No. 1671 知床観光船事故(『朝日』5月3日)
流氷が知床の海岸から去ってまだ間もない海岸の海水温は5度以下だろう。着衣のまま水に漬かったら泳ぐことは無理、体温が奪われて数分で意識混濁となる、これ以上は贅言。監督官庁の調査が進むにつれて、観光船運営会社の出鱈目さが追加報道される。こんな杜撰な経営の船会社を許していたお役所の罪は軽くは無い。無論、最大の罪はルール無視の船会社にあることは言を俟たない。
立派なルールを造っても企業が従わなければナンセンスだが、最小限ルールはきちんとした物でなければなるまい。ルール運用に関してその解釈に企業ごとのバラつきが許されない最小限の歯止めとなる部分が必要ではなかろうか。運航開始時期の明確化、気象・海象の条件の数値化、就業・勤務体制・労務管理体制の明確化、従業員の資格の明確化、施設の維持管理の最低基準、事故対応の統一基準、同業者間の連携の仕組み作成、等などだ。
貴重な自然遺産、観光資源である知床を疵のあるものにはして欲しくない。安全な営業再開を心底望む次第だ。