愚かなる精神 ふたたび

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原子炉時限爆弾

2011年04月11日 00時33分47秒 | Weblog

 広瀬隆著「原子炉時限爆弾」を読み終えた。4/3に手に入れたから読破するのに1週間ほどかかってしまった。

 
原子炉時限爆弾
クリエーター情報なし
ダイヤモンド社


 実は、3月末に神戸のある書店に「原子炉時限爆弾」を買いに行きパソコン検索しようとしたら、私の前で検索している人も「原子炉時限爆弾」を検索していた。思わず「すいません。私もそれが欲しいんですけど・・・」と声を掛けたら、サーッと逃げられてしまった。神戸の書店で変な男に声を掛けられた人がいたら、声を掛けたのは私です。申し訳ありません。もしブログを見ていたらコメントください。


 さて、「原子炉時限爆弾」。本書の2/3くらいが地震と原発の関係に関するものだった。読みながら色々な感情が湧いてきた。多くは怒りであったが、人間の欲深さ・愚かさ・無責任さを感じてやりきれない気持ちになった。


 本書の内容は科学的根拠に基づいて書かれたもので極めて理性的である。広瀬氏は長年地震による原発事故発生の危険性を訴え続けていた。そして今回の福島原発の事故が起こり、現実は広瀬氏の言っていた通りになった。これだけで十分であろう。広瀬氏の理論の正しさは証明されている。


 それにひきかえ政府やマスコミ・御用学者達はどうだったのか?地震による原発事故の危険性を全く予測できず、福島原発事故が起きてから「想定外」を繰り返している。広瀬隆氏のような素人に予測できて彼らのような専門家が予測できないのだから、彼らの理論的な間違いは明白であり、したがって彼らには専門家を名乗る資格はない。


 本書は、アマゾンでは現在入荷待ち、神戸の書店では店頭に平積みにされているそうだが日本人は是非読んでほしい。


 本書の最後、「電力会社へのあとがき―畢竟、日本に住むすべての人に対して」の一文を掲載する。

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 だが今は、あえてそのすべての(原発の)運転を即刻止めろと、求めないようにしたい。まず何よりも、この問題に対して、第一歩を踏み出していただきたい。すべてを止めないと危ないことは分かっているが、時間的な切迫感から、申し上げたいことがある。東海大地震という、百パーセント起こる巨大地震が、その歴史的な周期性を持って、日本の中心部、富士山を噴火させたフォッサマグナ地帯で、静岡県の目の前に迫っていることだけは、すべての人が認めているし、中部電力も認めている。

 浜岡原発の危険性について、これまでのように実りのない対立した論争を続けるより、今は、まず日本人が「共に」生き延びることが第一である。残された時間はあまりない。中部電力は、浜岡原発の一号機と二号機の危険性に気づいて、これを廃炉にすることを決断できたのだから、残っている三号機、四号機、五号機も運転を止めて、内部に入っている危険なウラン燃料を、静岡県外のどこか安全な場所に移してほしい。
 
 引き取る場所がないと言うなら、国会議事堂内や、名古屋市の中部電力本社ビル、霞が関の経済産業省ビルに移すことを、真剣に検討するべきである。これらは、皮肉で列挙しているものではなく、この問題に対して最大の責任を負うべき場所である。それほど事態は切迫しているのだ。互いに異なる議論を戦わせるのは、この一歩を踏み出してから、そのあとにしましょう。私はこれまで一度でも電力会社に頭を下げてお願いしたことはない。だがこれは、涙しながら、伏してお願いすることである。大事故が起こる前に、中部電力は一刻も早く、その決断を下していただきたい。

 そして中部電力が決断を下したあと、返す刀で、原子力発電所と再処理工場を抱えるすべての自治体と電力会社は、それに学んで、地震が迫っている問題を一から真剣に、急いで検討する時期にある。高速増殖炉”もんじゅ”と六ヶ所再処理工場を設計した、あまりに脆い耐震性は、危急の問題である。私は、大事故について調べ、考えながら、それが現実に日本を襲う時の光景を 、やはり本心からは想像することができない。そのような地獄図があってはならないからだ。

                                       ()内は私
 
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 福島はまだまだ終わらないが、次は浜岡が待っている。


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