「生物多様性」という言葉はなにを目的に生まれたか?
また、なにを示しているか?
環境科学A 2012/04/23 中京大学 豊田 新村安雄
○「生物多様性」の誕生
「生物多様性 (biodiversity)」は、「生物学的多様性 (biological diversity)」を意味する造語である。
1985年にアメリカ合衆国研究評議会(National Research Council, NRC) による生物学的多様性フォーラムの計画中に、W.G.ローゼンによって造語された。
「Biodiversity」が初めて公式文書に使われたのは、1988年に出版されたによるこのフォーラムの報告の書名に使用。
昆虫学 生態学 エドワード オズボーン ウイルソンが提唱したとされるが、本人はあまり乗り気ではなかったそうだ!
生物学的多様性 (biological diversity)
↓ → logical(論理=学問的なという意味)
生物多様性 (biodiversity)
生物学上の特殊な意味が普通の言葉としてひろがった。
最近では マイナス BIOでこんな展開も!
○生物多様性条約
・目的
①保全
②持続可能な利用
③遺伝資源の利用から生じる利益の公平・衡平(こうへい)な配分
・生物多様性条約 第2条
「すべての生物(陸上生態系、海洋その他の水界生態系、これらが複合した生態系その他生息又は生育の場のいかんを問わない。)の間の変異性をいうものとし、種内の多様性、種間の多様性及び生態系の多様性を含む」
・成立への経緯
1987年 国際自然保護連合(IUCN)などの環境保護団体の要請を受け国連環境計画(UNEP)が準備を開始した。
1992年5月22日、ケニアのナイロビで開催された合意テキスト採択会議においてコンセンサス採択された。
同年6月にブラジルのリオ・デ・ジャネイロで開催された国連環境開発会議(UNCED、地球サミット)で調印式を行い、1年間の署名開放期間中に168の国・機関が署名。
・1993年12月29日に発効した。
署名を行わなかった国がある。
2010年現在 193の国と団体が批准
なぜだと思うか?
アンドラ、バチカン(非加盟)、
アメリカ合衆国 批准していない!
○生物多様性条約における「生物多様性」とは?
・生物多様性は「生物種の多様性」
地球上に生物種は何種類くらいいるか?
・「遺伝子の多様性」も含んだ「種内の多様性」
桜並木は何本のさくら?
竹林には竹は何本あるか?
・生物多様性には「生態系の多様性」が含まれる。
以上に加えて
生物多様性条約の示す「生物多様性」
(及川敬喜 2010 生物多様性というロジック による)
・“変異”という言葉が使われていることから
ひとによる「手入れ」を否定していない。
「里山」 語源は四手井綱英さん 京都大学名誉教授
ではこんな言葉はいつから生まれたか?
里海 里川
この言葉を生んだ 香原知志くんのこと
・“変異”という言葉は、種の絶滅そのものを「悪」とはしない。
絶滅とはなんだろう?
生物大絶滅
○生物多様性はなぜ重要なのか?
・人間存在の根源
数十億年をかけて積み重ねてきた生物の歴史を「人類」という一種の生物が滅ぼしてよいのか?
→間接的な自己否定
倫理的な価値
キリスト教的な社会観からも受け入れやすい定義
「万物の霊長」「ノアの箱船」
・人間生活の生態系サービスへの依存
次回以降で詳しく扱います。
功利的(経済的)な価値
・「生物多様性」それ自体が重要
→ 生物多様性には「内在的な価値」がある。
倫理 功利性を越えた「崇高な価値」が生物多様性には備わっている。
欧米では反論が多い。理解されにくい概念
→ 神による「創造」
日本人には理解しやすい?
→ 「八百万の神々」
次回、南方熊楠という日本人を紹介します。
また、なにを示しているか?
環境科学A 2012/04/23 中京大学 豊田 新村安雄
○「生物多様性」の誕生
「生物多様性 (biodiversity)」は、「生物学的多様性 (biological diversity)」を意味する造語である。
1985年にアメリカ合衆国研究評議会(National Research Council, NRC) による生物学的多様性フォーラムの計画中に、W.G.ローゼンによって造語された。
「Biodiversity」が初めて公式文書に使われたのは、1988年に出版されたによるこのフォーラムの報告の書名に使用。
昆虫学 生態学 エドワード オズボーン ウイルソンが提唱したとされるが、本人はあまり乗り気ではなかったそうだ!
生物学的多様性 (biological diversity)
↓ → logical(論理=学問的なという意味)
生物多様性 (biodiversity)
生物学上の特殊な意味が普通の言葉としてひろがった。
最近では マイナス BIOでこんな展開も!
○生物多様性条約
・目的
①保全
②持続可能な利用
③遺伝資源の利用から生じる利益の公平・衡平(こうへい)な配分
・生物多様性条約 第2条
「すべての生物(陸上生態系、海洋その他の水界生態系、これらが複合した生態系その他生息又は生育の場のいかんを問わない。)の間の変異性をいうものとし、種内の多様性、種間の多様性及び生態系の多様性を含む」
・成立への経緯
1987年 国際自然保護連合(IUCN)などの環境保護団体の要請を受け国連環境計画(UNEP)が準備を開始した。
1992年5月22日、ケニアのナイロビで開催された合意テキスト採択会議においてコンセンサス採択された。
同年6月にブラジルのリオ・デ・ジャネイロで開催された国連環境開発会議(UNCED、地球サミット)で調印式を行い、1年間の署名開放期間中に168の国・機関が署名。
・1993年12月29日に発効した。
署名を行わなかった国がある。
2010年現在 193の国と団体が批准
なぜだと思うか?
アンドラ、バチカン(非加盟)、
アメリカ合衆国 批准していない!
○生物多様性条約における「生物多様性」とは?
・生物多様性は「生物種の多様性」
地球上に生物種は何種類くらいいるか?
・「遺伝子の多様性」も含んだ「種内の多様性」
桜並木は何本のさくら?
竹林には竹は何本あるか?
・生物多様性には「生態系の多様性」が含まれる。
以上に加えて
生物多様性条約の示す「生物多様性」
(及川敬喜 2010 生物多様性というロジック による)
・“変異”という言葉が使われていることから
ひとによる「手入れ」を否定していない。
「里山」 語源は四手井綱英さん 京都大学名誉教授
ではこんな言葉はいつから生まれたか?
里海 里川
この言葉を生んだ 香原知志くんのこと
・“変異”という言葉は、種の絶滅そのものを「悪」とはしない。
絶滅とはなんだろう?
生物大絶滅
○生物多様性はなぜ重要なのか?
・人間存在の根源
数十億年をかけて積み重ねてきた生物の歴史を「人類」という一種の生物が滅ぼしてよいのか?
→間接的な自己否定
倫理的な価値
キリスト教的な社会観からも受け入れやすい定義
「万物の霊長」「ノアの箱船」
・人間生活の生態系サービスへの依存
次回以降で詳しく扱います。
功利的(経済的)な価値
・「生物多様性」それ自体が重要
→ 生物多様性には「内在的な価値」がある。
倫理 功利性を越えた「崇高な価値」が生物多様性には備わっている。
欧米では反論が多い。理解されにくい概念
→ 神による「創造」
日本人には理解しやすい?
→ 「八百万の神々」
次回、南方熊楠という日本人を紹介します。
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