瓦版CARAVAN

かけがえのない我が子、天日古と大日人への遺言一式。「心を強く生き抜いて」と切に願いながら。04.10~07.3

再掲載/「少年」前編

2008-12-13 | 閑話
「あれ、変だな。 道が細くなってきたよ。 これ、間違えてるんじゃないか?」 男は助手席の妻に確認の声をかけたが、 彼女は既に寝入っていた。 後部シートには毛布にくるまった息子が熟睡している。 男はインド象の背中に跨がってはしゃぐわが子の姿を思い出し、 もう一頑張りするかと 眠気覚ましのタブレットガムを口に放り込んだ。 妻が寝入るのも無理はない。 出発は今朝午前三時だった。 昨日の夜から三人の二食 . . . 本文を読む

再掲載/「少年」後編

2008-12-13 | 閑話
手続き終了後、 夫妻は待ちくたびれた運転手の欠伸に迎えられ 静かにゲートを出た。 指定した要領で入金の確認ができ次第、 施術の日取りを連絡するという段取りだった。 院長は少年の部屋を尋ねた。 いつもの「語りかけ」を行うのだ。 手を両手で包みながら 彼女は少年に語りかけた。 「ねぇ、聴いてくれる。 さっきのおじちゃんたちはね、きみのジンゾウを 分けてほしいってお願いに来たのよ。 きみはふたつ、元 . . . 本文を読む