きょう、いつものようにお仕事から帰ってきた。
めずらしくおうちの電気がついていなかった。
まだ、19時前。
どこかにおでかけしているのかな。
いつもなら、おき手紙がある。
「ちょっとおでかけしてくるにゅー」
それもない。
わたしの携帯は、職場にもっていけないし、グリュプスがもっていっている。
公衆電話から、グリュプスの携帯にかけてみた。
電源が入ってないか、電波が届かな . . . 本文を読む
グリュプスに、わたしの言葉は届いているのだろうか
最近、そう思うことがふえてきた。
わたしは、待って、待って、やっぱり伝えなくちゃ、と思ったときに伝える。
言わないほうがいいのか。
もっとはやく伝えるべきなのか。
もう、わからない。
一体、わたしの言葉のどれだけが伝わって、どれだけのこころをわかってもらえたのか。
そんなことを考え、虚しさがすりぬける。 . . . 本文を読む
小樽に来てから、服もほとんど買ってない。
デートに行って、ブティックを眺めるとおしゃれな服がたくさんある。
たまには新しい服がほしいな。
きらきらしたアクセサリーもいっぱい並んでいる。
わたしはアクセサリーも指輪とネックレスくらいしかもってない。
ネックレスも、ところどころ金や銀がはげてしまっている。
あたらしいキラキラしたネックレスがほしいな…
でも、買えない。
お . . . 本文を読む
もし、わたしが最期にみるなら。
グリュプスのどんな表情がいいだろう。
きっと、グリュプスは、
まつげの長い、やさしい目からぼろぼろ涙をこぼすのだろう。
おおきな手でぬぐっても、ぬぐっても、あふれてくる涙をぬぐいつづけながら、わたしをみつめるのだろう。
きっと、わたしは笑ってしまう。
どんなにつらい、壮絶な最期でも、きっと笑ってしまうだろう。
きっと、グリ . . . 本文を読む
もし、わたしが猫だったら。
グリュプスと手を繋いで隣を歩いてみたくても
それを叶える手がない
肌を重ねて愛しあいたくても
身体の作りが違いすぎて
誰より一途な愛を叫べども
出てくるは哀しげな鳴き声だけで
彼の名前すらも紡げない哀しさ
けして叶わない
わたしは、今はグリュプスと同じ種族で、同じ言葉を話せる。
手を繋ぐことも
愛しあうことも
愛を伝えるこ . . . 本文を読む
最近、全てのことにやる気がでない。
仕事も、もう他のスタッフや患者の顔を見るだけで苦痛に感じる。
お出かけして、先々でのささいな関わりにも億劫さと疲労を感じる。
この間、楽しかった最後の最後に落とし物をして以来、さらに出かけることが苦痛になってしまった。
休日も、うとうとと寝てばかりで疲労もとれず、また明日からの仕事を思い、気分が堕ちる。
どこかで感じている。
ま . . . 本文を読む
この町は、とんびが朝を告げる。
ぴー、ぴーひょろー。
青空に悠々と弧を描いて舞う。
高く高く昇り、ゆっくりと弧を描く。
この間、動物園の鷹匠が教えてくれた。
とんびは人に馴れません。
群れませんからもともと社会性がないんです、と。
馴れないのは、このとんびのせいじゃない。
もともと、社会性をもたないから。
その言葉が、とても印象深くて。
そ . . . 本文を読む
日々気分が下がっていく
夢見も眠りも悪くなっていく
これは仕事のせい?
それとも…
仮に何のせいであれ
とりあえず今は
飛ばなければならない
翼を休めることは赦されない
だって 生活がかかっているのだから
でも
あとどれくらい飛べば
休めるのだろうか . . . 本文を読む
同じ巣に暮らすようになって、半年がすぎた。
グリュプスは、このまま巣に残り巣を守る道を選ぶのだろうか。
それとも、数年後わたしがこの町を去り、新しい土地に渡った際にわたしと共に外に出て巣を守るのだろうか。
たまにふと思う。
ただわかるのは、わたしが飛びつづけなければいけないことだけ。
わたしにも、選ぶ権利がある。
その道を選ぶなら、覚悟せねばならない。
. . . 本文を読む