西村まさと 

日本共産党釧路市議会議員

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釧路公立大学事務組合議会 2022年7月 臨時会 議事録

2023-04-06 18:48:18 | 釧路公立大学事務組合議会

釧路公立大学事務組合議会議事録シリーズの第3回目は、2022年7月臨時会のものを公開します。

公立大学法人化するにあたり、2022(令和4)年7月8日に、臨時議会が開かれました。

この議会を契機に公立大学法人化への道が開かれることとなりました。

この時も私のみ質問しました。

 

 

公立大学法人化に反対

1回目の質問

(理事長と学長の選任)

1、まず議案第3号公立大学法人釧路公立大学定款制定の件について、質問します。この定款の最大の問題点は、第10条にある「理事長の任命は、管理者が行う」としている点、第11条で「学長は、選考会議が行う選考に基づき、理事長が任命する」とし更にその学長選考会議はたったの6人しかいない点だと思います。これでは、管理者好みの人物、つまり釧路市役所幹部OBなど釧路市長の側近の人物が理事長になってしまうのではないかと危惧です。理事長というポストを新設するのであれば、大学経営に最もたけている人を学内から投票で選出すればいいだけの話です。経営学の専門家がいるこの学内に人材がいないとは考えにくいです。蝦名管理者を含め我々政治家が大学内の人事に介入する仕組みは導入すべきではありません。

 また、学長については、6人の学長選考会議があります。さすがに理事長と副理事長つまり学長はそのメンバーに入れないことは定款上規定されてはいますが、それでもやはり選考過程が不透明になってしまうという危惧があります。選考会議の中で決定するよりも、教員の投票によって決定するのがより民主的な選考ではないかと思います。

 前議会で定款素案が出され、蝦名管理者からは「魅力ある大学づくりを進める経営と、教育研究の役割を分担し、負担を軽減するために、理事長と学長を別置したい」と答弁がありました。今回の定款は本当の魅力ある大学づくりにつながるのでしょうか。定款というのは株式会社でもそうですが、機構とか役員とか資本金とかガバナンス的なことを規定するものであって、魅力ある大学を作るかどうかは定款ではありません。定款を読んでも、独立行政法人に組織を変わるのはわかりますが、魅力ある大学作りについて方策を規定している条文はないように思われます。

 そこで、お尋ねしますが、理事長と学長を別置するとどうして魅力ある大学になるのか、改めてご説明を頂きたいと思います。

 

(中期目標と中期計画の弊害)

2、次に、議案第4号釧路公立大学事務組合公立大学法人評価委員会条例についての質問に移ります。法人化する国立大学の場合、他の独立行政法人法とは別の枠組みがつくられています。ところが公立大学の場合は、他の独立行政法人と同じ枠組みに入れられ、評価も他の独立行政法人と同様になされます。例えば地方独立行政法人法では、25条で中期目標を、26条で中期計画を設定することが求められています。この規定は公営企業等を独法化する場合を念頭においているもので、平たく言えば公営企業等に対して目標を定めてもっと利益を出せと発破をかけるものです。ですから大学にまで、中期目標、中期計画を求めることは、なじまないと思います。なぜならすぐには成果につながらない長期的研究がやりにくくなる危惧があるからです。中期目標、中期計画を定める、更にそれを管理者が委嘱した評価委員に評価させるというやり方は、独立採算制の公営企業に成果主義、ノルマ主義を導入するものであって、大学で採用すべきことではないはずです。お金につながらない研究や、成果を出すのに時間がかかる長期的研究が今後どうなってしまうのか心配になります。大学が中期目標にしばられると、長期的な視野にたった教育・研究が軽視されることはないのでしょうか。どのような目標・計画をたてるかは、大学の自主性にゆだねるべきだと思います。管理者の認識について答弁を求め、1回目の質問を終わります。

 

〇管理者 蝦名大也

 まず、理事長と学長の別置についてと、魅力ある大学についてでございます。

 理事長と学長の別置、これにつきましては、経営部門の責任者としての理事長、そして教育部門の責任者としての学長を別置することで、経営力の強化と学生や社会のニーズを踏まえた教育研究を提供する体制が整うものと考えているものでございます。

 そこで経営と教育の役割分担の明確化と負担軽減を図り、各々が役割を果たし、十分に連携していくことが、大学の価値を上げ、そして学生から選ばれる魅力ある大学づくりにつながるものと考えているところでございます。

 続きまして、中期目標についての質問であります。この中期目標は、独立行政法人法におきまして、「設立団体の長が中期目標を定めるときは、あらかじめ公立大学法人の意見を聴き、その意見に配慮しなければならない。」と、このように規定されてございます。

 設立団体として公立大学法人に示す中期目標の作成過程においても、教員のご意見も伺い作成するまのでございまして、教員の研究については、引き続き尊重されるものと、このように考えている次第でございます。私からは以上であります。

 

2回目の質問

(魅力ある大学にするための政治の役割)
1、議案第3号に対する再質問をします。独立行政法人化により、理事長と学長の別置をし、それが魅力ある大学につながるという趣旨のことを強調されて、答弁いただきました。理事長、学長を別置するにしても、選考方法が民主的でなければいけません。政治家でもある管理者が理事長を任命することは、やはり大学に政治が関与することにつながります。大学は行政機関ではないので、市長が教育長を任命するのとは全く違う性質の話です。

 この定款では、本当に魅力ある大学がつくれるのかがはっきり見えてきません。魅力ある大学というのは何なのか、法人化と切り離してよく考える必要があると思います。政治や議会が、魅力ある大学を作るのに必要なことは、学生がお金の心配なく学べる環境をつくることではないでしょうか。釧路管内の市町村が運営する大学なのですから、管内出身者には入学金や授業料は無料にするとか、返済不要の奨学金を支給するとか、家賃を助成するとか、そういうことではないかと思います。学生から選ばれる大学になるという目標も持たれています。学費が高くて大学進学をあきらめている方が大勢いらっしゃいます。この定款が認可されれば、本当に学生に選ばれる魅力ある大学になるのでしょうか。魅力ある大学にするためには、政治や議会は何をすべきなのか、蝦名管理者の認識をお尋ねします。  

 

(政治からの独立)
2、続いて、議案4号に対する再質問に移ります。今の質問に対する答弁で、要するに管理者が言いたいことは中期的研究がやりにくくなるという弊害はないということを言いたかったんだと思います。

 しかし、政治家である管理者が中期目標を定め、同じく管理者が委嘱した評価委員に達成できたかを評価させる、これは大学の自治に対する介入にあたるのではないでしょうか。議案3号では、管理者が理事長を任命するという点で、政治の介入にあたる危険を指摘しました。この議案4号では、管理者が策定した中期目標を実現できたかを、管理者から委嘱された評価委員が点検する、その点で議案第3号と同じ性質の危険があると思われます。世界で形成されてきた「大学改革の原則」は、「支援すれども統制せず(サポート・バット・ノットコントロール)であります。釧路管内の市町村がお金を出して、なお且つ人事や中期目標などに干渉しないのが、世界の大学の在り方ですし、学問の自由を保障した日本国憲法の立場です。この議案にある評価委員会を通じて、大学の教育研究が、管理者である蝦名釧路市長の意向に左右されるようになり、大学の自主性が損なわれることにならないのかが、最も心配されます。改めて、管理者の認識について答弁を求めます。併せて、次の答弁を聞いても、これまで申し上げたいくつもの危惧が解消されない場合は、議案3号、4号とも賛成できかねるという態度表明もさせていただいて、質問を終わります。

 

〇管理者 蝦名大也

 魅力ある大学の実現に向けては、大学の価値を上げて、学生から選ばれるということをベースに考えているということは、先ほどもご答弁させていただいたところであります。

 その魅力ある大学の実現に向けては、法人化後の大学運営に理事長と学長が協議・連携し、大学施設の整備やカリキュラム改定などを大学自身で考えて、進めていただくということになるわけでございまして、事務組合といたしましては、法人化後の自立した大学経営と学生や社会のニーズに対応した教育研究環境の提供に対して、しっかりと支援する、こういったことを進めていく、これがまさに先ほどお話した大学の価値を上げて学生から選ばれる、こういった大学の実現に向けて進んでいくことであり、これが重要なことだと、このように考えている次第でございます。

 また、政治からの中立、独立ということですが、中期目標の策定でございますとか、評価委員会の設置やその役割につきましては、地方独立行政法人法に定められた規定に基づき実施されることでございまして、これらの制度を通じまして、設置団体である事務組合として公立大学法人をしっかりと支えていくと、これがまさに重要なことだと考えているところであります。

 ですから繰り返しでありますが、その上で、新たに任命される理事長と学長が十分に協議・連携いたしまして、公立大学法人自身が判断をしながら、運営されていくものと、このように認識しているところでありまして、ご指摘のような懸念にはあたらないものと、このように考えてございます。

 

過去の議事録はこちらから
釧路公立大学事務組合議会 会議録 2021年10月 - 西村まさと
釧路公立大学事務組合議会 2022年3月 定例会 議事録 - 西村まさと