いろはにぴあの(Ver.4)

音楽、ピアノ、自然大好き!

村上めぐみ氏 電子オルガンリサイタル

2018-07-09 | ピアノ、音楽

 先日、カワイドリマトーンコンクール金賞受賞者であり、プロの電子オルガン奏者として活躍中の村上めぐみ氏の電子オルガンリサイタルに行ってきた。電子オルガンの奥深さを実感することがあり、機会があればプロの生演奏をぜひ聴いてみたいと思っていたところの演奏会だった。

 曲目は

パリのアメリカ人 G.ガーシュイン作曲

Speak Low K.ヴァイル作曲

パート・オブ・ユア・ワールド~アンダー・ザ・シー A.メンケン作曲

花 喜納昌吉作曲

恋は魔術師 M.ファリャ作曲

交響詩「ローマの松」より ボルゲーゼ荘の松~アッピア街道の松 O.レスピーギ作曲

休憩

「束の間の幻影」より Ⅰ.Ⅳ.Ⅶ.Ⅹ.ⅩⅡ.ⅩⅣ. S.プロコフィエフ作曲

オブジェ~メシアンへ。 村上めぐみ作曲

チヒィ・ザパダ・ズムロク  ポーランド民謡

大農園の牛追い人  A.ヒナステラ作曲

大きな古時計  H.C.ワーク作曲

彼方の光  村松崇継作曲

アンコール アニメメドレー(かな?)

 底抜けに楽しくて豊かな気持ちになれる演奏会だった。

 パリのアメリカ人、20世紀初頭のアメリカ映画の世界に入ったような気分。弦楽器、管楽器、そして鉄琴だろうか、オーケストラに近いわくわくする雰囲気、楽しかった。作曲家に気兼ねしながら曲を延ばしたり縮めたりする宿命でありながら、いつも敬意を払ってアレンジされていると村上氏プログラムに書かれていた。Speak Low、レトロな雰囲気の音色、こちらもタイムスリップしたような気分。マーメイドラグーンシアター、ディズニーらしい音色を追求したとのことだが、最初に本当に波音が、そして泡音が登場し、涼しくてきらきらした世界が広がる、海中にもぐって人魚になったような気分に。花、三線の音色で一気に気持ちが沖縄へと飛んだ。のどかで心あたたまる民謡。恋は魔術師、ファリアの火祭りの踊りの電子オルガンバージョンだったが、ロックのようなアレンジで斬新だった。「ローマの松」から2曲、ボルゲーゼの松のはじけるような出だし、その後のアッピア街道の神秘的な雰囲気でじわじわと盛り上がっていく雰囲気、雄大さにぞくぞくした。この曲こそ管弦楽の曲、オーケストラを聴きに行かない限り聴くことはできない曲だと思っていたが、なんと電子オルガンで聴くことができるとは!ちなみに電子オルガンの世界では、ローマの松はコンクールでお馴染みの曲なのだそうだ。

 後半はバレリーナの庄野早冴子氏のダンスとの共演だった。束の間の幻影から抜粋、原曲はピアノ曲だが難解そうな気がして、恥ずかしながら今までほとんど聴いてこなかった。ミステリアスな雰囲気だったり、明るく弾けるような原色の雰囲気だったり、各曲の世界を多彩な音色と寄り添うようなダンスで作り上げていた。オブジェ~メシアンへ、は、憧れの作曲家メシアンをイメージして演奏者本人がメシアンを演奏する前の曲として作った曲だが、鳥たちの鳴き声など自然を巧みに描写した音楽を作ったメシアンへの敬意が感じられるような演奏だった。その後、大きな古時計まで止まることなく演奏が進んだ。古時計に至るまでにどの曲かわからなくなったのが個人的には残念だったが、まるで音楽とダンスによる独自な舞台を見ているようで夢の世界にいざなわれたような気分だった。最後の彼方の光、透明感に溢れた美しい音楽だった、ボーイソプラノによるコーラスもリアルに再現していた。庄野早冴子氏のダンスも美しかった。村上氏の世界観に寄り添い再現しようとしていたと語られていたが、本当に世界観が伝わってくるようなダンスだった。

 演奏中に電子オルガンの音色の再現もあった。フルート、横笛、笙など近い音色の楽器同士の音の切り替え、そして人のコーラスや叫び声などの再現もあった。鍵盤を押すと洞穴から人が叫んでいるような声の音色も出すことができてびっくり。もちろん普通の楽器の音色も豊富で850種類はあるとか。。。驚くばかりだった。これらの音色を選び、曲のイメージを浮かべながら、特に他楽器の原曲がある場合はリアルな形でその音楽を再現されていて、まるで音楽劇をまじかで見ているような印象を受けた。演奏以前の曲から音色の段階から音楽を作り出す過程も楽しそうだな、と思った。少なくとも私が今まで持っていた鍵盤楽器に対するイメージを覆すような楽器だと思ったし、そういう楽器の特徴がフルに生かされた、聴きごたえたっぷりの演奏会だったと思う。

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