Flour of Life

煩悩のおもむくままな日々を、だらだらと綴っております。

劇団☆新感線「Vamp! Bamboo! Burn! ~ヴァン!バン!バーン!」

2016-10-30 16:57:26 | バレエ・演劇


先週の水曜日、大阪フェスティバルホールまで劇団新感線の舞台「Vamp! Bamboo! Burn! ~ヴァン!バン!バーン!」を観に行ってきました。
自転車の事故で頭をかち割って以来、初めての新感線です。

今作の主演はなんと生田斗真!ジャニーズなので土日のチケットは激しい争奪戦になると思い、平日のソワレのチケットを取りました。
そのおかげか、2階席とはいえ前方中央よりの比較的良い席が取れたので、前列の人の後頭部に悩まされることもなく、双眼鏡を駆使しつつステージを隅から隅までしっかり見ることができました。まあ、1階最前列の人に比べたら大したことないんでしょうけど。。。

で、舞台のあらすじですが、ざっくりいうと「ヴァンパイアがヴィジュアル系のバンドをやりながら恋人の生まれ変わりを探す話」です。
演出のいのうえひでのりさんが、クドカンに脚本を頼むときに、そういう話を書いてくれと頼んだそうです。
ヴァンパイアの役が生田斗真。恋人の役が小池栄子。
永遠の命を持つヴァンパイアが、命に限りのある人間の恋人を、何度生まれ変わっても愛し続ける…って書いたら70年代の少女漫画みたいですが、クドカンの手にかかるとヴァンパイアは平安時代の青年貴族・藤志櫻に、その恋人は日本で一番有名な地球外生命体・かぐや姫になってました。そして二人の関係は恋人同士…ではなく、かぐや姫に求愛するもののこっぴどくフラれた藤志櫻が、うっかり通りすがりのヴァンパイアに血を吸われてヴァンパイアになってしまい、その後千年もの間かぐや姫の生まれ変わりを探し続けるという、それ恋人じゃなくてストーカーやーん!と突っ込みたくなるお話にメタモルフォーゼしていました。いやはやなんとも。

クドカンの舞台脚本は、笑いの中に人間の欲望や憎悪といったどす黒くて血なまぐさいものがちりばめられていることがよくあるのですが、今回の舞台は人が裏切ったり殺されたりまた裏切ったり殺されたりする割にはからっとしていて純粋に楽しい舞台でした。主演をはじめ若いゲストが多かったので、その若いパワーを充分に生かそうとしたら、こういう舞台になったのかもしれませんね。もちろん、橋本じゅんさんや高田聖子ねえさん、粟根まことさんらベテラン劇団員の人たちも、要所要所で輝いてましたけど。特に今回は聖子さんの活躍に感動しました。小池栄子が表のヒロインなら、聖子さんは陰のヒロイン、いや真のヒロインや…!と、サカエ(聖子さんの役名)に感情移入しすぎて、途中で何度もハンカチを握りしめました。うん、わかるよ私、サカエの気持ち…うん。橋本じゅんさんは第2幕が始まってすぐのじゅんさん劇場で観客の心をひとつにして、さすがじゅんさんすごい!と感動しました。じゅんさん演じるTERUじゃなくて照屋のエセ沖縄弁は、気に入って家に帰ってからも使ってます。日常で「高田馬場」を「高田ぬ馬場」と言うチャンスには、まだ巡り合っていませんが。

ミュージカルだし斗真の役はビジュアル系バンドのヴォーカルなので、斗真も歌う場面があるのですが、歌に関しては今回参加した演歌歌手の徳永ゆうき君のインパクトが強すぎて、とにかく圧倒されました。私が藤志櫻でも、あの歌声を聴いたら徳永君と婚約記者会見を開いちゃいますよ(さりげないネタバレ)。徳永君のことは、「鉄道オタクの若手男性演歌歌手」としてバラエティ番組で見たことがあるなぁ、てなくらいの認識だったのですが、これからはうたコンをまめにチェックして彼を見逃さないようにします。気をつけないといけないのは、加藤諒と間違えないようにすることですね。2人並ぶとかなりヤバそうですが。

ヴィジュアル系バンドがネタと言うかテーマと言うかネタの舞台なので、ヴィジュアル系あるあるのパロディやミュージシャンの名前がぽんぽん出てきたのが面白かったです。「ヤス」の本名が泰司(タイジ)っていうのは、アラフォー以上じゃないとわからないネタだろうけど。舞台上のスクリーンに「泰司」って映った途端、私の頭の中で「Desperate Angel」が流れましたよ…ふっ。

舞台終盤、しっちゃかめっちゃかのカオス状態の中、さてどうやって締めくくるのかと思ったらジャンプの10週打ち切りマンガみたいな終わり方をしたのは懐かしさ半分、まあそうなるわよなという気持ち半分でした。いろいろ理屈をこねまわしてはいけないんだろうなと思いつつ、これもある意味ハッピーエンドなのかな、と。

それにしてもこの舞台の小池栄子は素晴らしかったです。特に後半の。最初は「藤志櫻はかぐや姫の何がよくて千年も追いかけてるんだろう」と思ったけど、このかぐや姫なら仕方ないよねーナンバーワンでオンリーワンだねーと納得できました。まあ、結果論ですけど。私も、この舞台を見て「斗真のことは大好きですが、結婚するなら小池栄子だな」としみじみ思いましたから。しみじみ。

舞台を見て家に帰ってから数日、なんか引っかかるな~ともやもやしていたのですが、ある夜風呂場で湯船につかっている最中、「この舞台の斗真って昔の清水玲子の漫画のキャラみたいだな」ということに気がつきました。イケメンだけど残念だとか、一途だけど報われないとか、「かぐや姫」を追い求めてるとか…そうか、斗真が演じるべきなのは「秘密」の薪じゃなくて、ジャックとかカイとかショナとか由だったんだよ!と。(※由は違うかもしれない)「シン・ゴジラ」と「君の名は。」のヒットに隠れて、まったく話題にならなかったあの映画の存在が、ちょっと報われたような気がして少し気が楽になりました。ありがとうクドカン。それでいいかどうかは別として。


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