「それにしても東京駅って日本だけじゃなく世界各国の言葉が飛び交ってるよね」
かおるの言葉にひろ子が、
「ええ、世界の人々が憧れているのよ東京に」
こう言葉を返す。
「ニューヨークやパリは」
「そりゃあ人気があるけど、東京の人気はそれを上回っている」
「へえー」
かおるとひろ子の会話に啓二が口を開いた。
「夢があるんだ、東京駅は」
うれしそうに啓二が言う。
「啓二さん、よっぽど東京駅が好きなのね」
「ああそりゃあもう、ぼくの旅の出発点だもの」
かおるは啓二の顔を見ながら、
「私はこの人生旅をしなかったなあ。修学旅行で日本三景安芸の宮島(広島)を見たくらいかな」
こう言って苦笑するのだった。
「東京の人間って、東京しか知らない人が結構多いんじゃないの」
ひろ子もこう言って苦笑した。
*この物語は中井貴一、薬師丸ひろ子、杉田かおるをイメージして描いています。
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