リバーリバイバル研究所

川と生き物、そして人間生活との折り合いを研究しています。サツキマス研究会・リュウキュウアユ研究会

第70回 よみがえる伝統工法 川の匠

2017-12-11 16:33:01 | ”川に生きる”中日/東京新聞掲載

伝統的河川工法を川の生態系回復の手法として利用しようという試み。竹蛇籠や聖牛(水制)の指導にあったのは、(株)原小組 原廣太郎さん。

 

青竹を割り、編んだ竹蛇籠は、直径45cmで長さ10mほど、どこにも開いた部分はない。用意された石には籠の網目よりも大きな物もあったが、どうやって中に入れるのか。指導した(株)原小組、原廣太郎(77)さんが網目に石を投げ入れると竹はしなり、網目が広がって、大きな石もすっぽりと籠の中に収まった。

竹蛇籠が中国から伝わり河川工事に使われたという記録は古事記(712年)にある。以来、蛇籠や木枠を使った水制工は、各地の川で工夫され使い続けられる。50年頃までは一般的な河川工法だったが、60年代以降、コンクリートが使われるようになってからは急激に衰退した。

90年代、伝統的河川工法を見直そうという機運が高まる。91年大井川(静岡県本川根町)では台風災害の復旧工事に水制工の一種、大聖牛が使用された。97年に改正された河川法で、河川環境の整備と保全が加えられた。各地で伝統的河川工法の見直しが広がったが、改正から20年を経て、現在は再びコンクリートの時代だ。

京都大学防災研究所で河川環境を研究する竹門康弘(60)さんは、伝統的河川工法が生き物の棲み場所として有効なのではないかと考えている。実際に水制工を再現して川の変化と生き物を調べよう。京都木津川のNPO「やましろ里山の会」など、各地の市民団体、研究者に呼びかけ、大井川などで施工実績のある原さん達を木津川に招き、2015年、伝統的河川工法の講習会を開いた。120名余の参加者が二日がかりで編み上げた竹蛇籠が設置された。設置後の生物調査によると、1年で魚類2種だった場所に魚類10種その他23種の生物が確認されるようになったという。

今月3日、新たに大井川筋に伝わる中聖牛という木枠の水制3基が木津川に設置された。市民と研究者が川の匠の手を借りて甦らせた伝統的河川工法。川の恵みを取り戻す新しい試みだ。

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