
『あぁ・・言われてみればわたしも、人にも自分にも厳しいところがあるのかもしれないなぁ。
家族に対しても、厳しいことを言ってきたのかもしれない。
でもこんなふうに言えてしまうのは、わたしも親から厳しいことを言われて育ってきたからなんだ。
私自身、親から高い理想を求められ、それに答えようとずっと頑張って生きてきた。
だからつい子供やまわりの人にも、同じように厳しいことを言ってしまうのかもしれないなぁ。
今まで本当によく頑張って生きてきたよなぁ。
そりゃあ人間なんだから、いつもいつも理想どおりにはいかないよなぁ。』
許すとは、今まで頑張って生きてきた自分を認めてあげることなのじゃ。
人や自分に優しくなろうとしても、なかなかできない自分を許してあげることなのじゃ。
そう思えた時、、体も心もずいぶんとゆるんでいる。
攻撃的な従業員を見る目も変わってくる。
「あぁ、この従業員もきっと厳しく育てられてきた人なんだろうなぁ。
許されていないことがたくさんある人なのかもしれない。
この従業員が少しでも自分を許して楽になれたら、
この人の人生はもっと幸せな方向に向かっていくだろうなぁ。」
愛は人を変える。
相手の幸せを願う気持ちで向き合った時、例え厳しい言葉であろうとも、
相手に必ず愛が伝わるものである。
人は愛を感じた時、心が動き、自ら変わろうと思いはじめる。
ゆえ、相手に注意をする時、次の点に気をつけてもらいたい。
★ 相手を正そうとしていないか?
★ 相手を裁こうとしていないか?
★ 相手を許せないという感情はないか?
このような気持ちで注意した場合、まず間違いなく相手の心を動かすことはできない。
なぜならこれらの想いには、相手を責めるマイナスのエネルギーが込められているからじゃ。
相手を責めると、たいていの者は自分を守ろうとして心を堅くする。
またなかには猛烈に反撃してくる者もいよう。
「なぜ反撃してくるんでしょうか?」

自尊感情とは、次のような感情のこと。
★ 自分は大切な人間である
★ 自分は必要とされている
★ 自分は役立っている
★ 自分はここに居てもいいんだなぁ
★ 自分は愛されている
★ 自分のことが好きである
自尊感情が低下している者は、自分の存在をとてもちっぽけだと思っている。
自尊感情の低い者が人から注意されると、
ただでさえちっぽけな自分の存在価値が、さらに小さくなってしまうのじゃ。
ゆえ、なんとか自分を守ろうとして、猛烈に反撃してくる。
この攻撃的な職員は、自尊感情が低下しているのじゃろう。
今まで育ってくる中で、十分な愛情を受け取ってこなかったのかもしれぬのぅ。
自尊感情の低下している者には、欠点を指摘するよりも、
今のままでもできている良いところを見つけて、認めてやることからはじめると、
良い方向に変化するスピードがグンとアップする。
その従業員は攻撃的というが、まじめで一生懸命なところもあろう。
頑張りやなところもあろう。
そんな一面をみつけ、
「よく頑張ってるね。」「ちゃんと見てるよ。」と言葉をかけてあげると、
その職員の心の中に、少しずつ少しずつ優しい気持ちが芽生えてくる。
愛情が満たされていくからじゃ。
すると注意されても、反撃してこなくなってくる。
相手に伝える際、枕詞を使うと相手は受け取りやすいので、覚えておいてほしい。
「ちょっといいかなぁ。」
「言いにくいことだけど、おまえのためを思って言うぞ。」