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草の名

私が栽培している薬草や、道端の草でセルフメディケーションにも使える類の植物を紹介してゆきます。

シモバシラ開花

2015年10月04日 | 薬草・雑草

 シモバシラという植物がありますが、ご存じでしょうか。この名前から植物を想像される方は少ないでしょう。おそらく地中の水分が土や小石を持ち上げる「霜柱」を思い出されることでしょう。

シモバシラは、シソ科の多年草で、日本の固有種です。関東以西、四国~九州の山地の木蔭に分布しています。近くでは高尾山にはよく見られるようです。

この時期に白く小さい花を穂状につけますが、余り目立たない野草です。

 ところが気温が下がり冷え込んだ朝には、氷の花が咲いたかのような大変身をするのです。薬草ではありませんが、その様子を観たくて植栽しています。園では,裏門から入って直ぐ、ロウバイの近くに見ることが出来ます。只今開花中ですから、近寄ってご覧下さい。

  寒さが厳しくなると、「〇〇では、シモバシラに霜柱が・・・」と、新聞やTVのニュースで取り上げられます。「そういえばニュースで見た事があるようだ」と思い出されるのではありませんか?

 植えて2年目の今年。初めて開花しました。株もしっかりしてきているので地表温度が下がり、氷点下近くなれば、“シモバシラの霜柱”を見ることが出来るのではないかと楽しみにしています。地上部は枯れた状態でも、地中の根は生きていて、茎の維管束の中の水が凍って茎の破れ目から外へと伸びだしたものが、まるで花が咲いたかのように見え、氷のオブジェともいえる“シモバシラの霜柱”となるのです。

その現象が出来るには条件が整わなくてはならないのです。地表温度が-3℃くらいが一番きれいにでるようです。地表温度が-3℃とは、気温が-1℃くらいにあたるでしょうか。それと、雨や雪が降っていないことも条件になるでしょう。

これはシモバシラだけの現象ではなく、過去には、立ち枯れたチェリーセージでも、極小でしたが同じ現象を見たことがあります。氷のオブジェが出来るためには、枯れかけている地上部の維管束中に充分に水が存在していることが条件となります。越冬するための地下組織による根圧で立ち枯れたままの地上部まで運ばれた水が、上記の条件が揃った時、氷のオブジェが出来るのですが、どんな植物でもということにはならないようです。花が終わるとたいていは切ってしまいますが、一部のシソ科の植物は立ち枯れたままにしておけば、運が良ければ、氷のオブジェを見ることが出来るのです。シモバシラの名前は、氷の花を咲かせたかのように大変身する様にあるそうです。

 左の写真は,以前東邦大学で撮影したものですが、当園でもこのような“自然の芸術品・氷のオブジェ”を見ることが出来るでしょうか。

  大学のある船橋市三山と当園のある稻毛とでは,気温の差は無いと思えるのですが、海岸に近い当園の方が僅かでも温かければ、この現象となるのは望み薄です。 植えた場所はもう少し木蔭だったほうがよかったかしら・・・と気に掛かっています。

どうか今年の冬は,“シモバシラの霜柱”がでる程度の寒さになりますように・・・・・天に祈るしかありません。


センニンソウ

2015年09月16日 | 薬草・雑草

 園の中程で白いセンニンソウの花が盛りと咲いています。白い小花が他の植物に覆い被さって,遠目には面に見えます。

白い花はセンニンソウといいます。

 センニンソウは、日当たりの良い山野に多く見られる蔓性の多年草です。節ごとに葉を対生し、緑色の葉は五枚の小葉を持つ羽状複葉になるのが普通です。葉の表面に白い模様を出すものもあり別の植物かに見えますが、それもセンニンソウです。葉柄が他の植物の枝や葉に絡み付き、それによって植物体を固定しているのです。

 花期は8~9月で、葉腋から円錐花序をだして直径2~3cmの白い花を多数つけます。上向きに咲き、十字に開く4枚の白い花弁のように見えるのは倒披針形の萼片で本当の花弁はありません。雌しべは数個あり、痩果(そうか)は長さ7~8mmの扁平な卵形で、花のあと3cmほどにのびた白くて長い毛のある羽毛状の花柱が残ります。その白い毛を仙人のヒゲに見立てたのが名前の由来だそうです。

 私がセンニンソウを知ったのは45年ほど前で、当時は東京の下町に居住していたときのことでした。こういうと東京にセンニンソウがあったかのようですが、そうではないのです。

 喉の痛みで、食がままならない私の様子を見たお隣のおじいちゃんが、「信州から持ってきたこの葉を揉んで手首に貼っておくと、喉の痛みは取れるよ」といって一枚の葉を持って来られました。
「葉を揉んで,手首の脈を測るところへ5分ほど貼っておけばいい」と、やり方を教えて貰いました。我が家のおじいちゃんなのかお隣のおじいちゃんなのかわからないくらいでした。テレビドラマの下町の情景そのままで、食事中であっても上がり込んでいたので、私の変異に気が付いたのでしょう。通院はしていましたが、痛みは一向に治まらなかったので、早速試してみたのです。

貰った葉を揉んで、教わったとおり左手首に貼って、5分経過して葉は取り除いたのですが、その時には火傷のような痛みと貼った跡が幅が3cm高さ1cm大の水腫となっていて、その痛みたるや扁桃腺の痛みの数倍でした。暫くは手首に包帯を巻いていましたが、何かをすると必ず其処に当たって、その痛さで喉の痛みは確かに吹っ飛んでいました。

他の人には5分程でも、私には2,3分で充分だったのかもしれません。
45年を経た今でも、私の左手首には、痕跡がはっきりと残っています。
この経験は、私にとっての“薬草事始め”だったのです。

 後年知ったのですが、センニンソウの生汁が肌につくと赤くなり水腫を作るのだそうです。まさしくその通りでした。もう一つの間違いは、“葉は一枚全部を使うのではなく3分の1だけを使う”ということでした。
センニンソウを使って扁桃腺の痛みを取るやり方は、今も各地行われている民間療法だそうです。本には「5分以上は貼らないように」という注意書きのあることも知りました。
今のようにネット検索が出来ていれば、自分でも調べてみたでしょうが、何しろ45年も前の話です。痛みで辛かった当時の私は“耳寄りな情報”を鵜呑みしてしまったのです。

試してみようかなと思われるなら、くれぐれもご注意を。

<ご参考までに>

http://mx61.tiki.ne.jp/~kuriken/

「仙人草による扁桃炎(扁桃腺炎)の治療法」には、身体を張って試された症状が載っています。時間を追っての症状の写真で、詳しく報告してあります。


ニラの花・・・お酢の物に

2015年08月30日 | 薬草・雑草

 

  帰宅途中、貸し農園のところで、顔見知りの方に出遭いました。今年の春、見知らぬ私に、菜花をくださった方です。見ると奥の方にはニラが咲き始めています。

「ニラの花も食べられるのですよ」と話すと、「うちでは花は使わないので、存分に採っていっていいよ」といわれたので、厚かましくニラの花を摘ませて貰いました。

  園のニラは、漸くつぼみがつき始めたばかりですが、やはり農地は肥料が効いているのでしょうか、近づいてみると丁度良い加減の咲き具合でした。摘んだ花は、「お酢の物にして、一度食べてみて」と食べ方の説明をしながら、自分の分もちゃっかり両手一杯・・・・・(-_-;)

開花し始めの頃が、食べ頃です。咲き進むと種子がつき始めるので、もう食用には向きません。うっかりして取り損ねると横目で見るばかりです。

“ニラの花が食べられる”って話すと、全員が「エ-ッ。そんな・・・聞いたこと無いわ」と仰有います。

そこで私は決まって言います。「騙されたと思って、一度試してみて」と。

中には、“騙されたと思って試してみたら美味しかった”、とすっかり「ニラの花の酢のもの」にハマってしまった方もあります。

ニラは臭気があるので、喰わず嫌いのかたが多いようです。

「嫌いだけれど栄養を考えてレバニラにして食べるようにしているわ」とよく聞きますが、私は葉の方は炒め物や、卵とじ、から炒りして(油を引かないで、そのまま炒ること)お酢のものにしたり、細かく切って湯豆腐の薬味にしています。薬味といえばネギが定番ですが、ニラもネギに劣らない薬味となります。

「ニラの花が咲いたら、葉も硬くなるので、地際から切ってしまうわ。そうすれば又柔らかいのが生えてくるからね。」  

野菜を作っている友人はそう言いますが、花がついたらそのまま切って捨てるのはモッタイナイ!! 

野菜作りの皆さん、切って捨てる前に、騙されたと思って一度試してみてください。お口に合わなければ、どうぞお捨てください。 

<酢の物の作り方の手順>です。

  1-このくらい開いた時が食べ頃。

        開きすぎると種子を結び、

        口当たりが良くありません。

                           

 

 

 

 

 

  2-良く洗って熱湯で茹でます。

        茹ですぎると食感が損なわれるようです。

        私は、ゆっくり30~40数える程度で。                           

 

 

 

 

 

 

  3-茹で上がったら、冷水に取り、

    水気を切って絞ります。                             

        三杯酢(酢・醤油・砂糖⇒3・2・1)で。

        ポン酢、かぼすポン酢、ゆずポン酢など

        お好みの味でどうぞ。 

 

 

 私は花の利用は、酢の物しか作ったことはありませんが、ツクレポで検索してみたら、天ぷら、炒め物など沢山のレポートがありました。

それこそ、今度は私が騙されたと思って、炒め物や天ぷらに挑戦してみます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


赤ちゃんのあせも

2015年07月21日 | 薬草・雑草

 園に立ち寄られた方から、「赤ちゃんのあせもによい薬草はありますか」と訊かれました。

「あせもに良いとされているのは昔からモモの葉」と話すと、ご自宅にもモモらしいのは植えていらっしゃるとか。会話から、それらしいと思える木の傍へ移動し、「これもモモなんですよ」とハナモモをお見せすると、ご自宅のはそれに近いようだと。

 

 「モモはこちらにもありますよ」と又移動。大きな果実のなるモモへご案内すると、やはりご自宅のは初めにご覧になったハナモモのようでした。義母から教わって、“あせもには、モモの葉の煎液を入れて行水させた”のを思い出し、お試し用にと葉を少し差し上げました。

ところが、モモとハナモモの学名はPrunnus persicaで同じなのに気が付きました。

同じ学名ならば、ひょっとしたら薬効は同じ・・・? と、お帰りになってから、気に懸かるので検索してみましたが、いずれも“鑑賞用”との記載ばかりでした。

 しかし学名が同じであるならモモ同様に薬用としても使えるはずではないかと思えてならず、関係する本を読んでみても、ハナモモの葉の薬効に触れた説明は見つかりませんでした。生薬学の先生にお尋ねしたところハナモモも学名からするとモモ同様に葉を使うことは出来るとのことでした。

当園では樹木には薬剤散布していませんので、農薬の事は気にもとめずに葉を差し上げましたが、ご家庭で栽培の場合はどうでしょうか?

果樹栽培ではよく薬剤散布されるていらっしゃるのではないでしょうか。

この点に思いが至らず、薬剤散布していらっしゃるなら、ご自宅のハナモモの葉の採取は乳幼児に使うのは、差し控えてくださるようお伝えするべきでした。  

生半可な知識で、説明不足だったと、反省しております。

 園内には数種のハナモモが、3月頃から他の植物に先駆けて咲き、それは見事です。ハナモモと云われるのは、花だけを観賞する種類とされ、多くの品種が作られています。桃の節句頃店頭に並ぶのは、このハナモモです。

右の写真はハナモモです。葉はモモより少し短く、結実はするのですが、実は小さく3.5cmほどで、果肉は少なく、種ばかりです。口にすれば桃の香りはしますが 苦味があって食用としての価値はほとんどありません。

 

 おっと横道にそれましたが、本題の赤ちゃんのあせも対策について。

赤ちゃんは新陳代謝が激しいので、特によく汗をかきます。あせもを予防する基本は、汗をかいたら綺麗に拭き取り、着換えさせて汗を溜めないように工夫することに尽きると思います。あせもの初期の段階では、必ずしもぬり薬は必要では無いと思います。

あせもができるのは、汗孔がつまっている為ですから、その上に何かを塗って、あせもが治るということはないと思えるのです。あせもの初期治療は、汗孔を塞いでいるものを物理的に取り除きさえすれば、治まるはずです。

昔からあせもには、モモの葉やビワの葉がよいとされています。ハーブ類ではカモミールでしょうか。

●モモの葉には、タンニンや消炎、解熱に有効な成分があります。

●ビワの葉も、タンニンを多く含み、肌トラブルには有効です。

●カモマイルの頭花は精油成分を含み、発汗作用があります。

簡単な使い方としては水で洗った葉を煮出し、冷めたらお湯にれて入浴すると良いでしょう。

もっと簡単には、洗った葉を木綿の袋に入れて、浴槽に浸けて入浴する方法です。赤ちゃんにとっては、濃くしない方が良いでしょう。カモマイルは、ハーブティーとして市販されているモノを利用できます。

入浴後は、清潔なタオルで拭き取ってから、涼ししい部屋で・・・

今時、クーラーはどこのご家庭にもあるでしょうが、乳幼児期にクーラーを多用していると、落とし穴のあることをママさん達には知っていただきたいのです。

実際に汗を造る汗腺を能動汗腺といいますが、その数は、遺伝子によって決まるのではなく,3歳までの生育環境で決定されるということが、近年分かってきたそうです。

ということは高温の地域で幼児期を過ごせば、汗腺の数は増えますが、反して寒冷地で過ごせば、汗腺の数は少なくなるというのです。成人してから高温の地域で生活したからといって汗腺の数が増えることはないのです。つまりは、発汗し難い体質になるのです。このことを、ママさん達には覚えておいて欲しいと思います。

発汗は、体温が高まったときの体温調節現象で,表面の水分の蒸発によって熱が放散されて、体内に熱をこもらせずにすんでいる有り難い仕組みなのですから。


スベリヒユの出番

2015年07月11日 | 薬草・雑草

雨続きで、たっぷり水分補給できた所為か、コマツヨイグサは大群落に、、ハマスゲ、カラスビシャクも仲間と集って勢いづいて群落をつくっています。

抜いても抜いても生え、いたちごっこ状態です。今までは、地上部だけの草刈りだったので、地中はシードバンクとなっているからでしょう。

ヤブ蚊も待ってましたっ!!とばかりに、まとわりついてきます。

そうそう、“痒い時は スベリヒユ” と思いだして探すと、草陰で、スベリヒユがしっかりとした株になっているではありませんか。いつの間にか、あちこちで拡がり、抜いても抜いても出てくる厄介者とされているスベリヒユです。

ところがスベリヒユは実に有益な植物なのです。

これがスベリヒユです。名前を聞いても思い出せない方でも、写真を見ればお分かりになるでしょう。

今年も宜しくね」と云いながら、早速一枝を折って、そのまま揉んで蚊に刺された箇所に塗りつけると、さっきまでの痒みは嘘のように・・・引きました。

大学の薬用植物園にいた頃の経験です。生薬学の実習に、薬用植物のスケッチがあり、学生たちは、蚊に悩まされながらも、座り込んで懸命に描いていました。あまりの痒がりように見かねて、スベリヒユを採って渡しました。「つぶして、汁を痒いところへ塗ってみて」と。                    

直ぐ実行した彼女は、「どうして?」と驚いていました。

嬉しかったのは、思いもよらぬ彼女からのお礼メッセージを貰ったことでした。メモには、「本当に痒みが止まったときは驚きました。こんな事は授業では教わっていなかったので、ビックリでした。おかげでスケッチを仕上げることが出来ました。有難うございました」と書かれていたのです。

以来痒がっている人を見るとついつい声を掛けてしまうのです。「騙されたと思って、これ塗りつけてみて」って。

この厚みのある生の葉には、痒みを取る成分がコロイド状の形で細胞液(汁液)に溶け込んでいるそうです。汁液はコロイド状で、効果があらわれるのです。 これを商品化しようとした人が、乾燥葉からアルコールエキスにして塗ってみても、効果がなかったそうです。それは、アルコールに溶かした途端にコロイド状が崩れて、薬効が期待出来なったのです。                                                                                      痒いところへ手は届かなかったという話です。

 そんなぁ~、 痒いときは、痒み止めのクスリでしょうに!・・・と云われそうですが、ウソだと思ったら、試してみてください。

 

スベリヒユと見間違う近縁種があります。

それならよく知っているワ。花壇に植えてある花でしょう? と皆さんは仰有います。

こちらは、夏の花壇によく植えられているハナスベリヒユPortulaca oleracea cvsなのです。このcvsとは、Portulaca oleraceaの園芸種であることを示します。

詳しくは、ポーチュラカPortulaca oleracea 'Giganthes' といいます。'Giganthes'は英語のGiantの意味で、スベリヒユの大きいものとでもいう命名でしょう。

花がついていれば一目瞭然ですが、葉茎だけでは見分け難くいでしょう。どちらかと云えばスベリヒユの方は平たく拡がり、葉茎が立ちあがって拡がるのがポーチュラカです。

 

ハーブではスベリヒユを“サマーパースレイン Summer Purslane ”と呼び、鉄分とビタミンCの豊富な葉茎を野菜として、生のままでサラダにしたり、スープや炒め物に利用します。乾燥させた葉は、薬用でもあり、生薬では「馬歯莧(ばしけん)」と呼ばれ、利尿、膀胱炎、肝臓病、肺結核、百日せき、浄血等に用いられます。                                                                   日本でも山形県では「ひょう」と呼ばれ、葉茎を茹でて辛子醤油和えで食べたり、乾燥させて保存食に利用するのが一般的だそうです。私はさっと茹でてからマヨネーズ和えにしてみましたが、想像以上の美味しさでした。未だ試したことはないのですが、ハナスベリヒユも同様、食用になるそうですが、痒み止めになるかどうかは不明です。                                                     雑草扱いされ、厄介者といわれているスベリヒユですが、実は有用な草なのです。

今度目にされたら、是非お試しあれ!!