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フェニックス朝湘南帝国『日常誌』

湘南とビザンチン帝国をこよなく愛するフェニックスが思いついたことを書き綴った徒然日記です。

『コラプティオ』 真山 仁

2011年10月09日 19時36分15秒 | 読書
あの「ハゲタカ」の作者真山仁が書いたというだけで、読む価値あり。

東日本大震災から復興した日本を舞台に、
政治の刷新を掲げて首相の座を手にしながら、次第に権力の虜になる宮藤隼人
政治学者を志しながら、彼に乞われ、彼の政策秘書として働く中で、
次第に今の政治のあり方に疑問を抱き始める白石望。
百鬼夜行の政界を熟知しながら、独自の正義を貫く田坂首席秘書官
白石の旧友でベテラン記者に振り回されながらも、一人前の記者に成長していく神林裕太

ボリュームがある上、途中、間延び部分もあるが、
クライマックスに向けて一気に読者を引きずり込んでいく魔力は、お見事!

奇しくも、先日読んだ「ジェノサイド」とアフリカが絡む点で似ている(最近流行なのかな?)。

ただ、「ハゲタカ」と比べると、政治を扱っている割に、
アメリカなど日本外交を考える際、抜きにできない大国の影が薄く、
アフリカでは、神林が唐突に出てきた彼の留学時代の友人と冒険したり、
人物設定や物語の流れに、ハゲタカのような「深み」が感じられず、不満も残る。

(以下ネタばれ)
読者サービス!?「アカマ自動車」も出てきますよ!
勝手に白石と美人レポーター澤池遼子や
白石の奥さんと神林記者との情事とか
あるんじゃないかと期待しないでネ^^;
そういう作家じゃないんだからね!
遼子はイマイチスタンスがはっきりしないうちに、
いつの間にか消えてたな・・・。

『ジェノサイド』 高野和明

2011年10月02日 23時21分36秒 | 読書
福井晴敏、真山仁、塩野七生に匹敵する作家と出会えた。

この作品を知ったのは、母校日大に程近い三省堂本店だった。
山積みされた本書の紹介文は、やたら絶賛の文句が書かれていて、
それ自体は気にならなかったのだけど、

『ジェノサイド(genocide)』

という不吉なタイトルと、ペラペラページをめくった時、現生人類以外の新しい人類?
に関する本らしく、自然人類学や生物学に興味があるフェニックスの記憶に残ってしまいました。

その内、文庫になったら読もうと思ったのだけど、思いのほか早く入手できました。
もともと、好きな真山仁の新作『コラプティオ』の中古が出回っていないか寄った店に、
コラプティオとこの本が仲良く並んでいたヾ(@⌒▽⌒@)ノ

ハードカバーで、ギャラクシー級の分量。
でも、読み始めてみると、
主人公の一人が我が『五本山』の一角「厚木市」出身であることや、
親戚が山梨にいたり、大学が錦糸町だったり、主要な舞台のひとつが「町田市」だったりと、
うちの勢力下で人類の存亡をかけた戦いが繰り広げられていて、臨場感満点!
また、文章の読みやすさとその深い内容、
現生人類の誇る秀才「ルーベンス」や偉大な科学者「ハイズマン」といった
魅力的な登場人物のおかげで、この週末は読書に占領されてしまいました^^;
IT技術に依拠した現代文明社会の脆弱さを扱う点では、
愛するホンワカ・アニメ映画「サマーウォーズ」とも共通点がないともいえないけど、
作品の内容は人間の欠点を直球で描いていて、ハードでした。
血なまぐさい至近距離での銃撃戦や、紛争下の生々しい虐殺の描写なども度々出てきます。

この「新しい人類」を巡る続編や、ルーベンスやハイズマンに焦点を当てたスピンオフ作品など、
今後の広がりにも期待したいと思います。

こいつは一本取られたな(笑)『レッド・ゾーン』

2010年06月17日 22時48分09秒 | 読書
真山仁の傑作経済小説「ハゲタカ」シリーズ3作目で、
映画「ハゲタカ」の原作といわれていますが、
まっかな「ウソ」です!
福井敏晴の作品の映画版もそうですが、
原作といわれる小説と映画とは、
余りにも内容がかけ離れていて、
むしろ「原作」として宣伝しない方が、
売り上げが伸びるかも!?

断然、内容の深さや面白さは、小説の方が上!
なんせ、「ハゲタカ」シリーズは、
1作目から上下2巻の長編、
とても2時間で映像化できるほど底は浅くありません!

(続きは後日)

『Op.ローズダスト』・・・一人の少女を愛した三人の悲しき男たち

2009年11月09日 22時26分08秒 | 読書
福井晴敏の『Op.ローズダスト』
彼の作品を読むと毎回、人の「想い」が如何に強いものか、
あらためて感じさせられます。

この作品は『亡国のイージス』の拡大改良型風味な作品。
秘密組織「ダイス」をはじめ、北朝鮮の脅威、米国の暗躍等
『亡国のイージス』等著者の作品に共通する世界観を継承してます。

福井晴敏はやっぱりすごい作家だ。
文章に人を引き込む「力」がある。
ボリュームは文庫版でも上・中・下巻・・・長かった、でも感動した。
登場人物がみんなキャラ立ちしているから、とにかく彼らの運命が気になって、
一気に読みたくなる。
ただ、これも『亡国のイージス』同様、最後はファンタジー^^;

読む価値は十分にある良作です♪

やっぱり弱いぞ (東)ローマ帝国(涙)

2008年12月27日 22時35分37秒 | 読書
『ローマ亡き後の地中海世界(上)』(塩野七生)
まだ途中ですが、今のところ話題の中心は、
ローマ法王を中心としたイタリア諸勢力VSイスラム勢力
(東)ローマ帝国は図体のデカイやられ役!

まあ、正直読む前から分かっては、いたことなんですけどね^^;
『コンスタンティノープルの陥落』で、あれだけ見事にカッコ良く
(東)ローマ帝国とコンスタンティヌス11世陛下を葬ってくれた作者のこと、
『ローマ人の物語(最終巻)』でも、予想以上に長くユスティニアヌス帝まで
帝国を意外と強そうに描いてくれたものですから、期待してたんですよ。

でもね、彼女ですら、臣民の安全さえ守れない無責任な帝国は、
弁護しきれなかったんでしょう・・・。
フェニックスでさえ、正直、帝国の無力さ、
帝国支配階級の無能さは認めざるを得ない。
帝国の歴史を学んでいて、
よくもまあこれだけ負けまくりながら千年も存続できたものだと、
思いましたもの。それでも、愛想尽かさないんだけどね(-_^)

とにかく、
ムスリムの海賊達に徹底的に蹂躙される地中海のキリスト教勢力、
その悲惨さは十分に伝わってきます。

ちょっと、年末に読むと凹むかも^^;


『ローマ亡き後の地中海世界(上)』塩野七生

2008年12月25日 19時58分24秒 | 読書
クリスマスなのに一人、しんみり過ごしとります。
フェニックスは悪魔教なので、
クリスマスは「凶日」!!

とはいえ・・・

黄昏より暗きもの
血の流れより紅きもの
時の流れに埋もれし
偉大なる汝の名において
我 ここに闇に誓わん
我らが前に塞がりし
全ての愚かなるカップルどもに
我と汝が力持て
等しく(やっぱ雄だけ)滅びを与えんことを!!


あっ!本題に入りますネ♪

買いました!
塩野七生『ローマ亡き後の地中海世界(上)』


まだ、読み始めたばかりですが、まことに遺憾ながら、
我ら正統たる「(東)ローマ帝国」が主人公ではなさそう・・・
でも、イスラム諸国、ゲルマン諸国、(東)ローマ帝国
が入り乱れる混沌とした地中海世界を著者がどう描ききるのか
お手並み拝見です!

それにしても、昨日の記事が「萌え!」で、
今日が、中世史とは・・・^^;

(ってか、前説なげぇ~よ!)