(A)モーレツエリートサラリーマン と
(B)貧乏子だくさんのイクメン
映画では(A)が悪いように描かれていた。
医師の私は、医師の父が(A)の典型だったから、
(A)にはならないよう、気をつけたつもりだった。
しかし、振り返ると私はやはり(A)に近かった。
でも仕事を辞めて、ビンボーな時期もあった。
(A)と(B)の間を揺れ動いたのが実際だった。
金がないのもつらい、仕事をきちんとでできてないのも男としてつらい。
また、家族との触れ合いが少ないのもつらい。
この映画は(A)が極端に悪いように描かれている。
しかし、私は思う。
(A)と(B)のバランスをとるのがいいのではないかと。
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他の解説
『誰も知らない』などの是枝裕和監督が子どもの取り違えという出来事に
遭遇した2組の家族を通して、愛や絆、家族といったテーマを感動的に描くドラマ。
順調で幸せな人生を送ってきたものの、運命的な出来事をきっかけに苦悩し成長する主人公を、
大河ドラマ「龍馬伝」や『ガリレオ』シリーズの福山雅治が演じる。
共演は、尾野真千子や真木よう子をはじめ、リリー・フランキー、樹木希林、
夏八木勲ら個性派が集結。予期しない巡り合わせに家族が何を思い、選択するのか注目。
あらすじ
申し分のない学歴や仕事、良き家庭を、自分の力で勝ち取ってきた良多(福山雅治)。
順風満帆な人生を歩んできたが、ある日、6年間大切に育ててきた息子が病院内で
他人の子どもと取り違えられていたことが判明する。
血縁か、これまで過ごしてきた時間かという葛藤の中で、それぞれの家族が苦悩し……。
「そして父になる」登場人物たちの感情の変遷がひたひたと伝わってくる誠実な映画
誠実な映画だ。まず、タイトルに寸分の偽りもない。
まさにその通りの映画。だからといって予定調和的なところは微塵もなく、
終始サスペンスフルで心を揺り動かされ続けるだろう。
登場人物がここでどう感じるのか、どういう選択をするのか、
それは正しいのか、自分だったらどうか。
固唾をのんで見守る時間は濃密で、豊かな体験となる。
「やっぱり、そういうことか」。
ひとり息子が生まれた病院で取り違えられていたと知ったときの、良多の反応だ。
福山雅治演じる良多は、仕事命のエリートサラリーマン。
自分の思うような強い子に育っていない息子に不満を感じていたようだが、
この反応は最悪。クールで鼻持ちならない上から目線の主人公はしかし、
ただのいけ好かない男ではないことがわかってくる。
彼なりに悩み、葛藤し、血と時間と、愛について考える。そして父になる。
良多夫妻と対照的な、商店を営む相手方の夫婦。
いきなり衝撃の事実を突きつけられた、ふたりの子供たち。
6人それぞれが、驚くべきリアリティを醸し出す。
セリフとセリフの間のふとしたしぐさや息づかいに感情がほとばしったり、
視線が雄弁に語りだしたり。それぞれの感情の変遷がひたひたと伝わってくる。
よくわかる。それだけに、クライマックスで涙をこらえるのはまず無理!
まったく、この監督の真実(と私たちが心から信じられるもの)を導き出す手腕には舌を巻くばかり。
それもこれも、映画に対する監督自身の誠実さがあってこそのものなのだ。
(若林ゆり)
(B)貧乏子だくさんのイクメン
映画では(A)が悪いように描かれていた。
医師の私は、医師の父が(A)の典型だったから、
(A)にはならないよう、気をつけたつもりだった。
しかし、振り返ると私はやはり(A)に近かった。
でも仕事を辞めて、ビンボーな時期もあった。
(A)と(B)の間を揺れ動いたのが実際だった。
金がないのもつらい、仕事をきちんとでできてないのも男としてつらい。
また、家族との触れ合いが少ないのもつらい。
この映画は(A)が極端に悪いように描かれている。
しかし、私は思う。
(A)と(B)のバランスをとるのがいいのではないかと。
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他の解説
『誰も知らない』などの是枝裕和監督が子どもの取り違えという出来事に
遭遇した2組の家族を通して、愛や絆、家族といったテーマを感動的に描くドラマ。
順調で幸せな人生を送ってきたものの、運命的な出来事をきっかけに苦悩し成長する主人公を、
大河ドラマ「龍馬伝」や『ガリレオ』シリーズの福山雅治が演じる。
共演は、尾野真千子や真木よう子をはじめ、リリー・フランキー、樹木希林、
夏八木勲ら個性派が集結。予期しない巡り合わせに家族が何を思い、選択するのか注目。
あらすじ
申し分のない学歴や仕事、良き家庭を、自分の力で勝ち取ってきた良多(福山雅治)。
順風満帆な人生を歩んできたが、ある日、6年間大切に育ててきた息子が病院内で
他人の子どもと取り違えられていたことが判明する。
血縁か、これまで過ごしてきた時間かという葛藤の中で、それぞれの家族が苦悩し……。
「そして父になる」登場人物たちの感情の変遷がひたひたと伝わってくる誠実な映画
誠実な映画だ。まず、タイトルに寸分の偽りもない。
まさにその通りの映画。だからといって予定調和的なところは微塵もなく、
終始サスペンスフルで心を揺り動かされ続けるだろう。
登場人物がここでどう感じるのか、どういう選択をするのか、
それは正しいのか、自分だったらどうか。
固唾をのんで見守る時間は濃密で、豊かな体験となる。
「やっぱり、そういうことか」。
ひとり息子が生まれた病院で取り違えられていたと知ったときの、良多の反応だ。
福山雅治演じる良多は、仕事命のエリートサラリーマン。
自分の思うような強い子に育っていない息子に不満を感じていたようだが、
この反応は最悪。クールで鼻持ちならない上から目線の主人公はしかし、
ただのいけ好かない男ではないことがわかってくる。
彼なりに悩み、葛藤し、血と時間と、愛について考える。そして父になる。
良多夫妻と対照的な、商店を営む相手方の夫婦。
いきなり衝撃の事実を突きつけられた、ふたりの子供たち。
6人それぞれが、驚くべきリアリティを醸し出す。
セリフとセリフの間のふとしたしぐさや息づかいに感情がほとばしったり、
視線が雄弁に語りだしたり。それぞれの感情の変遷がひたひたと伝わってくる。
よくわかる。それだけに、クライマックスで涙をこらえるのはまず無理!
まったく、この監督の真実(と私たちが心から信じられるもの)を導き出す手腕には舌を巻くばかり。
それもこれも、映画に対する監督自身の誠実さがあってこそのものなのだ。
(若林ゆり)