夏の言の葉

日頃気になった「言葉」についてを中心に、愛猫のこと、ロード・オブ・ザ・リング4コママンガ等、取り上げていきます。

敬語 その1「とんでもない」

2005-09-23 | 国語学
最近知ったんです。「とんでもない」って言葉の丁寧な言い方。  
Q.どちらを使いますか?  

 1.とんでもございません  

 2.とんでもないことでございます    

さて、どちらを選びました?

そもそも、「とんでもない」と言う言葉の構成はどうなっているのでしょう。

「とんでも」+「ない」でしょうか?

1.を選んだ方は、こっちですね。「ない」の丁寧な言い方が「ございません」なので「とんでも」+「ございません」にしたわけです。

では、「とんでも」とは何でしょう?「とんでも」が無いとは何でしょうか?

ふっふっふ、お分かりですね。

正解は2の「とんでもないことでございます」です。

「とんでもない」は一続きの言葉で形容詞です。「とんでもな・い」なのです。

ですからあえて丁寧な言い方にするとすれば、「とんでもないことでございます」と、なが~くなってしまうのです。

私もつい最近まで「いえいえ、とんでもございません!」などと言っておりました。考えてみるものですね。  

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1 コメント

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とんだことで(^_^; (natsu_ete)
2005-09-24 21:47:47
この記事を書いてから、後日、またいろいろと別の意見に触れる機会がありました。

「とんでもない」は、やはり「とんでも・ない」であるというご意見もあるのです。

この語の類例として

「あじけ・ない」

「しょうが・ない」

を揚げていますが、どうでしょう?

同じような言葉だと思われますでしょうか?



確かに、語形としてはよく似ています。

しかし、「あじけ」は「味気」、つまり、味わいが無い、という意味で、「ない」は「無い」と書き換えることが出来ます。

「しょうがない」はどうでしょう。

「しょうが」は「仕様が」、つまり、やりようが無い、という意味と捉えれば、やはり「無い」と漢字に書き換えられます。



では、「とんでも」には、本当になんの意味も無いのでしょうか?



我々は「とんだことでしたね」などと、他者の予期せぬ不幸を慰める言葉を口にすることがあります。

この「とんだ」というのは、語源を探ると「飛んだ」に通じています。

「とんだこと」というのは、出世するにも順序があるものを、その官位を幾つか飛んで出世することを、「飛んだこと」と言ったのに由来するのです。

つまり、「とんだこと」とは本来、良きにつけ悪しきにつけ、自然の流れに反した驚くべき出来事を言うのですね。

それが転じて、今では主に想定外の凶事に使われています。

この「とんだ」が、「とんでも」の語幹であると考えるのは不自然では無いでしょう。

意味的にもほぼ同義ですが、「とんでもない」の方が、幾分「驚くべき」程度を強めている気がします。

「ない」という語が示すはずの、語幹の否定を、「とんでもない」は意味していません。

そう考えるなら、やはり「とんでもない」は「とんでもな・い」という形容詞であり、「とんでも・ない(無い)」は誤りと思われます。

ただし、この語の持つ意味「思い掛けない」「とほうもない」「考えられない」などの語尾「ない(無い)」が、「とんでも・ない」という捉え方を助長しただろうことは、無理からぬ事です。



とはいえ、「とんでもないことでございます」というよりも「とんでもございません」という方が、聞きやすく、言いやすいとみんなが思えば、やがてそれは誤用では無くなっていくのでしょう。

……いえ、もう、そうなっていますかね?σ(^◇^;)
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