海の見える理髪店
荻原浩著
集英社
1400円+税
2016年3月
第155回直木賞受賞作品
以下のHPに北上次郎のまとめ的書評があります。
http://renzaburo.jp/uminomieru/
6編の作品のうち、6番目の「成人式」が私には、一番素晴らしく、
感動的でした。少し下記に紹介します。
15歳の娘、鈴音が飲酒運転のトラックに弾かれて亡くなります。
恵美子は49日が過ぎても、2ヶ月が経っても、3人分の食事を作り続けます。
鈴音の部屋は、時に掃除をする以外は手をつけず、
5年前のそのままにされています。
5年が経ち、成人式が近づいたとき、鈴音宛で着物のカタログが届きます。
最初は恵美子はカタログをすぐちぎって捨てます。
自分は、恵美子が振袖を着て、成人式に出ることを、ふと思いつきで提案します。
自分も羽織はかまでエスコートするから、と。
この提案に恵美子は本気で乗ります。
二人で周到に準備して、会場に向います。
しかし、会場受付で、入場を拒否されます。
その場で、親友だった郁子が気づきます。
彼女はすぐさま、携帯で友達10人と連絡をとり、10人のとんちとチームワークで、
みんなで会場に入ります。無事式典が終わり、元の友達と一緒に、
実物大に拡大した鈴音の顔写真と共に記念写真をとります。
娘を亡くした夫婦の悲しみ、その生活ぶりが非常によく表されていました。
感動的なストーリーで、終わりごろ、私は涙が止まりませんでした。