リバーリバイバル研究所

川と生き物、そして人間生活との折り合いを研究しています。サツキマス研究会・リュウキュウアユ研究会

長良川漁業同組合 長良川調査会始める

2005-07-13 22:08:57 | サツキマス研究会/長良川調査会
 長良川漁業協同組合の長良川調査会が発足した。

 長良川河口堰の建設が始まった当時、まだ環境調査の計画は無かった。
建設反対の声が高まり、その争点が環境であったことから、建設を続けながら、環境を調べるという妙なことになったが、ボクは長良川河口堰の建設が始まる前から、サツキマスの調査を漁師さんの協力を得て行っている。
 その調査とは、38km地点で漁師さんが出荷する前のサツキマスの大きさと重さを量り、撮影をするというものだった。
 調査を開始して1年、同じ調査内容が建設省、水資源開発公団の長良川河口堰調査の項目に加えられた。事業者から調査を委託された調査会社が、漁師さんのデータをとりまとめるということになったわけだが、ボクは、相変わらず、自前のデータとして、記録をとり続けた。

 それには、訳がある。
 いまでこそ、長良川河口堰のデータは原則的に公開されている。これは、建設省公団による委員会の委員、特に西條八束先生のご尽力にほかならない。
 だが、調査を始めた当初は、生のデータは公開されることなく、グラフなんぞに加工されて公開されるのがせいぜいと思っていた。そこで、自前で調査をしようと、始めたのが、サツキマスの調査だ。

 そこで、データの公開が約束された段階で、ボク自身としてサツキマスの調査に係わることを止めて、しまうという選択もあった。
 でも、フォトエコロジストは、すこし、愚直である。自分で、触ったデータを手にしたかった。
そこで、建設省・公団の調査と平行して自前の調査を続けた。

そして、長良川河口堰の本格運用から10年。今年で、国交省・水資源機構は調査を終了した。
新聞報道「飛騨ふらい工房」HPより

 ボクとしては、本来の自分の研究として、サツキマスを調べるというスタンスに戻ったことになる。しかし、すこし、展開が変わってきた。
あまりの不漁に長良川の漁師も自前の調査をすることになった。いままでの、サツキマスについての協力関係を発展して、アユなどその他の魚も調べて、資料を記録しようということなのだ。
 ボクも、組合員であるので、当然、この調査には協力する。
昨日、ボクが作成した調査の計画を、理事、支部長の皆さんに説明して、その後会食した。


 ホテル杉山を出たところで、久しぶりの鵜飼い屋。しばし、川面にたたずんで、鵜飼いの開催を待った。
 鵜飼い屋で7年間暮らした。
 ホテルから、少し下流の川沿いのマンションの前の川岸に腰をかけて鵜舟を待った。
 この光景を、何度と無く見たものだった。

 ニイムラ


参考 長良川漁協 長良川調査会 計画書(案)

1. 目的
 長良川における魚類等(アユ、サツキマス、ウルリ、モクズガニ)の生息実態について、漁業者の知見、情報を収集し記録・分析を行う。また、アユ、サツキマスについて、降下・遡上時について調査を行う。

2. 調査内容・方法
(1) 既存資料調査
 1) 長良川河口堰関連資料調査・整理
 2) 漁獲統計等資料・整理


(2) 聞き取り・採捕記録調査
  採捕時の記録、調査員による聞き取りによる調査
 1) アユ
    捕獲アユの外部形態による由来判定調査
     鱗の数、下あごの孔数から人工アユ、天然遡上アユの判定をし、比率を求める。
     
 2) サツキマス
  遡上実態調査
     38km地点における遡上数、体サイズ(重量、体長)の計測記録。
3) ウルリ(カワヨシノボリ)等(登り落ち漁)
  遡上実態調査
    遡上生物の記録、重量を採捕日誌に記入、また、採捕生物を写真撮影。
4) モクズガニ
  捕獲状況調査
    日別捕獲数、重量、性比等を採捕日誌に記入

(3) 降下・遡上実態調査
  1) アユ
    ・降下時
   1. 産着卵サイズ調査
     産卵場でアユの産着卵を採取し(100個程度)、大きさを測定する。
     卵の大きさと産卵日、河川水温、河川流量を記録し、
産卵日、河川水温、河川流量により流下仔アユの生残が
異なるか否かについて検討する。

   2. 長良川河口堰流下仔アユ調査
      長良川河口堰直上でプランクトンネットにより流下仔アユを採補し、
ふ化日からの日数(耳石日輪による)、体長、胃内容等について調査する。

    ・遡上時
   1. 遡上稚アユの日齢査定
   2. 遡上稚アユの体サイズ


  2) サツキマス
   ・降下時
    記銘条件検討調査 (母川回帰特性向上)
    放流時に、鰭削除のマーキングを行い、
放流条件、放流場所、放流条件による記銘条件を 
   変えて回帰率の違いについて検討する。
    注)記銘:母川回帰のためのマスが川を記憶すること。

   ・遡上時
   1.  放流条件による回帰率について降下時のマーキング結果から検討する
   2. 小型サツキマス(モドリ・サボリ)の由来検討
        Ca-Sr比分析の分析から、小型サツキマスが海域での生活履歴
の有無について分析する。

 注)内容は検討のうえ変更される部分もあります。


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1 コメント

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河口堰神話 (丸山 隆)
2005-07-15 10:15:12
 長良川河口堰の建設に際しては、様々な神話が推進側からばらまかれました。その追跡調査を実施し、成果を公表していくことは、河川行政の未来のためには絶対に必要なことだと思います。そのための努力を続けておられる皆様に、心から敬意を表します。
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