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東京大学物性研究所 一般講演会
スタンフォード大学教授の
「スペースシャトル・コロンビアの事故を考える」
http://www.city.kashiwa.chiba.jp/oshirase/kouza/16-454todai.htm
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行ってきました。
一般公開といいつつ会場にいる人の大半が関係者のようでした。
オシュロフ氏のシャトルの話はスライドに一部日本語のものを用意してあったので、
3割くらいは理解できたのですが、
その後の質疑応答では日本語の質問者に対する回答は英語のみという状態でした。
学生とか教授はわかったんでしょうけど、
質問していたおじさんがわかったかというと、かなり怪しい顔色でした。
事故原因の特定については、堅実かつわかりやすい手法でした。
・左翼に発泡剤が衝突したようだというのは映像からわかるので、
それが本当に原因かを追究する。
・原因特定のためには証拠を複数用意する。
(フライトレコーダ、衝突実験、溶融実験、部品の散らばり具合など)
うまいと思ったのがプレゼン資料の作り方で、
1行(1内容)ごとに分の色を変えてあったり、
各ページの表題などの配置位置が同じだったり。
あと、プロジェクタで映すことを考慮して、
背景が黒、文字が白や他の色となっていて、
背景が白のプロジェクタ画像だと文字がつぶれて見くいということがありませんでした。
日本で見栄えのよい(と思われてる)資料だと、
遠くから見たら文の区切りがわからないとか、
アニメーションを多用している割には説得力が無いとか、
絵を多用しすぎてさっぱりわからないとか・・・
さて、事故調査報告の内容を覚えている範囲でさらりと。
英語の解説をきちんと聞けていないので、間違ってたら許してください。
(2回ほど冗談を言ったらしいのだけど、聞き取れなかったのが悔しい・・・)
●複数角度の映像より、燃料タンクの発泡剤が剥離し左翼にぶつかっている
・発泡剤は燃料タンクが氷結するのを防ぐためのもの
・以前から見られる現象だったが、
NASAは“いつものこと”という感覚だったため、
発泡剤がオービターに衝突したときの被害予想をしていなかった。
→事故後は発泡剤をやめてヒーターにした
・発泡剤がはがれる原因について、
NASAは接着面の窒素が膨張してはがれると思い込んでいた
→実験の結果、そのような膨張が起きた場合は、
表面まで一気に穴を開けて吹き出るため、剥離には至らない
→実験の結果、成型時の不均一が原因で破断・剥離が起きる
・発泡剤が左翼前縁にぶつかったら、
カーボン素材の部品にひびを入れることが出来るのか?
→700gの発泡剤を空気圧でマッハ3に加速し、
実際にエンデバーで使用された部品にぶつけてみた。
(部品は数百万円もするので、複数回は出来なかった)
→衝突箇所は摩擦で瞬時に黒焦げになり、穴が開いた
・わずか数cmの隙間から再突入時の熱が進入した場合、
機体破壊につながるのか?
→直径5cmの銅線の束に数千度のプラズマをぶつけてみたところ、
かなりの速度で溶融(蒸発!)してしまう
・テレメトリ、フライトレコーダのデータより、
軌道上に滞在中から左翼には歪み異常、温度異常が検出されていた
・部品は飛行経路にそって左翼、右翼、本体の順にある程度まとまっている。
(といっても、総延長数百キロ・・・)
※ 右翼と本体は逆だったかも?
・部品の散らばり具合とフライトレコーダの異常伝播状態は一致する。
・回収できた部品は全重量の38%程度。
→通常の飛行機事故だと80~85%を回収できる。
特に左翼の回収率が悪く、燃え尽きたか蒸発したと思われ、
事故のすさまじさがわかる
●技術者は警告していたのにどうして防げなかったか?
・上記にもあるように、全体の雰囲気は問題軽視
・管理者は600億円(?)のプロジェクトにストップをかけにくい
・国際宇宙ステーションへの避難は軌道傾斜を修正するだけの燃料が無くて無理
結論として、新オービター2機もしくは有人宇宙飛行の中止を検討する必要があるとのこと。
個人的意見としては、それでも有人飛行はやめるべきでないと思ってます。
いくらテレビや雑誌で知っていても実際に現地に旅行するとまったく違う、というように。
最近、日本のSF好き(とくくっておきます)の間では、
シャトルは失敗プロジェクトだという認識が定着しつつあります。
・打ち上げ時の重量のうち、軌道に持っていけるのは10%程度なのに、
その半分以上を船体に食われている。
・人と貨物を同時に運ぶために、1回の打ち上げ規模がどうしても大きくなってしまう。
・F1ですら1回のレースでエンジンを使い切るのに(みーや見解)、
機体やエンジンを無理やり再利用するのでかえって高くつく。
ただし、実験機としては回収できるメリットは十分にある。
旅行で月にいけるのはいつでしょうねぇ・・・
ちなみに第2部の電子のお話は途中から寝てしまいました。 (^^;
前日眠れないで徹夜してたのと、
日本語だったため緊張感が切れてしまったのとで。
内容は結構面白かったんですけどね。
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