二宮正治の世界2です。

悩める人達のためのブログです。

二宮正治小説:心の旅路の果て:第60回

2014-12-31 07:23:27 | 日記

 啓二、ひろ子、かおるはお台場の大江戸温泉物語にいる。

「東京駅は明治からの歴史の分かる場所だったけど」

 このかおるの言葉にひろ子は、

「そうねえ、東京駅が懐かしい明治の香りなら、このお台場の大江戸温泉物語は本当の江戸の香りが漂うわ」

 ひろ子が目を輝かせてこう言う。

「気に入ってくれたかい」

 啓二もはしゃいでいる。

「露天風呂つき個室を予約してあるんだ」

 啓二の言葉にひろ子とかおるは、

「うわあ、すごい」

 と歓声を上げる。

「江戸時代の江戸っ子の気分を味わえるよ」

 三人は子供に返ったようだ。

「さあ年忘れだ」

 啓二の言葉にひろ子とかおるがうれしそうに頷く。

*この物語は中井貴一、薬師丸ひろ子、杉田かおるをイメージして描いています。


二宮正治小説:心の旅路の果て:第59回

2014-12-30 08:45:05 | 日記

「東京駅の存在自体が物語なんだ」

 啓二が東京の夜に浮かび上がる東京駅の夜景を見てひろ子とかおるにこう言った。

「東京の歴史を語っているのよねえ」

 ひろ子のこの言葉にかおるが、

「明治、大正、昭和のね」

 こう言葉を付け加えた。

「みんな東京駅を愛しているんだ」

 啓二のこの言葉にひろ子とかおるが黙って頷いた。

しばらくの無言の後啓二が、

「二人とも記憶がなくなったぼくの事を真剣に心配してくれてありがとう。今日は三人で忘年会をしようよ」

 ポツリと呟いた。

「どこで」

 ひろ子とかおるが口を開く。

「お台場の大江戸温泉物語にしよう」

 啓二はうれしそうにこう言うのだった。

*この物語は中井貴一、薬師丸ひろ子、杉田かおるをイメージして描いています。

  


二宮正治小説:心の旅路の果て:第58回

2014-12-22 04:04:20 | 日記

 啓二、ひろ子、かおるが東京駅を歩いていると、人々の怒号が聞こえてきた。

「あれなに」

 びっくりしたようにひろ子が聞いた。

「あれスイカの販売でもめてるんだよ、きっと」

 啓二も心配そうに答えた。

「行って見ましょうよ」

 かおるが二人を誘う。

声のほうに行って見ると、啓二の言ったとおりだった。

途中で記念スイカの販売を打ち切ったのだ。

「怒るよなあ、並んでいる人はたまんないよ」

「ほんとねえ」

「不手際だわ」

 三人は並んでいる人に同情する。

「この争いに巻き込まれると大変だから他所の場所に行こう」

「そうしましょう」

 三人はこの場を去った。


二宮正治小説:心の旅路の果て:第57回

2014-12-20 04:28:28 | 日記

「それにしても東京駅って日本だけじゃなく世界各国の言葉が飛び交ってるよね」

 かおるの言葉にひろ子が、

「ええ、世界の人々が憧れているのよ東京に」

 こう言葉を返す。

「ニューヨークやパリは」

「そりゃあ人気があるけど、東京の人気はそれを上回っている」

「へえー」

 かおるとひろ子の会話に啓二が口を開いた。

「夢があるんだ、東京駅は」

 うれしそうに啓二が言う。

「啓二さん、よっぽど東京駅が好きなのね」

「ああそりゃあもう、ぼくの旅の出発点だもの」

 かおるは啓二の顔を見ながら、

「私はこの人生旅をしなかったなあ。修学旅行で日本三景安芸の宮島(広島)を見たくらいかな」

 こう言って苦笑するのだった。

「東京の人間って、東京しか知らない人が結構多いんじゃないの」

 ひろ子もこう言って苦笑した。

*この物語は中井貴一、薬師丸ひろ子、杉田かおるをイメージして描いています。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


二宮正治小説:心の旅路の果て:第56回

2014-12-19 03:57:17 | 日記

「うわあ明治時代が目の前に」

 ひろ子が東京駅の夜景を見てこう言った。

「これは芸術ね」

 かおるも東京駅の美しい風景に驚嘆している。

「日本の顔だよ」

 啓二が満足そうに呟いた。そして、

「さあみんな東京駅の中を歩いてみよう」

 ひろ子とかおるを促す。

「それにしてもこの東京駅って国際ステーションね」

「ホント、世界の言葉が飛び交っている」

「日本のいろいろな地方の言葉もあるよ」

「ええ、さすが東京駅」

 三人は東京駅の隅から墨まで歩く事にした。

心は少年少女に返っている。

*この物語は中井貴一、薬師丸ひろ子、杉田かおるをイメージして描いています。


二宮正治小説:心の旅路の果て:第55回

2014-12-18 02:23:07 | 日記

 啓二、ひろ子、かおるは三人で仲良く東京駅を歩いた。

「小学生に戻ったような気分がする」

 かおるのこの言葉にひろこも顔をほころばせ、

「本当ねえ、小学校の時に課外授業で東京駅に来たことがある」

 笑顔で言葉を返した。

「啓二さんは東京駅に思い出がいっぱいあるの」

 このかおるの問いかけに、

「うん、両親に海水浴に連れて行ってもらった時いつも東京駅から電車に乗ったから」

 啓二が言葉を返す。

「うわあ、記憶を取り戻した」

 ひろ子が啓二のこの言葉に手を叩いて喜ぶ。

かおるも目を輝かせて、

「小学生の頃」

 啓二の顔を見ると、

「いや、もっと前だ」

 微笑んで言葉を返した。

*この物語は中井貴一、薬師丸ひろ子、杉田かおるをイメージして描いています、


二宮正治小説:心の旅路の果て:第54回

2014-12-17 04:39:36 | 日記

「ひろ子さん、なぜ私達がここにいる事がわかったの」

「わかるわよ、私も啓二さんを愛しているんだもの。大好きな人がどこにいるかぐらいは察しがつく」

「女の勘ってやつね」

「そういう事」

 かおるとひろ子はかおを見合わせて笑った。

啓二もこの和やかな雰囲気に気を良くしたのか、

「東京駅で食事でもしようか」

 二人の女性に声をかけた。

「うわあ、おのぼりさんみたい」

 かおるが苦笑した。

「ぼくは東京生まれの東京育ちなので、地方の言葉を聞くのが好きなんだ」

 この啓二の言葉に、

「そういえばこの三人みんな東京生まれの東京育ちだもんねえ」

 三人は顔を見合わせて笑った。

*この物語は中井貴一、薬師丸ひろ子、杉田かおるをイメージして描いています。


二宮正治小説:心の旅路の果て:第53回

2014-12-16 04:05:13 | 日記

「啓二さん、東京タワーの夜景はどう」

 かおるは啓二に優しく聞いた。

「すばらしい」

 啓二は涙目でかおるにこう言った。

「昔好きだった女性と一緒に見たような気がする」

 啓二はこう言ってため息をついた。

そんな時二人の前に現れたのはひろ子だった。

かおるはびっくりして、

「なんでひろ子さんがここに」

 この言葉にひろ子は、

「たぶんここじゃないかと思って」

 二人を見据えて言葉を返した。

そして無邪気に、

「私も仲間に入れてよ」

 こう言うのだった。


二宮正治小説:心の旅路の果て:第52回

2014-12-04 05:19:43 | 日記

かおるは、

「啓二さんは記憶が戻らないと本当に死んでしまうかも」

 本気でこう思うようになった。

「あの人の記憶を取り戻すお手伝いをしよう」

 かおるはこう決意したのだった。

そして、

「一生の仕事にしてもいい」

 こう思うようになっていたのである。

ある日かおるは啓二にさりげなく聞いた。

「あなたが東京で一番好きな場所は」

啓二は、

「東京タワー」

 と答えた。

「ずっと昔から」

「子供の頃から」

 かおるはこの啓二の言葉に、

にっこりと笑うのだった。

*この物語は中井貴一、薬師丸ひろ子、杉田かおるをイメージして描いています。

 


二宮正治小説:心の旅路の果て:第51回

2014-12-01 15:16:40 | 日記

「かおるさん、お世話になりました。お別れの時が来た」

 啓二はかおるを見てこう切り出した。

「ひろ子さんを選ぶの」

「いいや・・・・」

「じゃあ、なぜ私と別れるというの」

「記憶が全くないぼくは生きている価値のない男だ」

「何言ってるの。あなたのせいでそうなったんじゃないでしょう。あの事故が」

 こう言うとかおるは激しく泣き出した。

そして、

「死なないで、辛い時は私があなたのそばにいてあげる」

啓二も涙をこぼしている。

「記憶が戻った時に二人で乾杯しよう」

 かおるは啓二の顔を見た。

啓二は遠くを見たままだ。

 

*この物語は、中井貴一、薬師丸ひろ子、杉田かおるをイメージして描いています。