震災が起きて7カ月後の10月に放送されたNHKスペシャルをご覧になった方も多いはずです。
あの番組で放送しきれなかったものを含め、それを補う形で出版されたのがこの本です。
先月発売ながら、直後はamazonでも品切れで、やっと思い出して注文しました。
読めば読むほど凄い本だと思う。
筆者の大島隆之氏はNHKの番組を制作するNHKエンタープライズのディレクターで
震災直後に東京で召集され間もなく被災地の閖上に入り、取材をはじめたという。
彼を中心とした取材チームが丹念に根気強く取材を重ね、番組とこの本ができたそうです。
「人は、避難したがらない生き物である。
自らの身に迫りつつある、未だかつて経験したことのない危機に対して、鈍感であろうとする生き物である。」
まさに自分もそうだったと気づかされました。
確定的とも言える南海トラフの巨大地震、それが引き起こす巨大津波の被害が予想される全ての
地域にお住まいの皆さんは是非これを読んでください。大島氏達の丹念な取材で構成されたこの本で
仮想体験できるはず。自分達の街と置き換えてシュミレーションしてください。
その被害を最小限に留める為に。
私たちの閖上というこの小さな町でたった20分間で750名が亡くなったその訳が
随分と良く分かるはずです。
あの日に起きた全ての事をとにかく記録として残して欲しいとかねてから思っていました。
名取市のアンケートにも最初にその事を書きました。そうでなければこれからの
閖上の街づくりなど考えられないと思っていたから。
でもそれは頼む相手が間違っていました。
この国に健全なジャーナリズムが存在していて本当に良かった。
何故、最新鋭の防災無線が鳴らなかったのか、
何故、避難場所として指定された公民館で大勢の犠牲者がでたのか、
何故、安全な場所から危険なところへ戻って死ぬことになったのか、
何故、現地再建という案が構築されていったのか、
いろんな疑問だったことが縺れた糸を解くようにはっきりとしてきました。
このような地道な努力を惜しまず、懸命にまとめ上げた大島氏と仲間に大いに感謝したいと思います。
それから、役にも立たない意地を張って、堤防や土地のかさ上げ等ハードだけしか考えない
名取市に喝ーっ!!!
ハードよりもソフトが大事なんだよ。俺達は生き物なんだっ!もう一人も犠牲者を出したくない!
あの日の生き残りとして本当にそう思っている。
巨大津波――その時ひとはどう動いたか