この前、グリュプスが来てくれた。
もうホテルじゃなくて、おうちで逢える。
わたしは連続夜勤で、いっしょにお昼を食べてから寝たり、夜遅くに夕ご飯を食べたり、真夜中に帰ってきたりした。
グリュプスは、グリュプスのリズムですごしていいよ、と伝えていたのだけど、夜中に帰ってきたわたしにごはんを作っていてくれたり、お昼ごはんも作ってくれたりした。
グリュプスはあまり眠れてないみたいで、日 . . . 本文を読む
書きたくて、描きたくて。
でもそれは叶わない。
もう、シラユキはいないから。
細雪はまだ、書くことも描くこともできない。
わたしが「つくるひと」になるとき、わたしの感覚はとても不思議な状態になる。
森や空や海の中を、風となって、かけぬけていくような。
でも、とてもおだやかで。
わたしは想いをつくるから。
それが叶わないのは、かなしい。
紙に書き留めても、描き . . . 本文を読む
あの、苦しかった鳥かごを飛び出した。
新しい巣は涼しくて、静かで。
何より、自分の空間がある。
今まで、手に入らなかったものが一気に手に入って。
この幸せが怖くなった。
それなのに、あと少しでグリュプスとこの巣で同じ刻を過ごせるなんて。
かみさま。
わたしは、こんなにも幸せになっていいのでしょうか。
もし不相応な幸せならば、どうか。
どうか、グリュプスだけは取り上 . . . 本文を読む
今日、またひとつグリュプスの枷が外れた。
グリュプスが自動車免許を手に入れたのだ。
枷が外れた、というよりは、グリュプスは新たな翼を手に入れた、というほうが正しいかもしれない。
グリュプスには、自由に飛んでほしい。
大きくて立派な翼で、力強く大空を舞ってほしい。
わたしの分まで、自由に。
それがわたしの幸せだから。 . . . 本文を読む
ひとの心は縛ることはけしてできない。
そして、ひとの心を縛りつける権利は誰ひとり持っていない。
それは、グリュプスですら、グリュプスにすら。
そう、思っているのに。
身体を重ね、愛しあっているとき、わたしは矛盾したことを口にする。
グリュプス…グリュプス…わたしだけをみて…わたしだけをすきでいて…
グリュプス…グリュプスがほしいの…グリュプスのぜんぶ…わたしにちょ . . . 本文を読む
もしも、わたしがお星さまになってしまったら。
グリュプスはその翼で、その星を探しにいくだろう。
そして、わたしが見たこともないような鋭い眼をして、わたしをお星さまにしたすべてのものへ、容赦なくその嘴と爪をふるうのだろう。
そんな、こわくてかなしいグリュプス、見たくない。
グリュプスに、そんなことをさせてはいけない。
だから、お願い。
もう少し、もう少しでいいから。
. . . 本文を読む
昔は きっと希望をもっていた
素直に喜び、楽しむことができた
だけど 日々を過ごすうちに、叶わぬ悲しみを知った
奪われる痛みを知った
今までも、これからも続くと思ってきたものは簡単に失ってしまうものだと知った
この世界に、確かなものなど、ひとつしかないのだ
それは
いずれ死ぬこと
世界で唯一、平等で確かなこと。
神様
その贈り物は
わたし . . . 本文を読む
もし、わたしのはねが光りかがやいているのならば
その光はあたりをてらすだろう
そのかわり、たくさんの羽虫をひきよせるだろう
もしわたしのはねが、くらいくらい闇夜のようだったなら
羽虫がまとわり付くことはないだろう
そのかわり、だれにもみえることはないだろう
孤独なはねで舞いつづけるのだろう
わたしは
わたしのはねは
きっと、白い
闇夜にとけこめず . . . 本文を読む
同じ屋根の下に住んでいるひとが、死んだ。
今日、突然、死んだ。
この屋根の下じゃなくて、実家でらしいけど。
何ともいえない、この気持ちを何と呼ぶのだろう。
虚無感。
これが一番近い、気がする。
わたしより、2年しか長く生きてないのに。
最期に、何を想ったのだろう。
死にたくない、と願ったのか。
ああ、死ぬ、と直感的に感じたのだろうか。
この仕事をして . . . 本文を読む
たまにふと思う。
もし今わたしが身体を壊してしまったら。
働くことができなくなってしまったら。
ふと、そんなことを思うときがある。
今は。
今はまだ、働けなくなるわけにはいかない。
今は一番大切なときなのだから。 . . . 本文を読む