「交渉術」つづき

   交渉術   佐藤 優 著

もう少し写させてもらいます。

「ターゲットの論理を深く知ることは、交渉術の要諦のひとつである」と著者は、1940年に陸軍省兵務局防衛課の大坪義勢大佐が書かれた本を引用しています。

最も恐るべきものは、古事記であるとか、日本書紀、あるいは源氏物語、竹取物語、平家物語、そういう種類の本をたくさん買っている。

これは私は共産党の思想謀略というものが、昔と全然行き方が違って、もっともっと巧妙にやってくるんじゃないか。

今までは日本の国体を知らなかったから失敗した。ただしこれからの先の行き方は、そういう本をたくさん買っているところを見ると、段々巧妙になりまして、日本人が気が付かない間に魔の手が伸びてきて、気の付いた頃にはちょうど肺病患者のように知らぬ間に病勢が進行し、気の付いたときにはすでに命旦夕に迫ったという形になるんじゃないか。

いや、事実、彼らの魔手は既に巧妙にのばされている形跡があるのであります。

70年を経ました。

思い出したことがあります。

メーテルリンク著「花の知恵」は、自然と生命と知性について観察・思索された楽しい本でした。その中に、

  不器用な、あるいは不運な植物や花はあるとしても、
  知恵と創意工夫に全く欠けた植物などひとつとしてない。
  植物はみな、力を尽くして本分を全うしようとしている。

  自分たちが体現している存在形態を無数に増やして地球の
  表面を侵略し、征服してやろうという壮大な野心があるのだ。
  
  しかし、定めによって地面に繋がれているゆえ、この目的を
  果たすためには動物の繁殖に較べてはるかに大きな困難を
  克服してゆかねばならない。

  かくして大多数の植物が策を弄し、謀をめぐらし …



と、植物のエネルギッシュで遠大な計画と努力が語られているのでありました。

花ほどの 執念と活力と知恵、私等に有や~ 


私が承知する限り、能力の高い学者が、正確なデーターと深い洞察に基づいて、政府の外交政策を批判すると、それに耳を傾けざるを得なくなり、外務官僚の思惑通りに物事を動かすことができなくなるので、能力の高い学者を遠ざける傾向があるというのが外務省文化だ。したがって、アカデミズムにおける一流の知性が現実の外交政策に反映される傾向はほとんどないのである。(320頁)

はて? 官僚文化ということね~
御用学者さんたちの有様は、今回のことで確と見ました知りましたっ。エリート官僚も、嘘つきっ。財務省に能力の高い学者を登用し、見えるところで政策議論をして!


北方領土交渉に関して、「首脳間の個人的信頼関係に基づく外交は邪道である」という批判は、ロシア政府の内在的論理を知らない者の意見だ。ロシアにおいて、ある種の問題は、官僚レベルはもとより閣僚レベルでも解決できない。 略 とにかく最高権力者しか北方領土問題を解決することはできないのである。
ただ今のロシア情勢→プーチン首相の大統領選出馬メドベージェフ氏はロシアのナショナリズムをあおるため北方領土を訪問し、領土交渉は完全にゼロの状態に陥った。プーチン氏は(平和条約締結後の歯舞、色丹両島の日本への引き渡しを定めた)「56年宣言」をロシアにとって「義務的なもの」と認識しており、この点でも2人の戦略は大きく異なる」(佐藤優氏=産経)



それから「政治家の功名心で領土問題が捻じ曲げられた」などという批判は、きわめて稚拙だ。功名心は名誉心と言い換えてもよい。そもそも政治家がリスクを冒して、何か行動するときの動機は、究極的に名誉化利権に収斂する。私が実務で経験したところでは、日本でも、ロシアでも、イスラエルでも同じである。恐らく、アメリカ、イギリス、ドイツでも同じだと思う。政治家が、名誉や利権を追及することによって現実の外交は動いていくのである。



現役外交官時代、政治家と付き合うに際して、私は自分の心の中で一つの基準を定めた。政治家が外交に関与するときの動機が、個人的利権である場合、そのような政治家には付き合わない。日本の国会議員でも、極東でホテルやカジノを経営したり、ロシア屋ウクライナからロシア人女性の受け入れをすることで利権構造を作っていた人もいたが、そういう人との付き合いはできるだけ素っ気なくして、御縁をつけないようにした。



政治家の動機が名誉で、それが北方領土問題の解決と結びつく場合には、私も一生懸命になってそれらの政治家を支えた。現役外交官時代の私にとって、橋本龍太郎、小渕恵三、森喜朗の三総理、高村正彦外務大臣、鈴木宗男官房副長官は、いずれも名誉を追及する政治家だったのである。
しかし、橋龍さんは女性に対して大した自信家だったらしい。 目をつぶって丸くなったのは西村六善欧亜局長。外務省・松尾事件。佐々枝賢一郎総理秘書官几帳面で小心。斉木昭隆内閣副広報官四条件満たす人物。海老原紳総理秘書官陰性。河相周夫官房長北方領土解決に反?東郷和彦大使三代目キャリア外交官。現役外務省職員で、ロシア人と同じように流暢かつ正確なロシア語を話すのは、ノンキャリアから年次が落ちるキャリア扱いの「特別専門職」に登用された川端一郎欧州局ロシア室長
    
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