オンライン句会入賞発表

■水煙発行所主催■

●5月句会(第79回オンライン句会)ご挨拶とお礼

2007-05-20 06:39:47 | 5月句会
■□5月句会ご挨拶/高橋信之(オンライン句会主宰)
オンライン5月句会を終ります。お楽しみいただけましたでしょうか。今回の参加者は、今年最多の人数となり、盛会であったことを、主宰として嬉しく思っています。多くの方から、投句、互選をいただき、いい句会でした。また、今月の特別選者として、吉田晃さん、岩本康子さん、藤田荘二さん、池田加代子さん、選とコメントをありがとうございました。スタッフの皆さん、どうもありがとうございました。来月もよろしくお願いします。楽しみにしてお待ちください。


■□5月句会ご挨拶/多田有花(オンライン句会スタッフ)
新緑を吹きすぎる風が心地よい季節になりました。一年でももっとも過ごしやすいこの時期、都会のビルの間にも若葉が育ち、野山や花壇の花々が目を楽しませてくれます。農家の方には田畑での作業が増え、お忙しいことでしょう。今月もまた新しく訪れる季節の姿を生活の中に発見し、あるいは楽しまれ、あるいは心和ませられたことと存じます。皆様お元気でお過ごしください。5月句会は、高橋信之先生・正子先生のご指導のもと、池田多津子、多田有花でお世話させていただきました。


■□5月句会ご挨拶/池田多津子(管理・集計)
5月も半ばとなり、山々の新緑と水を張って田植えを終えた田の青さが清々しくうれしいころです。今月も多くの佳句に出会い、日々の多忙さを忘れ、ほっと心和むひとときを過ごさせていただきました。皆様、ありがとうございました。日中は汗ばむこともあるここ愛媛ですが、朝夕は肌寒く感じることもあります。皆様、お元気でお過ごしください。また来月のオンライン句会で多くの皆様の俳句と出会えるのを楽しみにしております。

■□5月句会ご挨拶/高橋正子(オンライン句会副主宰)
さわやかな五月の一日が句会の日にあたったことを、特にうれしく思います。第79回オンライン句会となります今回は、初参加のみなさまを含めて、先月以上に大勢の皆さまにご参加いただき、大変盛り上がった句会になりました。入賞の皆さま、おめでとうございます。特別選者として、吉田晃さん、岩本康子さん、藤田荘二さん、池田加代子さん、ありがとうございました。池田多津子さん、多田有花さんにはオンライン句会のお世話をいただき、ありがとうございました。これでオンライン5月句会を終ります。来月を楽しみにご健吟ください。

●5月句会入賞発表①(金銀銅3賞)

2007-05-20 06:38:01 | 5月句会
【金賞】
★一村を覆いつくして麦を焼く/おおにしひろし
麦を焼く煙は、本当に村中を覆いつくしてしまう。太陽さえも隠す。松山市の郊外には、麦畑が今でもあるが、田園地帯の麦秋の景。(高橋正子)

【銀賞/2句】
★一日をかけて代田の澄みゆけり/池田多津子
田植えの準備として代田が掻かれる。すると田水が濁るが、一日をかけてゆっくりと代田水が澄んでゆく。代田を見守る目に良い観察がある。(高橋正子)

★風鈴を風の高さに吊りにけり/宮本和美
「風の高さ」は、風の通る高さのことで、その高さに風鈴を吊って、いい音色を楽しもうというのだ。(高橋正子)

【銅賞/3句】
★百合開く白一色に忌日過ぎ/藤田洋子
忌日に供花とされた百合の花が、忌日をすぐると、埋め尽くすように一斉に花を開いた。どれも白の百合。(高橋正子)

★葉桜や人の集いの真ん中に/いなゆきの
葉桜を真ん中にして、みんなが集まっている。葉桜の作る緑陰に人はおのずと集まったのだ。(高橋正子)

★白服で画家上京す絵画展/齋藤良一
絵画展に出品して、地方からはるばると上京し、自分の作品の前にあたふたと汗を拭きながら立った画家を想像する。さっぱりと清潔な白服は、地方から出てきた世ずれしていない純朴な画家の人柄そのままのようだ。(高橋正子)

●5月句会入賞発表②(特選)

2007-05-20 06:36:55 | 5月句会
【高橋信之特選7句】
★夏場所や大川渡る触れ太鼓/宮島千生
大きな景を詠んで、骨太の句だが、「触れ太鼓」の軽快な響きがあって、初夏の快い水の流れや風の流れを感じさせてくれた。(高橋信之)

★百合開く白一色に忌日過ぎ/藤田洋子
白百合が咲き忌日がめっぐてきます。亡くなられた方のお姿も偲ばれるような静かで凛としたものを感じます。(黒谷光子)

★一村を覆いつくして麦を焼く/おおにしひろし
この景、この山梨にも時折見受けます。曇り空の日などは、村中にその煙の匂いが籠もりなんともいえない郷愁にしたります。 (湯澤まさえ)

★一日をかけて代田の澄みゆけり/池田多津子
田植えの準備が整ってゆく田が、ゆっくりと澄んでゆく情景が懐かしい。 (中村光声)

★風鈴を風の高さに吊りにけり/宮本和美
風に鳴るように風鈴をつるし、夏の訪れを楽しんでいる様子がとてもさわやかです。(笠間淳子)

★若葉風新築図面の広げらる/尾弦
初夏の若葉の明るさ、清々しく爽やかな季節感を感じさせていただきました。(藤田洋子)

★カーネーション脇に抱えて風が吹く/高橋句美子
抱えていらっしゃるのは、母の日の赤いカーネーションでしょうか。爽快な五月の風の中、お母様への感謝の気持ちもいっしょに抱えて歩かれているのでしょうね。(多田有花)

★葉桜や人の集いの真ん中に/いなゆきの
花見の宴とは違って、葉桜の集いには、日常のいい安らぎがある。 風光り、風薫る季節である。(高橋信之)

【高橋正子特選7句】
★カーネーション脇に抱えて風が吹く/高橋句美子
カーネーションを脇に抱えて、帰りを急いでいるのだろう。風が、カーネーションに、また自分の顔に吹くのが感じられた。(高橋正子)

★白服で画家上京す絵画展/齋藤良一
いいお天気の昼間は汗ばむことも多いこの季節、個展を開かれたのか、画家ご自身が上京してこられました。白服に画家の清新な気持ちも現れているようです。(多田有花)

★百合開く白一色に忌日過ぎ/藤田洋子
ご両親の忌日を迎えられ、過ぎた日のことを思い返していらっしゃるのでしょう。思い出の中で亡き人は微笑み、あるいは語りかけてくれたりもします。(多田有花)

★一村を覆いつくして麦を焼く/おおにしひろし
村を覆いつくすほどの煙、こういう風景はなかなか見られなくなっているのではないでしょうか。(多田有花)

★葉桜や人の集いの真ん中に/いなゆきの
お花見ではなく、葉桜になってなおそこに人が集う、緑陰を求めてでしょうか。人の生活の近くにある桜の姿がほほえましいです。(多田有花)

★一日をかけて代田の澄みゆけり/池田多津子
何もかもインスタントに速く速くという世の中ですが、一日をかけて澄む、という表現に作物が育つ自然のリズム、変わらぬ自然の時を刻むテンポ、が織り込まれています。(多田有花)

★風鈴を風の高さに吊りにけり/宮本和美
風を楽しむ夏という季節を迎えた喜び、風が通る場所を選んで軒下に風鈴を吊られたのでしょう。”風の高さ”が見事です。(多田有花)



■特別選者

【吉田晃特選7句】
★薫風や胸広げ行くサイクリング/松原恵美子
「胸広げ行く」に物理的な効果と心理的な効果があります。軽快にペダルを踏む作者の笑顔が見えるようです。(吉田晃)

★一日をかけて代田の澄みゆけり/池田多津子
代掻きは結構時間と手間のかかる作業である。稲を植えるのであるから、泥は細かく処理されていなければならないのだ。何時間もかけた代掻きが終わった。そのときから、少しずつ泥が沈殿し、水が透明になっていくのである。目に見えない時間の流れをうまく表現している句であり、静かな中にも力強さを感じる。(吉田 晃)

★城跡の風万緑を揺らしおり/中村光声
石垣の残る風景であろう。そこに吹く五月の風が、城の移り変わりを見続けてきた木々を揺らしているのである。作者はそこに武士(もののふ)の姿を見ているのかもしれない。 (吉田 晃)

★万緑や乗馬クラブの赤き屋根/矢野文彦
緑ゆれる下に赤い屋根の家がある。馬の息づかいがして、時折いななきが聞こえ、目に映る風景が生き生きとしている。これから暑さに向かうのであるが、健康な喜びが満ちているように感じられる。季語「万緑」が作者の心の有り様をよく表している。(吉田 晃)

★青葦に水の匂いの空暮れる/藤田洋子
夕暮れの景色を落ち着いた言葉でうまく切り取っている。多忙であったのであろうが、よい一日が終わりかけていることが想像できる。「葦」は非常に生命力の強い植物であり、水は全ての命の源である。その水の匂いが夕暮れの中にあるというのだ。(吉田 晃) 

★百合開く白一色に忌日過ぎ/藤田洋子
白い百合は、心穏やかに故人の冥福を祈っている作者の心であろう。感謝の心の供花を、故人は微笑んで見ていることであろう。派手な飾りは全くないが、それに勝る作者の心が見える気がする。(吉田 晃)

★卯の花の小さく連なり食卓へ/高橋句美子
卯の花は、邪悪な土地の精霊を追い払う役目を持っているという。そんなことまでは意識していないであろうが、白い花群れ咲く一枝を食卓に飾る、家庭を大切にしている家族の心が伺える。(吉田 晃)

【岩本康子特選7句】
★若葉抜け空へ空へと子の声は/高橋信之
若葉を抜けて可愛いこどもの声が青空に高く広くどこまでも響く明るい句だと思います。(岩本康子)

★紫陽花のまず葉の色に咲き初めぬ/かわなますみ
紫陽花の花の咲き初めをよく観察され見事に詠まれた句だと思います。(岩本康子)

★川風を腹一杯に鯉のぼり/吉川豊子
文句なしに気持ちのいい句です。鯉は本来川や池に棲んでいるものですから、川風はさぞかし美味しかったことだと思います。(岩本康子)

★若葉風新築図面の広げらる/尾弦
どんな建物が造られていくのでしょうか。図面を見ている人々の夢と希望が感じられます。(岩本康子)

★一日をかけて代田の澄みゆけり/池田多津子
掻いたばかりの代田の濁りがゆっくりと澄んでいく様子がよく分かります。実際に代掻きを経験された方でないとこのような句は生まれないと思うのですが......。(岩本康子)

★薫風や大樹を揺らすざわめきに/小川美和
社や森の青々と茂った大樹が風を受け、次第に大きなうねりとなりざわめく景が目に浮かびます。(岩本康子)

★人去りて色しずもりし藤の花/大給圭泉
藤棚の下に人が集まって賑やかな時は藤の花も華やかに明るく見えたが、その人々も去ってしまうと急に静かになり、藤の花の色までどこか寂しそうである。それを「色しずもりし」と詠まれたところに惹かれました。(岩本康子)

【藤田荘二特選7句】
★代掻きの初めの列の水澄めり/吉田晃
代掻きの途中で汗を拭いながら振り返ったのでしょうか、それとも時間をかけて見守っているのでしょうか、澄んでいく水に初夏の太陽の光が反射したり、緑が映ったりする情景が眼にうかびます。「初めの」の明るい語感と「水澄めり」の静かな
語感が素敵です。(藤田荘二)

★嵐去り夏山むっくと現るる/藤田裕子
「むっく」が初夏の山の表情、空気が澄んで鮮明に、近づいて見える量感をうまくとらえていると思いました。平野から見る初夏の山のイメージ通りです。縦走の途中とみると夏を通してもこの「むっく」はいい表現だと感じました。(藤田荘二)

★紫陽花のまず葉の色に咲き初めぬ/かわなますみ
言われてみればそのとおりですが、やはり紫陽花はその葉のみずみずしい葉の色からはじまり、梅雨の時期の鮮やかな色彩を準備するからこそ「紫陽花」です。紫陽花の花の時期の移り変わりをあらためて教えてもらいました。(藤田荘二)

★一日をかけて代田の澄みゆけり/池田多津子
時間をかけてつくった田をいとおしみながら見ている作者の気持ちを感じました。どんな景色が水を張った田に映っているのか、いろいろ想像させてもらいました。晴れた空や緑、曇り空、あるいは静かな雨、いづれにしろ時間の流れのしっとりと
した情感があります。(藤田荘二)

★新緑を蹴り上げ足下の空青し/飯島治蝶
鉄棒での元気の良さが「新緑を蹴り上げ」で的確に伝わりました。「足下の空」という視点の変化にもスムーズにつながって歯切れの良い表現と思いました。(藤田荘二)

★初夏の雷まよい心の弾きけり/大給圭泉
梅雨明けの大きくとどろく激しい雷ではなく、ちょっと遠くに響く初夏の雷の趣の表現として好ましく思います。「まよい心」に惹かれました。雷の状況と作者の何かに惑う気持ちをない交ぜにした感じですね。(藤田荘二)

★青琵琶を一枝添えて竹筒に/堀佐夜子
青琵琶の青さと質感、量感が竹筒ととてもマッチすることを教えてくれました。これをおいた部屋は大変落ち着いた雰囲気になると思います。「挿して」ではなく「添えて」が活けるときの指の動きの優雅さを思わせてくれます。(藤田荘二)

【池田加代子特選7句】
★緑蔭のはやも生まれて喫茶せり/高橋正子
日差しの強い日に、涼やかな緑蔭に憩うのは、夏のはじめの喜びのひとつです。喫茶店の白いクロス、籐の椅子、看板や庇の赤みなど、緑をより美しく引き立てる鮮やかな色彩も目に浮かび、心地よさを共感させていただきました。(池田加代子)

★代掻きの初めの列の水澄めり/吉田晃
代掻きは、いまは耕耘機でされるので、列という言い方がされている。代掻きの作業が進んでいくうちに、初めのほうは、水が澄んできている。代掻きの経過によって、代田の様子、人の動きなど、情景があざやかに浮かんでくる。(高橋正子)

★若葉風新築図面の広げらる/尾弦
新築の家屋を建とうとするところに立って、設計図面を広げている。若葉風が心地よく、ここに建つ家に住む人の心地よい暮らしまでもが想像できる。(高橋正子)

★一日をかけて代田の澄みゆけり/池田多津子
整備し終わって田植えを待つ田圃。作業で濁っていた田も、水が澄んできて田植えを待つばかり。その安堵感と、景の美しさが伝わってきて、好きな句です。(高橋正道)

★とびこんで来て胸奥にばらの赤/あみもとひろこ
一瞥にして目に飛び込んできた「ばらの赤」は、一瞬すでに胸の奥に棲みついて離れない。薔薇の花の鮮烈さが読者の心にも残ります。(小西 宏)

★青葦に水の匂いの空暮れる/藤田洋子
★車窓から桐か藤かと楽しかり/いなゆきの

●5月句会入賞発表③(入選)

2007-05-20 06:35:37 | 5月句会
【入選Ⅰ/10句】
★はつ夏の海の眩しき風に佇つ/池田加代子
今の季節の日差しと風を感じる気持ちの良い句。海からの風を心地よく受けていらっしゃる作者の姿が浮かびます。(多田有花)

★万緑や乗馬クラブの赤き屋根/矢野文彦
緑と赤の取り合わせが目に浮かびます。色彩の美しさとともに、広々とした空、馬のたてがみを揺らす風のそよぎも感じられます。(多田有花)

★南瓜苗にまず陽をうけて朝のくる/小川美和
作物を育てられる方の喜びと期待が感じられる句です。自然の恵みに感謝される思いが伝わってきます。(多田有花)

★麦秋や神杉の風吹き抜けり/滑川けいこ
爽快な五月の風が吹き渡ってきます。「神杉」の語が句のスケールを大きくしていますね。(多田有花)

★幸せがのど転がりてラムネかな/古賀一弘
喉ごしに炭酸が弾ける清涼感をうまく表現されています。楽しい句。(多田有花)

★教室に墨書の「成長」若葉時/飯島治蝶
五月も半ばを過ぎ、新しい学校、新しいクラス、新しい友達や先生にも少し慣れてくるころですね。「成長」、子どもたちを見守られる先生全員の願いでしょう。(多田有花)

★乳母車押し軽やかに風薫る/國武光雄
乳母車を押しているのはお母さんですが、いっしょに風も押しているようです。静謐な幸福感が漂っています。(多田有花)

★カーネーション庭の新たな色となる/池田多津子
切花のカーネーションは年中見られるようになっていますが、露地のカーネーションは初夏のもの。「新たな色」に季節の到来を感じていらっしゃる作者の姿が目に浮かびます。(多田有花)

★野の色がふっくらふくらみ豆ご飯/松本豊香
たきたての豆ご飯の香りがしてきそうです。「野の色」というのがぴったりです。(多田有花)

★ポケットに溢れ初採り莢豌豆/黒谷光子
収穫の喜びが「ポケットに溢れ」に言い尽くされています。大規模な農園などではなく、小さな畑ゆえの身近な喜びを感じます。(多田有花)

【入選Ⅱ/26句】
★ゆきのした咲き初む日蔭濃くなりて/あみもとひろこ
我家の前の景を詠んで戴いたようで共感いたしました。大きな桜の下に咲くゆきのしたに日毎その日陰は濃くなってゆきます。季節感のある好きな句です。(甲斐ひさこ)

★乳牛の声のんびりと麦の秋/渋谷洋介
季節感もあり、日本の伝統的な農村の原風景を彷彿とさせる秀句だ。(国武光雄)

★薫風や胸広げ行くサイクリング/松原恵美子
初夏のみずみずしい風を、胸いっぱいに吸い込み、自転車をこぐ、爽快さが、まっすぐ伝わってきました。(あみもとひろこ)

★停車場に空切り燕帰りきぬ/おくだみのる
今年も停車場の軒に巣を作る燕が帰ってきたようです。空を切り颯爽と営巣する燕の姿に勇気づけられるような一句です。 (小川美和)

★街路樹にネクタイかけて昼五月/藤田荘二
★軽鳧の子の水尾を離れず番鳥/小西宏
★初鰹黒南風の海想うかな/高橋正道
★心地よき浜風の吹く夏座敷/篠木睦
★草笛や忘れし過去の日記帳/小河原銑二
★青空につぶされぬよう山若葉/木村修
★青き踏む今日も太陽つつがなき/湯澤まさえ
★母の日を祝われていて厨ごと/村井紀久子
★藤棚の下に吹かれし夏はじめ/甲斐ひさこ
★志摩行けば坂の上がれぬ夕凪よ/大石和堂
★風の若葉日を照り空を広げたる/碇英一
★しなやかにカーブを開き山ぼうし/祝恵子
★露天風呂青葉若葉に洗われる/多田有花
★夕陽浴び真っ赤な罌粟の咲き乱れ/河野渓太
★夏めくや時の流れを語り合ふ/松本千恵子
★黒ずみし先人の碑や虎耳草/前川鳰波
★聖五月すやすや寝息の嬰児は/丸山草子
★五月雨るる草を跳びだす雨蛙/志賀たいじ
★北運河油紋の揺れや五月雨るる/大山由紀
★薫風や少年すでに大志あり/中村光声
★夕闇にほたるぶくろの点々と/徳毛淑
★ばら園に眠る幼な子乳母車/岩本康子

●選者詠

2007-05-20 06:33:51 | 5月句会
■選者詠/高橋信之
★若葉抜け空へ空へと子の声は
若葉を抜けて可愛いこどもの声が青空に高く広くどこまでも響く明るい句だと思います。(岩本康子)

★庭木すっくと八十八夜の雨に濡れ
★雷鳴の留守居の玻璃を響かせ去る

■選者詠/高橋正子
★緑蔭のはやも生まれて喫茶せり
日差しの強い日に、涼やかな緑蔭に憩うのは、夏のはじめの喜びのひとつです。喫茶店の白いクロス、籐の椅子、看板や庇の赤みなど、緑をより美しく引き立てる鮮やかな色彩も目に浮かび、心地よさを共感させていただきました。(池田加代子)

★卯の花に遠雷さざめきつつ起こり
★鯛網の風に吹き散る吹流し

●互選集計結果報告/5月句会

2007-05-20 06:32:37 | 5月句会
■互選高点句/池田多津子集計
□高橋信之修正

【最高点/22点】 
★一日をかけて代田の澄みゆけり/池田多津子

【次点/16点】 
★風鈴を風の高さに吊りにけり/宮本和美

【第3位/13点】 
★紫陽花のまず葉の色に咲き初めぬ/かわなますみ


選句箱