Flour of Life

煩悩のおもむくままな日々を、だらだらと綴っております。

ミュージカル「ビリー・エリオット」(11月3日)

2017-11-07 01:04:11 | バレエ・演劇


11月3日、梅田芸術劇場へ、ミュージカル「ビリー・エリオット」の大阪公演を見に行ってきました。

元になった映画「リトル・ダンサー」は大好きな映画で、DVDも持っていて何度も見ているのですが、日本版ミュージカルの製作が発表されてからも、見に行くのは二の足を踏んでました。新感線や大人計画のミュージカルは好きでよく見るのですが、劇団四季とかの王道的なミュージカルにはあまり興味がなくて、おまけに子役が主役のものは見たことがないので躊躇していたのです。(オリジナルキャストの来日公演とかだったらまた違ってたかも)

が、人に勧められて、連休中の公演にすれば職場の有休を使わなくても行けることがわかったので、遅ればせながらチケットを取って見に行くことにしました。正直、S席の割にあまりいい席ではなかったのですが、休日のマチネが取れたのだからまだラッキーだったと思います。

あらすじ:「ビリー・エリオット」の舞台は、80年代イギリスの炭鉱町。炭鉱夫たちがストライキをする中、主人公の少年ビリーはたまたま参加したバレエ教室のレッスンをきっかけに、バレエの才能を開花させていく。しかし、ビリーの父親は「バレエは女がするもの」と決めつけ、ビリーの気持ちを理解しようとしない。バレエ教室のウィルキンソン先生はひそかにビリーを教え、ロンドンにあるロイヤルバレエ学校のオーディションを受けさせようとするが…

私が見た公演で、主役のビリーを演じてたのは山城力(やましろ りき)君でした。お父さん役は吉田鋼太郎。ウィルキンソン先生役は島田歌穂。マイケル役は山口れん君でした。元々この回はビリー役が未来和樹君だったのですが、未來君が降板したので山城力君が代役に立ったそうです。子役は日々成長して体が変わっていくから、長丁場の舞台は大変ですね。降りる子も、代役の子も。

というわけで、予定外のキャスト変更で、見る前は多少の不安と戸惑いがあったのですが、そんなのはまあ取り越し苦労以外のなにものでもありませんでした。

主人公のビリーはもちろん、お父さん、ウィルキンソン先生、マイケル、バレエ教室の女の子たち、それから大人になったビリー、彼らがステージから放つ熱量に圧倒されて、瞬きするのを忘れて見入ってしまい、終わる頃にはもう、なんでもっと早く見に来なかったんだろうと、ひたすら激しく後悔していました。東京公演からチェックしていたら、主役のキャストをコンプリート出来たかもしれないのに…なんて。まあ、もしそんなことしてたら私の財布はすっからかんになっちゃってましたけど。

なので、私の感想は1回の公演を見ただけのものなので、何度も見た人からはたいしたこと書いてないと思われそうですが、それでも、たった1回でも、「このミュージカルを見ることができて、本当に良かったな」と心から思いました。映画版が大好きなので、映画とミュージカルで違うところがあると気になったりもしましたが、ミュージカルにはミュージカルにしかできない表現があるので、その相違点を楽しむこともできました。映画では曖昧にぼかされていた、炭鉱夫と炭鉱町の労働問題について、残酷なほどがっつり描かれていたのも良かったです。昨今、テレビやネットで子供に厳しく大人に甘い話ばかり見聞きするので、子供(ビリー)の未来のために大人たち(父親、先生、炭鉱夫たち)が全力で支え、見返りを求めず旅立たせる物語には胸を打たれました。ほんとに、NHKの朝ドラ制作班は見習った方がええで…親が子を搾取するのをいい話っぽくまとめるのはもう期限切れやで…。

良かったところ、感動したところをひとつひとつ挙げていくと細かすぎてきりがないのでざっくり言うと、一番目が釘付けになったのは1幕の最後、オーディションに行けず、父親からバレエを反対されたビリーが怒りを爆発させて踊る「Angry Dance」でした。ここは映画でも特に好きな場面なのですが、屋外ロケだった映画の雰囲気を残しつつ、怒りと悲しみ、諦めといったビリーの複雑な感情が舞台でうまく表現されていて、見ていて鳥肌が立ちました。

それと、ミュージカルオリジナルの、ビリーとマイケルが歌い踊る場面は、マイケルのキャラが映画と少し違ってて驚きましたが、マイケル役の山口れん君がまた盛り上げ上手で、最後には「なるほどこういうのもありだな」と納得させられました。マイケルは普通に演技するだけでも難しい役なのに、歌と踊りもこなさなくてはいけないから、演じる子役たちは大変だったと思います。他のキャストのマイケルはどうだったのかなーと気になるけど、きっとみんな素晴らしかったんでしょうね。うん。

クリスマスの夜、ビリーがお父さんの前で踊る場面は、映画とだいぶ違ってましたが、大人になったビリーをここで先に登場させることで、映画もミュージカルもビリーの未来は同じ、という意味を持たせているのかもしれませんね。子供のビリーと大人のビリーが、椅子を使って並んで踊る姿は幻想的かつハイレベル過ぎて、瞬きどころか息をするのも忘れて見入ってしまいました。まあ正直、ワイヤーアクションは「いや何もそこまでやらんでも」という気がしたけど。

ロイヤルバレエ学校の試験会場で、ビリーが最後に踊る「Electricity」もよかったですが、この場面は踊るビリーを横で見つめているお父さんの背中のほうが印象に残りました。私のいた席からはお父さんの顔は見えなかったのですが、いったいどんな顔をして見てたんだろうと気になります。演じている役者の心中は、怪我をしやしないかとハラハラしてたのかもしれませんが。実際、アクロバティックな動きが多くて、私もハラハラしたし。

細かいところでツボにはまってテンションが上がったのは、ロイヤルバレエ学校の試験に行く時、ビリーが来ていたコートでした。表がキャメルで裏地がオレンジの、ナイロンのコートを見て、「ビリーのコート!映画と同じ!!」と心の中で大騒ぎしてました。あと、ビリーとマイケルのやりとりがほぼ映画と同じだったのも嬉しかったです。マイケル役の子は大変だったと思いますが。この役を演じたことが彼の財産になることを祈ってます。

ウィルキンソン先生役の島田歌穂は安定の歌とダンスでしたが、ダブルキャストのもう1人、柚希礼音の演じるウィルキンソン先生がどんなだったのかは少し気になりました。年が若い分、うらぶれた感じが薄くなるのかなとか、元宝塚男役トップだから、男勝りな感じなのかなとか…見てみたかったけど、今更詮無い話ですね。再演があれば、また別ですが。

子供が主役のミュージカルって、どんなかなー?とおっかなびっくりな気持ちもありましたが、見終わったら子供たちのみなぎるパワーに完全にノックアウトされてしまいました。すいませんでしたー、と謝りたくなるくらい。ビリーの父親たち同様、未来を担う子供たちの力を、もっと信じて、もっと支えてあげなくちゃいけないなーと、かつての子供で今は中年の身として、激しく反省しました。

しばらくミュージカルや舞台を見に行く予定はないのですが、次に行くとしたら森山未來の「PLUTO」です。土屋太鳳ちゃんも出演するので、大阪公演は絶対見に行きます。問題は、何回見に行くか…チケット代と交通費のために、今から節約しなきゃだわ!



公演終了後に撮りました。このポスターもそうだけど、マイケルが映画以上にフューチャーされてたのがよかったな~。

2 コメント

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よかったー! (あおむし)
2017-11-08 00:11:57
絶対お好きだと思ったけど、気に入っていただけてよかったです。
私は1回のつもりがキャストコンプ+大阪遠征までしてしまったので、お財布のためには遅め観劇よかったかもです(笑)。

ビリーとマイケルは(個人的な好みはあるものの)とにかく全員素晴らしくて、どの子も違うのが素敵でした。最後のマイケルのセリフもいろんな言い方があるのに、誰が正解とかではなく、それぞれの思いが詰まっていて泣けました。
…と書いているとキリがないので、あと1つだけ。
「Electricity」のお父さんに注目したもちきちさんさすが! 私は圧倒されて最初はお父さんを見る余裕ありませんでした。吉田パパはびっくりして呆然としたところから、徐々に前のめりに。益岡パパは顔をくしゃくしゃにして頷きながら見つめていて、もうほんとにどれだけ泣かされたか…。ビリーを見守る父親と、子役たちを見守る俳優の気持ちが重なっていたんだろうなと思います。
そしてもう1つ(まだか)、もちきちさんの回はKバレエの栗山さんが演じていたオールダービリーのWキャスト、大貫勇輔さんが超素敵だったので、機会があったら彼の舞台も見てみてくださいね。

舞台レポでこのブログを知ってハマったので、好きな演目のレポートを読めてうれしかったです。
やっぱり注目ポイントとか、言葉の選び方とか好きだなぁと改めて。
ありがとうございました!
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DVD出ないかな~? (もちきち)
2017-11-08 18:01:23
>あおむしさん
こんばんは。コメントありがとうございます!
あおむしさんのおかげで、すばらしい体験をすることができました。
このミュージカルをスルーしようとしていた自分を、過去にさかのぼってハリセンでしばいてやりたいくらいです。

私は映画版でもビリーのお父さんが好きで、スト破りをした後の「あの子には未来があるんだ」のところを見るたび毎回泣いてるので、ミュージカル版のお父さんがどんな人なのかは気になってました。
益岡さん演じるお父さんは、優しい感じの人だったのかな?キャストコンプされたあおむしさんが羨ましい…。
オールダービリー、栗山さんはこれからKバレエの公演で見ることが出来そうですが、大貫さんもチェックしますね。WOWWOWに入っていればテレビで見ることもできるんだけど…。

田舎住まいだとなかなか舞台を見に行くことができないのですが、今回は本当に見に行って良かったです。
拙い文章ですが、感想を楽しんで読んでいただけているようでありがとうございます。これからもがんばります。
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