ズレ：「玉音盤公開に合わせた名作リバイバルの趣ながら正に玉音盤争奪戦の一日を際立たせた岡本喜八監督作品と同じ筋立てじゃ勝負の余地がないと見てか鈴木貫太郎首相就任以後の長いスパンの物語になってるから、人物のエピソードは膨らむものの一番長い当日の緊迫感は薄まってタイトルのニュアンスがもう一つ伝わり難そうだぜ。
思うに岡本作品が鬼気迫る所以はストーリー展開のみならず監督を始め役者・スタッフ一同が何らかの戦争体験をお持ちならばこそってとこにもありそうで、おそらく太平洋戦争の記憶がある方は山崎努先生だけじゃなかろうかてぇ平成版にそういうリアリティを求めるのは土台無理な相談かもなぁ。
本土決戦へといきり立った陸軍省の若手将校にもどれほどの現場感覚があったんだろうかと観ているとどうにも時節柄ほとんど戦場の現実を弁えてないであろう集団自衛推進派の勇ましさとの写し鏡に緊迫感が高まって、国ノ安寧ヲ思フ心根ハ多ト謂ヘド其ノ方法論ハ能々熟慮アツテ軽挙妄動ヲ慎ムベシと発令したいくらいでぃ」
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