武の道へのこころざし

大道塾の横須賀・湘南支部の責任者が、日々の活動に関する出来事や想いを綴っていきます。

稽古を続けることによる、我慢強さの効用

2023年02月17日 | Weblog
辻堂幼年部の一人の女の子。

兄が稽古生として在席しているものの、早くに少年部に昇格したことで、今現在、女の子がたった一人で、やんちゃ盛りの一つから二つほど年上の男の子達と一緒に稽古に励んでいます。

稽古では、道場に来た時に挨拶をして中に入り、「お願いします」という声とともにカードを指導者へ手渡して、指導者の指示で室内を10周走ります。

一周ごとに大きな声で、「一周!」、「2周!」と大きな声を出して数えながら走るのが習わしですが、そうした一つ一つの声が出せず、数字を正確に数えることもままならなかった子が、入室の際に大きな声で挨拶ができるようになり、カードを手渡すときの挨拶の声も、まだまだ幼さの残る声色ながらもしっかりと挨拶ができ、1周走るごとに、大きな声で数字を間違えずに数えられるようになりました。


この子は、稽古前や稽古途中の休憩の時には、一人遊びをしたり、指導者である私と話をしたり、なんだか黄昏ていることも多かったですが、最近は年上のお兄ちゃんたちに交じって鬼ごっこにも参加できるようになってきています。

まだ小学校にも上がっていない子であるため、仕方がないといえば仕方がありませんが、1年生から2,3年生の子たちに交じって稽古をしている姿には、なかなかに逞しさが感じられます。



右や左をしっかりと理解して把握できるまでには、まだまだ時間がかかる年頃です。

それでも、基本稽古や型稽古の時はもちろん、準備体操の時ですら、いちいち右左の間違いを指導して修正していきます。

時には、左右の間違いをわざと見逃して見過ごしてみたりします。

また時には、「右左を間違っている子がいるかな?」、「周りを見て違っていたら直してみて!」と自分で周りを見ながら自己修正を促したりしながら、稽古を進めていきます。

修正を促される子には、多少なりともストレスが発生し、繰り返し促されることが続くと、ストレスが大きく増してくるため、時には良いところを褒めたり、時には失敗を見逃したりすることも、指導をする上では大切なところです。

間違いを正すばかりではなく、稽古の中で自己肯定感を増していくことが大切であるからです。


それでも、ストレスに耐えられる度合いには個人差があり、その日の気分や体調によっても変化があり、ストレスに耐える力は同じ人間でも均一ではないため、その子の様子をしっかりと見定めながら稽古を続けていく必要があるのは言うまでもありません。



基本や型稽古の中で、右左を交互に技を繰り出すばかりではなく、左右交互に技を出していたものが、右から右、次は左から左へと同じ手で攻撃や受けの動作をすることがあったり、三本の動作を、右・左・右、次は左・右・左と、動作は左右交互だけれども、技の始まりが左右異なる動きをする場合があります。

時にはそこに、蹴りの動作が入ったり、攻撃ばかりではなく間に防御が入ったり、徐々に複雑になる動きに、幼い子たちはついていくのに必死です。

しかし学年が異なり、稽古に参加している期間が異なったり、覚えるのが得意な子と苦手な子など、得手不得手が異なるため、いつも簡単な稽古では物足りなくなる子が出てきます。

また逆に、難しい動作ばかりではついて来れない子がいたりするため、時には簡単な動作、時には少しむつかしい動作を取り入れることで、稽古の中にメリハリをつけていきます。


補強運動でも、簡単な動作があればむつかしい動作があり、優しい運動があればとてもハードな運動を取り入れたり、あまり楽しくないきつい運動があったかと思えば、なんだかとても楽しいと感じられる運動や競争などの競い合いがあり、そうした緩急が子供たちの心にピリッとした緊張感と刺激を与えています。

補強運動で息が上がり気持ちが盛り上がったかと思えば、その後の休憩に入る前にはいったん動作を止めてきちんと正座をし、黙想をして盛り上がってきた自分の気持ちを落ち着かせて、心を整えなければなりません。

子供たちは動いたりとまったり、力を入れたりリラックスしたり、懸命に頑張ったり、丁寧にやさしく教える側に回ったりと、稽古の中では気持の休まる暇がありません。


しかし、それでもそうしたストレスを感じる稽古を長く続けている子供たちにとっても、稽古の中での適切なメリハリが感じられるようになると、その我慢の感覚が徐々に心地よさに変わっていき、そうした稽古を続けている期間が長ければ長いほど、「我慢強さ」、「粘り強さ」、「忍耐力」というものが格段に向上していきます。



先日、ある女の子(今では女性といったほうがいいかもしれませんが・・)、が、道場に挨拶に来てくれました。

警察学校を卒業し、勤務が決まったとの報告です。


以前、学校を卒業た後に、就職試験に合格した時にも報告に来てくれましたが、今回、警察学校を卒業したことで時間がとれるようになり、また稽古にも復帰したいとのことです。

警察学校にいる間に柔道の稽古にも取り組み、初段を取得したとのことです。

報告をしてくれているその表情には、昔から変わらぬかわいらしさがありながらも、とてもはつらつとして表情豊かな雰囲気を感じることができ、とてもうれしく感じました。



この子は入会した最初の頃は、体育館の入り口でモジモジして涙目にり、幼年部の稽古にもなかなか参加できなかった子です。

その後は徐々に稽古に慣れてきて、支部の中でも活躍をするようになった子ですが、入会当時の、そうした姿とその時の幼い頃に表情が、私の記憶の中に今でも強く残っています。。。



我々の道場に長く所属してきた多くの子達が、進学や就職、その後の人生においてしっかりと自分の道を切り開いてくれています。


そして皆一様に、とてもいい表情で成長ができている姿を見ることで、とても安心してその後の成長を見守ることができています。

そのためにも、幼い子供たちの今の頑張りを励ますことの重要性、そして且つバランスよく鍛えていくことの大切さを身をもって感じています。




コメント    この記事についてブログを書く
« 小さな「なるほど!」という... | トップ | 布団の中から出たくない! »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事