わたしが前の鳥籠を飛び立ったのは、もうそこでは生きていられなくなったから。
そして、わたしには「外科」というものが合わないとわかったから。
血が、手術が、というのではなく、あの時の流れかたになじむ事ができなかったから。
だから、内科にきた。
仕事は忙しいけど、時の流れかたは違う。
でも……
ときおり、ふと頭をよぎる。
わたしは、白衣の天使として舞うことそのものが…
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わたしが毎日毎日、想いを謳っても、届かなかった。
本気だと思わなかったと。
想いを伝えたのは、ここの言葉だった。
あれだけあれだけあれだけあれだけメールを交わしても交わしても伝わらなかった。
その話題になるたびに、伝えたつもりだった。
苦手だということも、そう判断する客観的理由も。
そのことにまつわる嫌な思い出も。
言葉にしても、イントネーションでも、表情でも伝 . . . 本文を読む
得意なひとや、本当に好きなひとには、苦手なひとや嫌いなひとの気持ちや考え方はわからないのだろうな。
思考過程やとらえ方が根本的に違う。
伝わらない。
打っても、響かない。
塾講師をしているときも感じた距離感。
しかたない。
こればかりはしかたない。 . . . 本文を読む
初めて、自分の母子手帳をみた。
19と44。
25歳差でできた子供。
44だった彼は、既に家庭もあって。
成人した子供がふたりもいた。
なんで。
なんで母さんに近づいた。
母さんから近づいたとしても。
どうして拒まなかった。
どうして離婚や再婚約をせずして未成年な母さんを身ごもらせた。
わたしに名だけ与えて。
わたしは悪役ではないか。
母さんからはわ . . . 本文を読む
わたしの謳が届かないなら。
それはもう仕方ない。
今のわたしには謳いたいひとがいる。
毎日謳いあい、離れた地にいても、互いを確認しているひとがいる。
そのひととの刻を理解しないなら。
そのひととの刻を邪魔するなら。
容赦しない。 . . . 本文を読む
飛びつかれて、黒い鴉につつかれて、はねはぼろぼろになって。
飛べなくなって、落ちゆくわたしをセイレーンが受け止めて。
わたしから黒い鴉を追い払ってくれた。
眠れるようになったわたしのはねを、グリュプスがなおしてくれた。
そして、これからはいっしょに飛ぼうとしてくれる。
セイレーンも、祝福のうたを歌い続けてくれる。
本当に、わたしはふたりに助けられた。
感謝してもし . . . 本文を読む