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【お知らせ】仙台市に要望書「3人以上でも使えるパートナーシップ制度の導入を希望します!」を提出しました!

2023年10月19日 | パートナー証明
いわゆる「自治体パートナーシップ制度」について、2024年度中の導入に向けて具体的な議論をスタートさせる旨、2023年9月19日開催の仙台市議会令和5年第3回定例会において仙台市長より表明がなされました。

これを受け、♀×♀お茶っこ飲み会・仙台では、よりよい制度のあり方について考察を深め、広く議論を喚起すべく、さまざまなとりくみをすすめています。

今回はこちら!

要望書「3人以上でも使えるパートナーシップ制度の導入を希望します!」を仙台市男女共同参画課に提出いたしました!

昨今の様々な社会情勢を踏まえれば、これから自治体パートナーシップ制度について検討する際には、「3人以上の関係への制度適用」についても真摯に向き合い検討し、自治体としてしっかりとした見解を示さなければならなくなってきているといえるのではないでしょうか。

この要望書が、多くの方々の考えるきっかけになれば幸いです。

*****要望書ここから*****

仙台市長 様
仙台市男女共同参画推進審議会 委員の皆様

呼びかけ団体
♀×♀お茶っこ飲み会・仙台
賛同人
きのコ(文筆家)
梨谷美帆(臨床心理士/公認心理師)

3人以上でも使えるパートナーシップ制度の導入を希望します!
~仙台市でいわゆる自治体パートナーシップ制度を導入するにあたっては、対象を1対1の関係のみに限定するのではなく、3人以上のパートナーシップ関係にも開かれた制度としてください~


2023年9月19日(火)開催の仙台市議会令和5年第3回定例会本会議代表質疑にて、市長より、仙台市においていわゆる自治体パートナーシップ制度を2024年度中に導入する方針が明らかにされました。
この答弁の中で市長は「すべての市民の皆様の多様性を尊重する」旨述べておられます。「すべての市民」には当然、ポリアモリー(※)当事者等、複数人とパートナーシップ関係を築く人々も含まれます。制度設計にあたっては、そのような多様性を踏まえ、下記(1)(2)の趣旨を盛り込んだ、市民の多様な生き方の選択に資する制度としてくださいますよう、心よりお願い申し上げます。

※ポリアモリー:全員合意の上で、複数人と同時にパートナーシップ関係を築くありようのこと。

(1) 「他の人とパートナーシップ関係にないこと」要件を設定しないでください。複数人とのパートナーシップ関係を築くことが可能な制度にしてください。
他自治体のパートナーシップ制度をみると、届出要件として「他の人とパートナーシップ関係にないこと」を求めるのが通例となっています。
しかし、ポリアモリー当事者のように、関係者全員合意の上で複数人とパートナーシップ関係を築いているケースは少なくありません。3人以上の友人同士で助け合い支え合っているケースや、戸籍上女性同士のカップルが、精子提供者男性と3人で力を合わせて子作り・子育てしているケース等もあります。
少子高齢化・非婚化の進展で身寄りのない・少ない人が増え、また経済格差も広がる中で、複数人で支え合う関係の重要性は高まっています。一方で、このような複数人とのパートナーシップ関係を有する人々が社会生活上パートナーシップ関係と認められず、困難を抱える実態があります。「市民の多様性を尊重し、困難解消の一助とする」という自治体パートナーシップ制度の趣旨を踏まえれば、複数人とのパートナーシップ関係に対応した制度とする意義は大きいといえます。
仙台市でのパートナーシップ制度導入にあたっては、多様性を尊重し、複数人とのパートナーシップ関係を築くことが可能な制度にしてください。
なお、複数人とのパートナーシップ関係に対応した制度設計については、1つの例として「2人1組のパートナーシップ関係の届出を複数人と行えるようにする」(たとえば、ポリアモリー関係にある3者A・B・Cについて、AとB、BとC、CとAがそれぞれパートナーシップの届出を行うことで、A・B・C3者間のパートナーシップについて示すことができる)形態等が考えられます。
また、いわゆる貞操義務や、互いに性行為に応じる義務については、市民の価値観が大きく分かれる事柄であることから、仙台市のパートナーシップ制度はこれらとは無関係である旨、市として明示することが訴訟等のトラブル防止等の観点から望ましいものと思われます。

(2) 非婚要件を設定しないでください。既婚者でも使える制度にしてください。
他自治体のパートナーシップ制度をみると、届出要件として「現に配偶者がいないこと」を求めるのが通例となっています。
しかし、既婚者であっても、配偶者やパートナーの合意のもと、配偶者に加えて配偶者以外の人ともパートナーシップ関係を築くケースは少なくありません。
また、配偶者からDV被害を受けた人が、配偶者から逃げ、離婚できないまま新たなパートナーと内縁関係になるケース等、婚姻生活が破綻していても、法律上の離婚が容易ではないためにいわゆる重婚的内縁関係に至る例も多くあります。重婚的内縁関係については、判例等で限定的ながら配偶者としての法的権利も認められているところです。
現代日本の法令上、複数人との法律婚が認められない中にあって、こういったパートナーシップ関係を有する人々が社会生活上パートナーシップ関係と認められず、困難を抱える実態があります。(1)同様、「市民の多様性を尊重し、困難解消の一助とする」という自治体パートナーシップ制度の趣旨を踏まえれば、制度の対象を既婚者にも広げ、多様な関係性をフォローする意義は大きいといえます。
仙台市でのパートナーシップ制度導入にあたっては、多様性を尊重し、非婚要件を設定せず、既婚者でも使える制度にしてください。

【参考1 日本国内におけるポリアモリー関連の動きについて】
近年、ポリアモリー当事者が社会の理解をおしすすめるべく積極的にメディアに登場する等しており、注目されているところです。「ポリアモリー 複数の愛を生きる」(深海菊絵著)、「わたし、恋人が2人います。~ポリアモリー(複数愛)という生き方~」(きのコ著)等、関連書籍も複数出版されているほか、2010年より継続的に開催されている「ポリーラウンジ」等の交流会や、2021年より毎年開催されている「ポリアモリーウィーク」等のイベント、講演会等も多数開催されています。
学術研究の場で取り上げられることも増えているほか、公的機関においても、2022年度に東京都港区立男女平等参画センター「リーブラ」にてポリアモリーに関する講座が実施される等、関心が高まっています。

<参考サイト>
「ポリアモリー 複数の愛を生きる」(深海菊絵著、平凡社新書)
https://www.heibonsha.co.jp/book/b198988.html
「わたし、恋人が2人います。~ポリアモリー(複数愛)という生き方~」(きのコ著、WAVE出版)
https://www.wave-publishers.co.jp/books/9784866211480/
ポリーラウンジ X(旧Twitter)アカウント
https://twitter.com/poly_lounge
ポリアモリーウィーク X(旧Twitter)アカウント
https://twitter.com/polyweekjp
「惹かれる」と関係性の交差点―ポリアモリー、アロマンティック/アセクシュアルから考える―(2022年度リーブラ主催講座)(告知ページアーカイブ)
https://web.archive.org/web/20221006050120/https://www.minatolibra.jp/calendar/?mc_id=576

【参考2 諸外国の動きについて】
同性婚や同性パートナーシップを制度化した複数の国や地域において、複数婚や3人以上のパートナーシップについても認められる流れがみられます。
最近の事例としては、2020年に米国マサチューセッツ州サマービル市において3人以上のパートナーシップを認める全米初の条例が制定されたほか、2021年にはマサチューセッツ州ケンブリッジ市においても、2人に限定されていた既存のパートナーシップ制度の対象を3人以上にも拡張する条例改正が行われています。なお、この改正により、ケンブリッジ市においては既婚者も制度利用が可能となっています。

<参考サイト>
コロンビアで男性3人が「結婚」、初めて法的に認められる(ロイター)
https://jp.reuters.com/article/marriage-idJPKBN1970NW
「3人婚」の届け出を受理、ブラジル初(AFPBB News)
https://www.afpbb.com/articles/-/2898343?pid=9442437
アメリカでいま「一夫一妻」ではない「複数婚(ポリアモリー)」が広がるワケ(橋爪大三郎)(現代ビジネス)
https://gendai.media/articles/-/89710

【おわりに】
自治体パートナーシップ制度は、2015年度に東京都渋谷区・世田谷区で制度が開始されて以来、各自治体の創意工夫により様々な変遷を遂げている、まだまだ発展途上の制度です。【参考1】【参考2】にて示したような昨今の社会情勢を踏まえれば、これから自治体パートナーシップ制度について検討する際には「3人以上の関係への制度適用」についても真摯に向き合い検討し、自治体としてしっかりとした見解を示さなければならなくなってきているといえます。
仙台市として制度を導入するのであれば、ぜひこういった観点からも検討を行っていただき、様々な多様性が尊重される、よりよい制度にしてくださいますよう、心よりお願い申し上げます。

*****要望書ここまで*****
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