「flash+back」

私の愛車の「過去・現在・未来」

オイル交換に対する見識

2017-05-05 17:35:39 | Weblog

以前、アルピナに乗っている頃・・・

自分が使用しているオイルメーカーさんに、オイル交換について

お尋ねしたことがあります。


かなり丁寧なお返事でしたので、当時、かなり

驚いた次第です。


この方は開発者、エンジニアであるとともに、

メーカー代表者でもあります。視点を多角的に置いて、

分かりやすく、かつ、

精緻な分析をもとに論じています。


これは長文ですが、

是非、みなさんも読み解いてみて下さい。


このオイルは高価な部類のオイルですが(超高性能オイル)・・・

永年使用していての信頼感と、ある意味での(愛車のための)

対コストパフォーマンス感は保証できると思います。



以下・・

 

 

一般に市販されているエンジンオイルは粗悪品で無い限り、普通に走行していて
シリンダーやベアリングの焼付き等を発生することなく1万km程度を走行することは充分可能です。
どんなに性能の良いエンジンオイルでも、ある程度の距離を走ればエンジンオイルは
徐々に変色して行き黒くなります。黒くなるのはカーボン・スラッジやエンジン内部摺動部の汚れが
油中に分散している為です。カーボン・スラッジとは燃料の硫化物やエンジンオイルがエンジンの燃焼に伴い
発生する未燃焼炭化物(スス)の堆積したものです。この堆積物は黒くて非常に硬い物質です。
この未燃焼炭化物は燃焼時に必ず生成し、これの発生を完全に防止することは出来ません。

この炭化物はエンジン内部や油中で固まりやすく、塊がエンジン内摺動部に入り込めば異常磨耗に,
ピストン頭部に固着すれば焼付きに,オイルギャラリーに堆積すれば潤滑不良に,等々の損傷や
トラブルの要因となります。従ってこのカーボン・スラッジを固着や堆積し難くするために清浄分散剤を
添加して油中に分散させ、オイルを流動させやすくしています。
しかし、カーボン・スラッジは油中に分散されても高硬度の超微粉末は研摩作用があるため磨耗の原因となり易い物質です。
カーボン・スラッジの生成量がドンドン増えてくれば磨耗を促進させる要因となります。

清浄分散剤は熱や水分によって酸化し劣化しやすく、その機能が低下すればカーボン・スラッジの超微粒粉末が
徐々に成長して磨耗を促進させる要因となります。

どんなに高価なエンジンオイルでもカーボン&スラッジ等が発生するのは防止できません。
オイルの品質によってその度合いに違いはありますが遅かれ早かれ新油から100kmも走ればオイルの変色は始まります。
良い性能のオイルでも5千km以上程度で磨耗の要因になるくらいの量に達するようになりますので、これら炭化物が
油中に多量に含まれてしまうのは防ぎ様がありません。
又、その汚れを分散させなければエンジンの性能を低下させ、その後にはエンジンに大きなダメージを与えることになります。

交換したあとのユーズドオイルを指で擦ってみるとザラザラした感触が見られる事が良くあります。
これがカーボン・スラッジや金属磨耗粉で磨耗の要因となります。
又、新油に交換した当初はスムースにエンジンが廻り、音も静かになり、走行距離を重ねると再びエンジン音が徐々に大きくなり、
エンジンの廻り方にザラツキ感が出てくる等のご経験は無いでしょうか。

これらの変化が著しく感じられる時期がエンジンオイルに性能低下が現れ始めた時期といって差し支えありませんし、
その時点でカーボン・スラッジの生成量がエンジン各部に磨耗などの要因を与えるようになっている時期といって差し支えありません。

但し当たり前の事ですが、このような状態でもエンジンが破損したり焼きついたりという事はありません。
それはベースオイルの性能と種々の添加剤の役割によって油性を保っているからです。
清浄分散剤に限らず添加剤や油中の有機・無機成分は徐々に変性し、機能も徐々に低下しますが
焼付きなどのエンジン破損に至るようなことは有りません。

清浄性だけがオイルの性能や性状を決めるものでは有りませんが、清浄性が著しく低下したオイルは
本来のオイルが持つ性能や機能を発揮出来なくなってきていると考えて差し支えありません。

100%化学合成オイル/化学合成油&鉱物油の混合油/鉱物油等々、多品種のエンジンオイルが市販されていますが
一般的にエンジンオイルはベースオイルと種々の添加剤によって構成されており、
普通の状態でオイルの劣化とは油中の有効成分(主に添加剤などのポリマー類)の組成変化が主な劣化の要因となり、
ベースオイル自身はそれほど劣化しません。(競技,高出力車等の過酷な条件は除く)
添加剤が持つ性能が低下し機能しなくなったり、添加剤が持つ耐熱性や耐久性の限界を超えた時点で
オイルの組成バランスが崩れてオイル劣化が促進されますが、ベースオイル自身はそれほど劣化しませんので
エンジンの焼付きやベアリングの焼付などという決定的な損傷には至りません

又、ベースオイルや燃料に含まれる硫黄,りんなどの有機成分や添加剤に含まれる種々の成分(特にポリマー類)は
燃焼室内で燃焼する時に未燃焼炭化物として、カーボンが生じやすいことは前述の通りですが、
現在市販されているロングドレインオイル(長寿命オイル)や高性能オイルには、
カーボン・スラッジ発生の主原因であるポリマーなどの添加剤を使用しないノンポリマーオイル,
エステル系化学合成オイルなどの油性の高いベースオイルを使用しているもの,高性能添加剤を採用して劣化限界を向上させているもの,
オイルの組成成分が劣化してもそれを補う成分を添加しているもの等々があります。
メーカーさんによっては交換の走行距離を指定したり、保証している高級&高性能銘柄もあるようです。
しかし、このような高級・高性能オイルを使用されていてもエンジン内にはカーボン・スラッジやガム質等は必ず堆積しますので
エンジンをフラッシングした時には、かなり汚れたオイルが出てくるでしょう。
中にはフラッシングをしてもそれほど汚れたオイルが出てこない銘柄もあります。このようなオイルは本当に品質がよく、
高性能なオイルです。(但し、使用するフラッシング剤の性能によりますが)

一般的に、エンジンオイルは短時間で長距離を走行した場合よりあまり走行せずに長時間放置する方が
オイルの品質を維持する事が難しいと言えます。
その理由は、ベースオイルや添加剤が大気中の酸素にさらされ酸化し劣化を促進させます。
特に湿度が高い梅雨時や外気温の高低差が大きい冬季などはエンジン内に結露が発生して
オイルが水分を吸収し加水分解を起こしてオイルの酸化が促進された結果、極端に性能低下してオイル劣化が進行します。
多少の水分であれば油中で分散され酸化防止剤が効果を発揮しますが、当然限界があり限界を超えれば分散できず、
これを放置するとエンジン内に錆や腐食が発生することがあります。
又、オイルに多量の水分が混濁して潤滑性の低下,油膜性能の低下につながることもあります。
日常的に車を動かしていればエンジン油温の上昇によって水分は蒸発し加水分解を起こしにくいのですが、
少し走り長期間エンジンを停止することを多用すれば、温度差によりエンジン内に結露が発生し油中に多量の水分を吸収して
加水分解をおこしやすくなりオイルの劣化は促進されます。従って、梅雨時の高湿度時期を過ぎた後でのオイル交換や
エンジン油温の高低差が高い冬季を過ぎた時期にオイル交換というのもエンジンにとっては良い方法です

車のコンディションをいつも最良に保つ事を考えなければ、オイルを交換せずにオイルを消費した分だけ継ぎ足して行けば
不動車になるまでに相当な時間(数万キロ以上)がかかるのでオイル交換は不要という方。
又、車の性能低下はともかく数万㎞故障も無く次の車に乗り換えるまで走行できれば良いという方、
そのようなお考えの方は、車好きの方々の中では極めて少数だと思います。

車の性能が低下して元に戻らないのは困るが、効率良く経済的に車の性能が維持できる分岐点がどれ位なのか、
これが問題の趣旨だと思います。
使用状況やオイルの性能によって左右されますので、どれだけ走行できるとは断言できませんが、
概ねどんなエンジンオイルでもカーボン・スラッジや金属磨耗粉等による影響を回避するには5~6千km位が分岐点の目安です。
又はオイルの酸化による影響を回避する為に冬季後と梅雨時期後の6ヶ月毎くらいが分岐点の目安とする事が出来ます。

エンジンを良いコンディションに保つ事や性能維持の継続を考慮しない,異音や性能の低下などを気にしない方であれば
1万㎞以上走行されても全く問題ありませんし、そのほうが経済的です。

しかし、エンジンのコンディションを良い状態に保ち、性能を維持させエンジンの異音等を気にされる方にとっては 
出来る限りカーボン・スラッジの発生を抑制して、エンジンの磨耗を抑えて、酸化し難いなどの性能を備えた高性能オイルや
良質のロングドレインオイルをご使用になったほうが懸命です。

又はカーボン・スラッジの量が多くならず、エンジン内部のカーボン堆積を最小限に抑えて、
エンジンの磨耗などの影響を受けない走行距離でオイル交換することやエンジンに酸化の影響を与え易い時期に
オイル交換するというのもエンジンにとって良い方法です。

オイル交換時期を長距離,長時間に設定して問題が有るか無しかというのはエンジンの廻り具合・性能低下・異音発生など
を気にしない方であれば一向に問題ありません。これらを気にされる方は当然問題が生じます。

従って、結論はユーザーさんの価値観によって左右されるということです。
実際には個々の使用条件や車両の状態や価値観によって大きく左右されますので、オイル交換の明確な時期は断定できませんが、
使用期間と走行距離で判別していただくしかありません。

最後にNUTECのエンジンオイルは通常のオイルより汚れにくい傾向にあります。
これはエステル系の化学合成オイルによって高い油性を確保し、通常は添加剤で性能を補う成分をベースオイルに合成配合して、
ポリマー類の添加剤を極力使用しないエンジンオイルにしています。
添加剤の変性によってオイル劣化を引き起こすことが少ないのでカーボン・スラッジや金属磨耗粉などの
発生を極力抑える為に従来のオイルより優れた性能を発揮して上述の問題点が発生し難いエンジンオイルです。

InterceptorZZシリーズはNCシリーズよりもコストを抑えた製品のため、カーボン&スラッジの発生する時期は
NCシリーズに比べ早くなってしまいますが、酸化安定性、オイル消費性などの総合性能は充分確保していますので、
通常の1万km走行においても他製品の同等グレード品に比べて良好な性能を確保しています。