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プロ野球の球団経営と一般の企業経営の相違点の一考察

2005年10月11日 | スポーツ・プロ野球など

いつもストーブリーグと呼ばれるこの時期になると思うのですが、プロ野球の球団の経営陣は、球団の経営と一般の企業の経営とを同一視しており、プロ野球の球団経営の特徴を考慮していないように見えます。このことが原因で一般の企業経営としては適切であっても、球団経営としては不適切な経営判断がなされ、球団の経営を却って危うくするケースが散見されます。本ブログでは、球団経営と一般の企業の経営との間に存在する大きな乖離2つとそれぞれの実例を示し、問題点を指摘します。

■12球団すべてが1つの球団のビジネスに寄与している

通常の企業経営において、同一の競争フィールドにいる企業同士でもパートナーとなりうる企業とは連携をとるが、敵対関係にある会社と連携をとることはないでしょう。しかしプロ野球の場合は、少なくとも目先の対戦相手がいなければ試合が成立しませんし、優勝争いという背景もプロ野球にファンを引き付けるのにに大きく寄与していますので、結局は12球団がすべての試合を成立させるのに寄与しています。 つまり、どの球団であれ対戦相手や他の全球団との係わり合いの中で収益がもたらされる構造になっているのです。

しかし、このことを理解しておらず、自身のチームのみが強ければ経営が成功すると考える経営陣が球界には多いような気がします。 例えばFA制度で次から次へと他球団のエース・四番打者を獲得した巨人です。

巨人の経営陣は、このような補強を「企業努力」と言っています。確かに優秀な選手を獲得することで自身は強くなることが期待されますが、他の球団が弱体化し対戦そのものに魅力が感じられなくなるので、結果的に自身の価値も落としてしまいます。

 結局他球団の事を考慮せずに自球団のためだけに選手獲得などをし続けると、他球団は弱体化しますがそれに伴い自球団も弱体化してしまいます。このようなことを続けてゆくと、最終的にはプロ野球全体としての魅了が減じられることになる可能性があります。

(なお、実際の巨人について言えば、現場を無視した過去の名声などによる補強策に終始したため、補強そのものが失敗しました。従って上記で書いたようなステップにすら至らずに自滅してしまった、というのが正しい見方だと思いますが。)

■球団間の連携はプロ野球の価値を著しく落としてしまう(真剣勝負でなければ意味がない)

通常の企業経営において、同一の競争フィールドにいる企業同士でもパートナーとなりうる企業とは連携をとる、というのは上記に示したとおりです。よって通常の企業経営において、方向性が類似した会社同士が連携して新たな目標に突き進む、というやり方は決して珍しくありません。

一方プロ野球はこのような連携は許されません。あらゆる対戦相手に対して真剣勝負で臨まなければ意味がありません。 試合が「演出」されたものではなく真剣勝負の結果であるということがプロ野球における暗黙の大前提として存在するため、プロ野球ファンは応援するチームが勝利することを無上の喜びとして感じ、敗戦することで非常に落胆します。このように試合結果に一喜一憂することが、何十年も継続してプロ野球を見続ける秘訣になっています。よく野球は筋書きのないドラマと言いますが、もし筋書き作る人間がいたとしたらどうでしょうか。20年、30年も特定のチームを優勝させないとか、5年連続で特定のチームを優勝させる、などというドラマが書けるとは到底思えません。しかし現実はこのようなことが起こるので、プロ野球を応援し続けることはその場限りの快楽に終わることなく、ファンの人生の一部になってくるのです。

しかしながら、今真剣勝負を阻害する可能性がある話題が世間を賑わせています。それは、例の村上ファンドが阪神の株式上場を提案した話題です。

もし株式上場によって複数球団の株を所有する株主が存在してしまうと、そのような球団同士の対戦で八百長試合が発生する可能性があります。例えば、優勝がかかっているチームAと優勝とは関係ないチームBとが対戦する場合、チームA,B両方の株主はチームAに勝ち星を重ねるべくチームBにわざと負けさせる、と言う操作も可能になってしまいます。このような可能性があると、ファンは試合結果に一喜一憂することが空しくなり、ファン離れが加速する可能性があります。

 

以上述べてきた球団の経営と通常の企業経営との違いを十分把握した上で、球団経営に当たってもらいたいものです。(まずは明日の村上×阪神に注目しましょう。)


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