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台湾鉄道に山線と海線がある。清水駅は同じ台中市内の清水区にあるが海線の駅である。台中からは直通列車はない。彰化という台鉄の機関区駅まで戻り、そこで乗り換える。
足をくじいている私はよろよろとしか歩けず、乗り換えがスムーズにできない。プラットフォームからエレベーターに乗り、隣の月台まで移動するに15分もかかる始末だ。ようやく清水の駅に着いたのはもう10時に近かった。列車が清水の駅を発車すると駅員たちが帰り支度を始めた。
最終列車だったんだ。痛む足を引きずりながら改札口を通ると駅員はもう帰宅したのか一人もいない。いつも最終列車で清水なんかで降車する乗客なんかは居ないのかもしれない。せっかく買い求めた切符を私は地面に投げ捨てた。
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前回は台中港から国道沿いにバスで清水に来た。清水の駅は初めてだ。私は不確かな記憶を頼りに宿屋を目指した。こんなとこやったろうか?このまま野宿の可能性も考えながら、痛む足を引きずった。
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裕に一時間はかかったろうか、私は宿屋に到着した。このあたりなら地理をしっかり覚えている。チェックイン前に7-11によってラーメンを仕入れておこう。前回は買ったものの時間がなくて食べられず、宿屋のおやじにくれてやっただったからな。
カップラーメンを抱えながら宿屋のカウンターに「よう!覚えてるかい!」とおやじに挨拶すると、知らんぷりをしている。「今日は満員。」とそっけない返事。ええ!一年前に予約したじゃん!と言うと、「一年前?馬鹿か、あんたは!」と言う目で「今日はグループ予約だ。」近くに安い宿屋があるから、そこへ行きな!」と言う。
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わかった。そこへ行こう。その前にラーメンを食わせくれ!と言い勝手知ったる何とかで、お湯を勝手に持ち出し、5分待ってラーメンをすすった。
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すすりながら、おやじに「本当に覚えていないか?お前が台中の飛行場まで有料で車で送ってやるといったのを桃園国際空港までと早とちりした日本人だぜ。」と言ってやると、「あー。思い出した!」とぬかしやがった。「本当に今夜は団体で満席なんだ。いつもはガラガラだけど、悪いけれど、そんな訳で…。」と殊勝なことを言う。
しかたないな。 俺はまたもや痛い足を引きずらなければならなかった。
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つづく
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