いろはにぴあの(Ver.4)

音楽、ピアノ、自然大好き!

早春の立山駅

2018-03-28 | 気になる場所、風景

 雪と嵐が続き、青空が見える日がほとんどなかった今年の冬も潮時がやってきた。雪が降らなくなり、徐々に暖かくなってきた。そしてついに、念願の晴れの日が到来!しかも週末、土曜日、何も予定が入っていない日に♪せっかくなので気になるところに出かけてみようと思い、富山地方鉄道立山線に乗車。終点まで向かうことにした。

 富山駅を出発した富山地方鉄道立山線。徐々に立山に近づいている。

 もっと近くなる。剣岳が目の前に見える。

 

 岩峅寺駅を過ぎて電車が南方から東方へ向かい始めると、雪が見えはじめ、風景も一気に変化する。積もった雪の中から生えている木々が印象的。

  川が流れている。山に向かうときに川を沿って上ることは多いけれど、雪の積もった河岸を見るのは初めてだった。

 橋を渡る。選奨土木遺産に認定された立山線の千垣橋梁だ。向こうに見える橋は、千垣橋梁ではないけれど、さすがの景観!

 車窓から。ここは日本!川が雪で覆われている。

 無事に立山駅に到着。しかし人はほとんどいない。なにしろアルペンルート開通前、ケーブルカーも休業中。

  しかし失望はしない。立山駅周辺からも十分に素晴らしき絶景を楽しめるのだった。美しい山々も豪快な川の流れが楽しめる。むしろ、厳しい冬が明けた直後の立山駅周辺をこの目で見ることができる喜びを噛みしめていた。

 そしてその期待通りの風景が待っていた。ここは立山駅の南側、階段のようになっているけれども、いつもは水が大きな音を立てて流れているところ。冬なので雪が積もっていて、かなり奥、川の中心部を水が流れていた。

 鉄橋。スケールが大きい!

 

 この険しい鋭角の山々がたまらない!

  反対側を見ると踏切が見える。こんな山に囲まれたところに踏切があるということ自体にそそられるものがある。しかし立山線からはちょっと離れている感じだ。一体何の踏切だろうか?

 そう思いながらしばらく歩いていたら、じっとこちらを見つめている方が!こんなことが起こるとは全く想像していなかった。

かもしかさ~ん!

 まさか、こんなところで、国の特別天然記念物、かもしかに遭遇するとは思わなかった。しかもこのかもしか、私がスマホを向けても全く逃げるそぶりがなくずっとカメラ目線だった。好奇心がとても強いらしい。後でかもしかは富山県の県獣であることを知った。嬉しくなってきた。  お目にかかれてうれしいです!

 かもしかとの遭遇という思わぬハプニングにすっかり浮かれ理性のタガが外れそうになりながらも、再び立山駅のほうに向かう。

 立山駅の近くには、立山カルデラ砂防博物館という素晴らしい博物館がある。立山黒部アルペンルートの南側に、立山カルデラという巨大な窪地がある。その立山カルデラの周辺では土砂流出災害が度重なり人々の生活にも支障があったため、土砂崩れをなくすために砂防事業を繰り返すことで富山平野への土砂の流出を防いでいる。立山カルデラ砂防博物館では人々と立山カルデラとの関わり方の歴史や今後について学ぶことができる。この時間には開館していたが今回は行かなかった。

 立山カルデラ砂防博物館の裏側にちょっと足を運んでみたら、小さな社に遭遇。本当に神様がいそうな気がする。

 そしてこのトンネルらしき建物。あの立山アルペンルートのケーブルカーが出発するところだ。シーズン前なので静まり返っている。

 立山駅の前、喫茶も二軒あるのだが、残念ながらどちらもあいていなかった。でも風景はアルプスらしくて素敵。。。

 ちょっと視線を変えるとこんなに素晴らしい景色も楽しめる!

 立山駅前の線路。奥は立山駅。プラットホームも雪がもっこり。

 線路を渡って反対側に向かう。反対側から見た立山駅。この日でなければここまでちゃんと見ようとは思わなかっただろう。

 立山駅近くに生えていた木。このあたりの木は生え方もワイルドなのだった。

 反対側には川があるのだが、なにしろ雪が沢山降った後、大活躍したと思われる除雪のショベルカーが川べりにたたずんでいた。

 

 案内がある。上流には、落差日本一の称名滝がある、称名川だ。

 さらに川のほうに向かうと見えてきた。ダイナミックな流れが。水量はいつもよりは少ない気がしたが、それでもかなりの大音量だった。遠くには北アルプスの山々が!この風景全体がスケールが大きくてお気に入りなのだった。水が流れる様子を動画にも撮ったのだが、載せ方がわからず載せられなくて残念だ。

  時間帯は夕方、橋の反対側の流れはゆるやかだったが、川と雪と沈もうとしている太陽とのコントラストがなんとも幻想的な雰囲気を醸し出していた。立山駅の駅員さんがおすすめの場所だと教えてくださったところ。

 短時間だったが、スケールの大きな大自然に囲まれて体も心もすっかりリフレッシュすることができた。今年の冬は寒くて雪も多く厳しい冬だったが、冬の間さらに厳しかったであろう立山駅周辺の春の訪れをこの目で見ることができて本当によかった。生きた地球の姿が手に取るように伝わる大自然にあふれたところに、富山地方鉄道という、公共交通機関だけで行くことができるというのも貴重なことに思えた。

 帰りの車窓から。本当に楽しかった!是非また足を運びたい。

 

 

  


穴水にコンサートを聴きに行ってきました

2018-03-05 | ピアノ、音楽

 これまでの寒さはどこへやら、すっかり暖かくなり春らしい陽気が心地よい中、穴水にピアノコンサートを聴きに行ってきた。いしかわ・金沢 風と緑の楽都音楽祭、今年はモーツァルトをテーマにした音楽祭の一環で、穴水のこちらのホールでオールモーツァルトの演奏会が開かれた。ピアノ仲間の友人も演奏者の中に入っているオーディション合格者によるピアノコンサート、穴水の合唱団によるアヴェ・ヴェルム・コルプス、そしてピアニスト、松本和将氏によるピアノコンサートという贅沢な内容だった。

 会場には電車で向かった。長時間乗車だったのだがそれがなかなか楽しかったのだ。七尾から穴水に向かう、のと電車、なんとも印象に残る外見。この写真では少し見えにくいが、マジンガーZも描かれている。輪島市出身の漫画家、永井豪氏にちなんだらしい。

そして中もすごいのだった。隷書で「喜翠荘」と書かれたドア、そしてアニメの額縁。アニメは『花咲くいろは』というアニメで、その主人公が働いていたホテル「喜翠荘」は、石川県に少し前まであった白雲楼ホテルというらしい。

 のと鉄道の遊び心の極めつけはやっぱりこの季節ならではのこちら!車内の客席になんとひな壇が飾ってあったのだった。もちろん本物。それが違和感を感じないところがすごい!感動してしまった。

 そして外はこんな感じ。海は広いな大きいな~日本海とは言えども能登の海は能登島の影響か、あまり波が激しい内灘になっていてとても穏やか。ぼうっと眺めていたくなりそうな風景。

 いくら面白いものが多かったとはいえども到着までの前置きが長すぎたかしら。そこで一気に穴水駅→会場ののとふれあい文化センターへ。これが山の上にある上に海からも近く長閑でよいところ。かつてどこかで行ったことのあるような。。。海辺や湖の畔にあるホールを連想した。

 そして時間ぎりぎりに到着。風と緑の楽都音楽祭のイメージキャラクターガルガンチュアとモーツァルトたちがお出迎え。ホールからはきらきらした連弾が聴こえてきた。

 ホールでは子供たちによるみずみずしいモーツァルトの演奏が始まっていた。光り輝いたエッセンスが込められておりそれが伝わってくるような演奏、また元来は木管楽器等他の楽器による曲だったものがピアノ曲に編曲され立体的に感じられた演奏、魅力が沢山伝わってきた。未知の曲も多く、こんな曲も作っていたんだと新たな驚きや感動があった。ピアノ専門の学生さん、ペダルを沢山踏まれていながらも全く濁ることがなくきちんと演奏されていて衝撃を受けた。プログラム最後に演奏した友人、未来を見据えたモーツァルトの世界を繰り広げていた。重く激しい和音で始まりめくるめくように転調、音楽が広がり明るく光がさしたかと思ったら再び疾風怒涛で畳み込むように駆け抜けるシーン、ぞくぞくした。とても難しく奥深い曲だと思うけれど、この曲にじっくり向き合ってきたからこその熟成が感じられた。本当にお疲れ様です。

 地元の合唱団二組による合唱、藤井寛氏の指揮、松本和将氏によるピアノで、アヴェ・ヴェルム・コルプス、嬉しいことにプログラムに歌詞があったので、柔らかな美しい声の邪魔になってはいけないと思いつつも、ちゃっかり一緒に口ずさんでいた。アヴェ・ヴェルム・コルプス、なんていい曲なのだろう、短いのに、歌っているうちに気持ちが盛り上がるのだった。こんな曲を生み出したモーツァルト、やっぱり只者ではない。

 そして後半は、ゲストピアニストの松本和将氏によるピアノで、モーツァルトのソナタ第2番KV280、ソナタ第9番KV310、ソナタ第11番KV331だった。初期に作られたソナタ第2番、ほっこりとのびやかな感じの第1楽章で心温まる気分になっていたらがらりと雰囲気が変わり哀愁に溢れ、そして果てしなく美しい第2楽章、初期からこんなに深みのある音楽を作っていたのかと驚くばかりだった。ソナタ第9番KV310、母を亡くしたときにつくられたという、数少ない短調のソナタ、決然とした思いが感じられるきっぱりとした鋭角の音色と疾走感、それまでとがらりと変わり、音の中からほとばしる感情がぐっと伝わってきた。じっくりと間を取り音を吟味されているところも味わい深かった。KV310も特に第2楽章が素晴らしく、こんなに豊かな内容の曲だったのだと新たに感じ入る次第だった。音楽の進行と感情の流れとともに心も寄り添い没入したいしそうすることが幸せな気持ちになっていた。ソナタ第11番KV331、変奏曲から始まりメヌエット、そしてトルコ行進曲、当時としては画期的な楽曲だったとの解説。それぞれの変奏曲のキャラクターをリピートなしで丁寧にきちんと紡ぎ出されていてすごいと思った。きめ細やかな音色のパレット、無限大にお持ちのようだ。アンコールではショパンの英雄ポロネーズだったのだが、そこでがらりと雰囲気が変わったのも見事だった。はじけるような華やかさとエネルギーが感じられて、そのエネルギーがこちらにもじわんじわんと伝わってきた。

 素敵な音楽に包まれて幸せいっぱいだった演奏会、もっともっとそのホールにいて音楽を浴びたかったのだけど、さすがにそういうわけにはいかず、それでも帰宅後にも余韻を保ちたいと思い、松本氏の今日演奏された第9番KV310、ソナタ第11番KV331の入ったCDを購入し、サイン、そしてお話もさせていただいた。そして、友人と、余韻を噛みしめ、遠方だったけれど穴水に来てよかったという話をして、駅まで送ってもらい、帰路に向かった。

 帰りののと鉄道の車窓から見えた風景。不思議な立体物の正体は、「ボラ待ちやぐら」という、ボラの群れを見張り網を手繰る漁業用のやぐららしい。