二宮正治の世界2です。

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二宮正治小説:心の旅路の果て:第51回

2014-12-01 15:16:40 | 日記

「かおるさん、お世話になりました。お別れの時が来た」

 啓二はかおるを見てこう切り出した。

「ひろ子さんを選ぶの」

「いいや・・・・」

「じゃあ、なぜ私と別れるというの」

「記憶が全くないぼくは生きている価値のない男だ」

「何言ってるの。あなたのせいでそうなったんじゃないでしょう。あの事故が」

 こう言うとかおるは激しく泣き出した。

そして、

「死なないで、辛い時は私があなたのそばにいてあげる」

啓二も涙をこぼしている。

「記憶が戻った時に二人で乾杯しよう」

 かおるは啓二の顔を見た。

啓二は遠くを見たままだ。

 

*この物語は、中井貴一、薬師丸ひろ子、杉田かおるをイメージして描いています。