ショパンのつぶやき

のなかどうぶつ病院の診療日誌

いじめられている犬の方が加害犬?

2012-09-25 02:31:51 | インポート

 豆柴メス7ヶ月、兄妹喧嘩でオス犬に脚を噛まれて骨折。

 兄妹のオスとメス犬を一緒に飼っているが、仲が悪くいつも喧嘩しメス犬がいじめられている。2匹を引き離しオス犬は外で飼いメス犬は部屋で飼うことにした。という悩める飼い主。

一般に柴犬の社会は掟が厳しくリーダーを頂点とした縦社会を作る。複数で飼う場合、どちらかが優位になるまで闘争を続けるなどむつかしい面がある。

 この習性は飼い主に対しても同様、家族の中でご主人様の位置は絶対で、その他の家族を噛むことは珍しくない。また、犬がご主人様より上だと感じていればご主人様も噛まれる。日本犬ではこの傾向が強い。

 また、この2匹は、オス犬は去勢メス犬は避妊されているが、これによってオス犬は弱くメス犬は強くなり、オス犬優先の原理が働かない。

 さらに、この家に来た時の問題がある。知り合いの家に生まれた5匹の中から2匹はもらわれて来た。最初はメス1匹の予定だったが、向こうの飼い主のたっての頼みでオス犬はやむを得ず引き受けた。いわば望まれない子犬。

加えて、オス犬を外に出したのはお仕置きと感じる。

 

こうした悪条件が重なってオス犬がメス犬をいじめる構造になっていると想像される。

しかし、その推察は外れているかもしれない。

 メス犬にしてみれば、飼い主の愛情を受けているのはこの私であって、オス犬あんたは望まれない子犬だよ。と陰でいじめているとも考えられる。

 相手が子犬だからと甘く見てはいけない。飼い主の心理はそのまま犬にも反映する。メス犬をかばうほどオス犬は立場が弱くなっていく。

 いじめられている方が実は加害者なのかも知れない。

左手骨折の豆柴

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