このあいだ、グリュプスのダンスの恩師が小樽に来るというので、お昼をいっしょにすることになった。
駅で恩師を待っていると、恩師があらわれた。
恩師はグリュプスを抱きしめた。
そしてわたしに言った。つきあいが長いから、ごめんね、と。
別にわたしはなにも思わなかったので、お気になさらずに、と伝えた。
食事には少し早かったので、恩師が行きたいと言っていたお店に向かった。
その途中に、恩師 . . . 本文を読む
きょうのあさ、病室のカーテンを開けると、白いものがたくさん、まっていた。
ゆきがふっていた。
粒がおおきくて、はねのようにふわり、ふわりとまっていた。
ゆき。
そういえば、わたしはゆきがすきだった。
風のない日に、ゆっくりと、とりのはねみたいにふわふわとまいおりてくるゆき。
つめたいのに、あったかいかんじがする。
また、このきせつがきた。
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もし、わたしが最期にみるなら。
グリュプスのどんな表情がいいだろう。
きっと、グリュプスは、
まつげの長い、やさしい目からぼろぼろ涙をこぼすのだろう。
おおきな手でぬぐっても、ぬぐっても、あふれてくる涙をぬぐいつづけながら、わたしをみつめるのだろう。
きっと、わたしは笑ってしまう。
どんなにつらい、壮絶な最期でも、きっと笑ってしまうだろう。
きっと、グリ . . . 本文を読む
最近、全てのことにやる気がでない。
仕事も、もう他のスタッフや患者の顔を見るだけで苦痛に感じる。
お出かけして、先々でのささいな関わりにも億劫さと疲労を感じる。
この間、楽しかった最後の最後に落とし物をして以来、さらに出かけることが苦痛になってしまった。
休日も、うとうとと寝てばかりで疲労もとれず、また明日からの仕事を思い、気分が堕ちる。
どこかで感じている。
ま . . . 本文を読む
この町は、とんびが朝を告げる。
ぴー、ぴーひょろー。
青空に悠々と弧を描いて舞う。
高く高く昇り、ゆっくりと弧を描く。
この間、動物園の鷹匠が教えてくれた。
とんびは人に馴れません。
群れませんからもともと社会性がないんです、と。
馴れないのは、このとんびのせいじゃない。
もともと、社会性をもたないから。
その言葉が、とても印象深くて。
そ . . . 本文を読む
日々気分が下がっていく
夢見も眠りも悪くなっていく
これは仕事のせい?
それとも…
仮に何のせいであれ
とりあえず今は
飛ばなければならない
翼を休めることは赦されない
だって 生活がかかっているのだから
でも
あとどれくらい飛べば
休めるのだろうか . . . 本文を読む
こころに穴があいた。
昔のことを思い出した。
まなりにホワイトバンドを買ってあげた。
ふたりでおそろいのホワイトバンドをつけていたのだけど、ある日まなりがすごく落ち込んでいた。
聞くと、ホワイトバンドをなくしてしまったと泣きじゃくりながら言った。
ふたりで、お店をまわってホワイトバンドを探した。
もうだいぶブームが落ち着いていて、なかなか見つからなくて。
やっと . . . 本文を読む
わたしは今日もなくしたたからものをさがす。
何度あった場所へいっても、お探しのものはないという。
何度いわれても、いわれてもあの場所へ向かい、とぼとぼと踵をかえす。
あれは グリュプスがわたしに謳ってくれたことばがいっぱいいっぱいつまっていたから。
たからものをなくしてかなしむわたしに、グリュプスは言った。
また暮らしはじめたら、あたらしいたからものをあげるから、と。
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ハロウィン。
ジャック・オ・ランタンが飛びまわる日。
ジャック。
今宵は、あのふたりのところへ行ってごらん。
あのふたりは、きっと君にお菓子などくれないよ。
そうしたら、君の悪戯で。
あのふたりを、ここから連れ去って。
天にも地の国にもいけない君。
ふたりなら、地の国へ行けると思うけど。
遊んであげてよ。
そして、案内してあげて。
君に、最高のtre . . . 本文を読む
書きたくて、描きたくて。
でもそれは叶わない。
もう、シラユキはいないから。
細雪はまだ、書くことも描くこともできない。
わたしが「つくるひと」になるとき、わたしの感覚はとても不思議な状態になる。
森や空や海の中を、風となって、かけぬけていくような。
でも、とてもおだやかで。
わたしは想いをつくるから。
それが叶わないのは、かなしい。
紙に書き留めても、描き . . . 本文を読む