活かすぜ羽越本線100年4「新発田駅以南編・月岡駅」

■JR羽越本線100年を機に新発田地域の振興を考えます。

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◆新発田駅以南編・月岡駅

　新潟県の出先機関である新発田地域振興局が所管する「新発田地域」。この地を縦断するJR東日本「羽越本線」の活用促進を考えようと始めた無人駅をめぐる視察旅。
　「中浦駅」から南4km弱にある次は「月岡駅」。全国的にも知られた新潟県内有数の温泉観光地の中の一つである「月岡温泉」の最寄り駅だ。
　ただ、その名称に期待して駅に降り立つと大きく落胆することになる。温泉街は駅から4kmほど車で10分ほどを要する先にあり、駅周辺は若干の住宅の集積はあるがほぼ中浦駅と同様に田圃の真ん中にポツンと在るような有様なのだ。　　

　当然に駅舎はトレーラーハウスかプレハブ小屋のような姿であり、線路上の跨線橋の窓からもホームからも見渡す限りにおいては、冬の何もない田圃の連なりと、山形県との県境の飯豊連峰の雪景色がかなり遠くに麗しく見えるのみだ。そんな畦道を地元の住民と思われる高齢者が、ごくごくまれに、健康づくりのためなのかウオーキングしている姿のみが動きを感じさせる寂しさ。
　それでも、春の田植えから緑の美しい絨毯となって秋の黄金色になる間は、その日々の移り様が、何にも邪魔されないことによって至高の景観を与えてくれるのかもしれない。定期的に広大な瑞穂の田圃がもたらす眼に麗しい様を楽しめるようにすることは都市に暮らす生活者にとっては癒しとして価値になるかもしれない。ただ、それだけでは遠い街中から運賃を掛けて人を呼び込むことはできまい。精神的価値と経済的価値がリンクする仕組みを編み出さねばならないと思う。
　駅前は比較的広い空間があり、月岡温泉への送迎のためのバスの乗り入れを考えれば当然だろう。ただ、乗用車が多く停められるほどではなくパークアンドライドというのは実態として無さそうだ。

　駅の西部で羽越本線と並走する国道460号沿いには店舗などが連なるが、コンビニや飲食店、ホームセンターなどであり、月岡温泉への行き来客を拾うというより車での利用が想定されている感じだ。食品製造工場が近くにあるがこれも自己完結的な施設であり車通勤が主でもあろう。鉄路を利用して月岡駅の周辺での人の活動を増やすには商業的な展開は難しそうだ。
　江戸時代からの豪農の館で歴史的建造物の「市島邸」や、大規模干拓地として知られる福島潟、そしてその周辺に公園整備された一体など、見所があるにはあるが、新潟県内の多くの地域と同様に、観光資源の在り処が間延びしていて、やはり移動は車でということになってしまう。
　月岡温泉に来訪して、その前後に送迎バスなどで周辺観光資源を見て回るというテンプレートの強化は引き続き旅行代理店などにお任せするとして、私の念頭に置いた”普段使いのような恒常性ある羽越本線の利用”が増えるための模索については別の切り口が必要だと思う。やはり素直に「田圃の真ん中に在る」という原点に着目すべきなのだろうか。

(「活かすぜ羽越本線100年4「新発田駅以南編・月岡駅」」終わります。「活かすぜ羽越本線100年5「新発田駅以南編・神山駅」」に続きます。)

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