今日、グリュプスが仕事帰りに電話をくれた。
昨日のわたしを心配して。
グリュプスははげましたりなぐさめたりしない。
ただ、わたしの話を聞いて。
笑って、大丈夫だってと。
何とかなる、と言う。
こう書くと、グリュプスが適当に流してるように聞こえるだろう。
でも、グリュプスは考えてる。
わたしの体調も、精神状態も。
そして自分の不安や辛さは見せない。
俺は元気だよ、って . . . 本文を読む
わたしたちは逢うといつも同じことをして過ごす。
ホテルに着いたらベッドでつもる話に花を咲かせ、おなかが空いたらわたしの作ったお弁当を食べる。
互いに気が向くままに話し、愛しあって。
少しだけお酒をのんで、おつまみやわたしのおみやげを食べながらまったりと過ごす。
そして布団に入りながら、どちらかが眠るまで話しをしながら過ごすのだ。
特に変わったことはしない。
でも飽きるこ . . . 本文を読む
グリュプスと愛しあっているとき。
わたしは泣いた。
小樽ではひとりぼっちだと、旭川が恋しいと泣いた。
でもそれを選んだのはわたしだから仕方ないと、わかっている。
わたしにはグリュプスもいる。
それもわかっているけど、淋しいと泣いた。
グリュプスは、わたしはひとりじゃないと、俺がいるのだと一段と優しい声で、優しく微笑んで涙をふきながら言った。
うなずきながらも泣き . . . 本文を読む
わたしたちはいっしょにいるとひとつだけ困ることがある。
わたしはすごく寒がりで、
グリュプスはすごく暑がりなのだ。
わたしが気持ちいいと感じる室温ではグリュプスは汗だくになってしまうのだ。
逆にグリュプスにちょうどいい温度はわたしには肌寒くて。おなかが痛くなることすらある。
グリュプスはわたしに合わせようとしてくれる。
だから、グリュプスはわたしといると暑いのだ。
わ . . . 本文を読む
わたしのほしいものをグリュプスはもっていて、
多分グリュプスのほしいものはわたしがもっている。
互いに互いのほしいものは喜んで差し出すのに。
本当に命すらも。
それなのに、あげることができない。
それが狂いそうになるくらい悔しい。
唾液みたいにあげられたらいいのに。
キスするたび、そんなことを思うのだ。 . . . 本文を読む
きょうは、グリュプスの紹介でもしようか。
グリュプスは、才能にめぐまれたひと。
賢さ、運動能力、文才、音感、色彩感覚に秀でているひと。
でも、その能力を発揮することを許されなかったひと。
環境が、運命が、グリュプスの翼を封じた。
グリュプスは賢いから。
自分の能力を知っている。
だから、翼を封じられながらも、誇りは失わなかった。
ただ、じっと耐えて。
弱音も泣き言 . . . 本文を読む
グリュプスがふと言った。
俺はきっとritsuを置いてきてしまうから。
ritsuを独りにしてしまうのはどうなんだろって。
本当に俺でいいのかなって。
もっと年の近いひとの方がいいのかなって。
最近思うんだ、と。
前に、わたしが年の差を気にしたことがあった。
わたしはグリュプスにしたら、小娘みたいなものじゃないかと。
グリュプスは言った。
対等だよ、と。
年の差な . . . 本文を読む
昨日。
グリュプスはセイレーンに爪を向けなかった。
風もやませた。
そして、高く舞い上がり、セイレーンの頭上をくるりくるりと飛んでみせた。
グリュプスはまた静かに飛んでいった。
ありがとう…
ありがとう、グリュプス… . . . 本文を読む