「んー。明日の夜明け前とか、もしかしたら夕方くらいになるかもしれんな」
と産科医の先生が言ったのが午後6時くらい。それから1時間するかしないかで妻が痛みで悶絶し始めた。いやちょっとこれは命に関わるんじゃないのかと思って看護婦さんを大急ぎで呼びに行き、看護婦さんは大急ぎで先生を呼びに行き、妻は分娩室に運び込まれ、私は妻の絶叫を聞きながら廊下をうろうろしていた。
午後7時半に分娩室に呼ばれ、それから . . . 本文を読む
産婦人科にいる。今日になって妻の陣痛が強くなったのだ。二時間ほど前に母が娘を迎えに来てくれて、二人で岸和田の実家に帰って行った。
妻はいま検査中。私は温まりきっていない個室のベッドの端に腰掛けて、朝鮮戦争を題材にしたドキュメンタリー『ザ・コールデスト・ウィンター』をゆっくり読んでいる。長い夜になりそうだ。 . . . 本文を読む