つれ:「近頃ガチなスパイ映画が多いとお嘆きの貴兄にはおススメの逸品で硬過ぎず軟らか過ぎず、特に007と言えばブラックコメディの空気感をたっぷりと醸し出してたボンド=コネリー時代にとどめを刺すてぇ向きには漏らさず痒い所に手が届く細工が施されてるのが堪えられない妙味かもよ。
映像技術が進展するにつれこのジャンルもこれならどうよと次々に度肝を抜くダイナミックなアクションに重点が置かれがちだけど、特撮やCGに頼れない頃は哲学的な人間観やシニカルな世相風刺から楽屋オチのくすぐりや下世話な下ネタまでをストーリー展開の絶妙なポジションに配置した台詞回しに度肝を抜かれてた感覚が心地よく蘇ってくるよねぇ。
そういう感覚にマッチしたきょう日の映画らしい画像や楽曲の処理も心憎いばかりで、世に問題を提起する社会派作品やしみじみと心に響く文芸作品ではない娯楽作品の王道ならではの軽快な余韻を十二分に楽しませていただいたよ」
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