はまあるきの東屋

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隣の病い:中井久夫著

2015-09-12 22:53:09 | 病気


隣の病い
中井久夫著
ちくま学芸文庫
1400円+税
2010年

 全部で3章ありますが、第1章のみが、精神科に関するものなので
第1章のみの印象的な文章を少し引用しながら、紹介します。

「この本からの引用:原則一文章ごと」
(わたしのコメント)
 (

『隣の病い』とは、精神科患者を診察しているうちによくお目にかかる
他のかの病いである。私が80年代によく手こずった病いの一つにアトピー性皮膚炎がある。

 (たしかに、多いという印象を、私ももっています。)

「しかし、ある患者などは、自分の耐え難い精神不穏(イライラ)が、
だいたい一時間以内に終わるということをわきまえていて、とにかく
1時間待てばいいのだと必死に耐えるのだということを教えてくれました。」

(そういえば、サッカーも、バスケットも45分が単位ですね。)

「彼(H.S.サリバン)は、入院第一夜を重視し、患者の側で、
男性看護師と自分の目青春期の体験を語りあるという方法をとった。」

 (一種の、集中的な、病歴問診でしょう。)

「男性看護師の採用にあたって、彼(H.S.サリバン)は、
いわゆる統合失調気質者を好んだ。同類が同類を治すのだと彼はいった。」

(相当以前、私の担当した、あるロールシャッハの医学生は、
のちに精神科医になりました。)

 「実際、ロールシャッハのような強力なテストは、医師の判断を左右し、
その結果、患者の運命にも大きく関与するのである。」

 (私はそのような経験がありません。検査の数が少ないからかな!?
いくら、ロールシャッハでロールシャッハの可能性が高いといわれても、
基準から言って確信は難しいです。)

 「しかし、診断基準が『国際的精神医学者シンジケート』の手中に陥って今
、診断表の手を触れることはきわめて困難で、博学と巧知とを必要とし、
しかもそっちを磨いていると臨床感覚が風化する。さしあたりは、
診断基準には『一般的敬意』を表するにとどめておくのがよいだろう。」
 
 (全く同感です。時代とともに精神病の状態が、その定義も変わっているのに、
アンケートや点数やアルゴリズムで病名を機械的につけるというやり方は、
どうも私もなじめません)

「家族因については、誰かが彼(彼女)を愚痴の聞き役に選んでいる場合に注意したい。
私は『ゴミ箱にする(される)とよんでいる。』

(思い当たる例は多いです。ゴミ箱にされないよう、うまく荷がなければいけませんね。)

 「患者の『士気』が阻喪している場合。『心因性難病』
患者の士気を再建することは、おそらく、慢性患者の治療の第一歩であろう」

(これが難しいです。でも、心掛けなければいけませんね。)


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