リバーリバイバル研究所

川と生き物、そして人間生活との折り合いを研究しています。サツキマス研究会・リュウキュウアユ研究会

岐阜新聞草稿「となりの田んぼ」

2006-05-22 23:19:18 | 『田んぼのチカラ』2004-
隣の田んぼで代掻きが始まったと思ったら、たちまちにして田植えが終わった。見渡すと草が生え、青々しているのは “田んぼのチカラ”の田んぼと休耕田くらいになってしまった。

 いつ水を張るか、それが今回の試みの一番大切なところだ。水位の上昇に合わせて、長良川本流から水路や岸辺に集まってくる魚を手助けして産卵させる。そのためには、自然の水位変化に合わせて田んぼに水を張りたい。

 私のもくろみとしては、長良川の水温も上昇し、降雨によって水位が高まる時に合わせて水を入れようと思っていた。その時期について、長良川の流量年表を参考にす るつもりだった。上流にダムの無い長良川では自然な流量変化をしることができるからね。 

図は50年分の墨俣での流量変化を平均したものだ。

 このグラフによると、4月の菜種梅雨が終わるいったん水量は減少し、6月下旬に水量は一挙に増加してしばらく流量の多い期間が続いている。
長良川の自然な水位上昇に合わせて田んぼに水を張る。同時に、水路や岸辺に集まってくる魚を網で採って田んぼに入れる。

 ナマズやコイの仲間は1週間程度で孵化して仔魚が泳ぎ出す。乾いた田んぼに水を張ると、まず植物プランクトンが増え、続いてミジンコなどの動物プランクトンが増えるのだが、その間の日数が2週間程度。

 田んぼが魚の産卵する場所と孵化した仔魚の餌場であることはよく知られているが、その産卵と、餌を食べる時期を同期させて提供する。これが“田んぼのチカラ”プロジェクトの目的なのだ。

 しかし今年の天候はなんとしたことか、冬の豪雪と降雨続きで、川の水温は上昇しないは、田んぼは雨で乾かないときている。乾いた田んぼに水を張る、プランクトンの大発生、そこに産卵する魚を放すという一大イベントを画策していたのだが、なんともメリハリのない状態が続いている。
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