直木三十五記念館の日々

直木賞にその名を残す直木三十五の記念館は市民参加型のミュージアム。運営の悪戦苦闘をストレートにお伝えします。

小島政二郎「場末風流」

2008年03月10日 | Weblog
 土曜日に古書会館で月例の即売会があったので久し振りに覗く。顔見知りの店主何人かに会い挨拶を交わす。
 さて肝心の本棚の方にはびっくりするほどのものはなかったが、文庫の棚に小島政二郎の旺文社文庫の作品があった。「円朝」の(上)(下)の揃いと「場末風流」である。「円朝」も買おうかと思ったが、以前に神田で単行本も上下を買っているので思い留まり、「場末風流」を購入する。
 この「場末風流」には直木三十五についての随筆があり、以前から読んでみたいと思い続けていたので念願かなったというわけである。田端の天然自笑軒で行われた芥川の一周忌に直木が現れ、受付をしていた小島が「直木三十五」と記すが、本人は会費が払えずに小島と五分程会話を交わして帰っていくという記述がある。直木らしいとも言える話である。昨年に私が田端を訪れたときにこのことを知っていたら天然自笑軒址を見る感じが変わっていたのにと思う。
 小島の記述によると直木は声が低いようである。これも知らなかった。あと面白いと思ったのは聯合映画芸術家協会の株を小島は直木から貰ったとある。配当など期待もできないが記念に取っておくとある。昭和9年に直木が死んだ際に書いた文章なので、恐らく戦災で焼けて今はないだろうが、小島政二郎さんのご遺族がもしもお持ちであればと思う。

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