(入間市下谷ヶ貫にある地蔵塔・江戸時代)
「盃状穴はいじょうけつ」とは、石を突いて盃状(さかずきじょう)に窪んだ穴のことで、西日本一帯の寺社の境内などの石灯篭の台石・手水鉢・石橋などの石造物によく見られるという。主に江戸時代の民俗信仰的な風習から発生して当時の石仏にその痕跡が確認されているが、この盃状穴の風習についてはよく解っていないのが現状のようである。(2012.7.30付の続きです)
奈良大学友で鳥羽市で宮司をしている H氏の研究で埼玉県内にもあるようなので情報提供してほしい、との依頼があったので近所を中心に探してみたのです。
(H氏から教えていただいた盃状穴については、 昭和55年に山口県の神田山古墳の石棺の蓋に約20個の盃状穴が穿たれていたことが発見されて、「盃状穴」と命名された。世界中にあり、西洋では「カップマーク」と呼ばれていて、青銅器時代から見られる。日本でも縄文時代からあり、韓国では「女穴」「性穴」とも言われ、支石墓や石塔にたくさんある。民間信仰で女性の性器を象徴するもので、豊穣や命の再生や回復、子供を授けてほしいなどを祈りながら穿ったもののようである。地域によって穿つ場所が違って居たり、祷る内容にも違いがあるようだが研究論文もすくないとのことでありました。)
近所を少し歩いただけで、こんなに多く見つかった。地元の古老に聞いたら、「子供の頃、ヨモギを石で突いて遊んだ記憶がある」とのことでありました。
(2012.7.30付の続きです)
6. 扇町屋3丁目角、扇町屋上町馬頭観世音道標の台座
(江戸時代の宿場・扇町屋の角には大山・八王子道の道標がある)
(扇町屋の道標には台座と頭部に盃状穴が残っている)
7. 豊岡1丁目、道標台座。(サイオス前子育て地蔵尊並び)
(街中の道祖神・道路拡張で子育て地蔵尊と並んでいました)
8. 小谷田、東光寺入口の供養塔台座
(東光寺入口の供養塔と盃状穴がみえる台座)
9. 小谷田、秋葉神社石塔の台座
(右・小谷田秋葉神社の石塔、秋葉山は静岡にある火を守る山岳信仰、明治2年に一帯が火災にあったとのこと)
(秋葉神社石塔側面には明治2年の記載があるが、右にアップした台座はもっと以前のもの?)
10. 中神の百万遍供養塔道標台座、入間市から青梅市に抜ける街道沿いにある道標。
(茶畑の真ん中を通る街道沿いにある、百万遍道標の台座にも)
11. 下谷ヶ貫公会堂前の六地蔵塔の台座
(下谷ヶ貫六地蔵の供養塔には寛永年間の表示が読み取れた)
(下谷ヶ貫六地蔵塔の台座に残る盃状穴、セミがとまっていました。)
古い台座に後日供養塔をつけたような物や、その逆と思われるものもありました。
今回も、H氏の研究資料の参考となればと歩いているもので、早朝散歩の途中の近場だけでもこれだけの盃状穴が見つかりました。皆さんの廻りでも見つかると思います。ご意見や情報があったら教えてください。そして現代ではこの穴の長く続いた民俗的解説が出来る人がいなくなりつつあるのです。(風俗は時と共に廃れていくのでしょうか?)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます