これからはもっと積極的に見に行こうかなと思っています。その前に軍資金を稼がないとだけど!てかその前に月末のアイスショーだけど!勢いで2日分もチケット取っちゃったからね!ひー!!(←全部ネイサンのせい)


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