京の川の恵みを活かす会の活動と伝統的河川工法の紹介です。二回連続の一回目。
「京の川の恵みを活かす会」 京都市民、漁協、行政などからなるネットワークだ。代表は竹門康弘(59)さん京大防災研究所に所属する河川生態の研究者だ。活かす会を立ち上げた2011年、鴨川に天然アユを遡上させたい「仮設魚道」を設置する、というので見にいった。鴨川は淀川の支流桂川に合流する。合流点の上流に落差の大きな龍門堰があった。
活かす会のメンバーは板、竹、土嚢袋など自然素材を組んで龍門堰に夏の間だけの魚道を造った。その年、約2万尾のアユが遡上して、上流の四条、五条付近まで天然アユが確認された。
二年後の台風18号で龍門堰は流木が溜まるなどして危険な状態になる。京都府は、農業用水の利用者と調整して、取水をポンプ式に変更、一五年一月、堰を撤去する。堰の影響を示した会の活動が生きている。
川の自然を取り戻す。さらに上流まで、アユの上れる魚道を設置する。産卵できる場所も必要だ。そして、ゴリやオイカワも増やしてゆかねば。年間通じて取り組みは様々ある。
増やす以上に熱心なのは、生き物を美味しく食べること。秋に開催する「川の恵みを活かすフォーラム」では活動報告会にあわせて「食味体験会」が開かれる。川の幸は鯉、鱒、鯰他、調理はお好みで。アユの味比べは、参加者が自分で選んだ各地のアユを、好きなだけ、炭火で焼いて味わう。今年は料理学校の講師が考案した新しい鮎料理と伏見の蔵元が提供した日本酒との相性比べもあった。
独創的な取り組みがある。コンクリートが使われていなかった時代、川では竹蛇籠や、木製の水制(聖牛)使った土木工事が行われていた。竹門さんは、その伝統的河川工法を現代の川に甦らせようとしている。自然素材の工作物が生き物のよい棲み場所となることを実際に示そうというのだ。
指導を仰いだのは、原小組三代目、原廣太郎社長。伝統工法を継承し、施工実績のある技能集団を率いる。
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