少しだけ残したブログ

現在更新していません。

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※このエリアは、60日間投稿が無い場合に表示されます。記事を投稿すると、表示されなくなります。

削除のお知らせ

2008-03-16 | その他
このブログは、2006年7月から更新しておりません。
閉じてもかまわなかったのですが、NOVAとの中途解約トラブルを抱えた方々が情報交換されていたため、そのままにしておりました。
でも、その役割もすっかり終わったと思いますので、後日、削除する予定です。
閲覧に来てくださったり、コメントをくださったりした方々、ありがとうございました。


追記:2008年4月4日
残してほしいとおっしゃってくださる声があり、語学教室トラブルに関するものだけを残すことにしました。
残りの記事はほとんど削除しました。
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続・NOVA中途解約訴訟の判決は妥当か

2007-07-14 | その他
当ブログの過去の記事NOVA中途解約訴訟の判決は妥当かのページには、NOVAの中途解約希望の多くの方がコメントを書き込まれ、1500件を超えました。
そのため、ページが大変重くなり、開くのに時間がかかるようになりました。

そこで、書き込む方の便宜を考え、こちらのページを新しく開きました。こちらにコメントを書き込んでください。

ご不便をおかけしました。

なお、当ブログ内のNOVAの記事は以下のものがあります。
NOVA中途解約訴訟の判決は妥当か 17.2.16東京地裁
NOVAの主張、控訴審でも通らず 17.7.20東京高裁 (17.2.16東京地裁の控訴審判決)
またまたNOVAの中途解約訴訟 17.9.26東京地裁判決
消費者機構日本がNOVAに申し入れ
NOVA、京都地裁でも敗訴 18.1.30京都地裁判決
NOVA精算規定は無効、高裁でも受講者勝訴 18.2.28東京高裁判決
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NOVAの中途解約について

2007-05-10 | 裁判
当ブログは現在更新していませんが、いまでも「NOVA 中途解約」「NOVA 判決」などのキーワードでの来訪があります。

当ブログにはNOVAに関する記事が複数あり、そのうち「NOVA中途解約訴訟の判決は妥当か」には、たくさんの方が交渉経緯などを書き込んで、情報提供してくれています。いわば、NOVAに関してのメイン記事です。
中途解約を希望されている方は、最近のコメントだけでもご参考にどうぞ。(コメントが1000件以上になっているので)

NOVAの中途解約訴訟を担当された弁護士・杉浦幸彦先生もところどころ登場して、アドバイスをしてくれています。

NOVA中途解約訴訟の判決は妥当か 17.2.16東京地裁
NOVAの主張、控訴審でも通らず 17.7.20東京高裁 (17.2.16東京地裁の控訴審判決)
またまたNOVAの中途解約訴訟 17.9.26東京地裁判決
消費者機構日本がNOVAに申し入れ
NOVA、京都地裁でも敗訴 18.1.30京都地裁判決
NOVA精算規定は無効、高裁でも受講者勝訴 18.2.28東京高裁判決

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その後、メインページが重くなりまして、新たに下記のページを開きました。一番多くの方が閲覧いただいている情報交換のページです。
続・NOVA中途解約訴訟の判決は妥当か 
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表示主体問題に初の判断

2006-05-18 | 公正取引委員会
以前、当ブログで、「不当表示があったとき誰が罰せられるのか」という記事を書きました。公取委の審判で争われている表示主体の問題を紹介する内容です。

公取委の審判とは、景品表示法違反で排除命令を受けたとき、その処分に不服がある場合に申し立てて審議する手続きで、この件では、輸入卸売業者1社と販売業者5社の計6社が排除命令をうけ、そのうち販売業者5社がこの処分を不服として審判に入りました。

そして、5月15日にそのうちの1社、ユナイテッドアローズについて、審判審決が下されました。この事例は景品表示法上の表示を行った者(表示主体)の範囲がどこまでかという問題を提起し、表示作成に関与していれば、製造業者が違法な表示を行っていたものを仕入れて、結果的に不当な表示を付した商品を販売した小売業者にも、処分が下される可能性があることを示した形となりました。

     ◇    ◇    ◇

●ことの発端~当初の排除命令~
平成16年11月24日の排除命令
内容は、ルーマニア製のズボンを「イタリア製」と表示して販売していたとする原産国の不当表示。
【輸入卸売業者】
・八木通商
【販売会社】八木通商から商品を購入して販売していた会社
・ビームス
・トゥモローランド
・ベイクルーズ
・ワールド
・ユナイテッドアローズ

●不服申し立て~審判開始決定~
八木通商は排除命令に同意したが、販売5社は不服として公取委に審判開始の請求をし、17年1月27日に審判開始決定。

●本件の審判審決
販売会社5社のうち、ユナイテッドアローズについて、5月15日に公取委から審決が出された。

●争点
(1)ユナイテッドアローズが景品表示法上の表示を行った者(表示の主体)に該当するか
(2)ユナイテッドアローズに排除措置を命じる必要性
(3)ユナイテッドアローズに排除措置を命じることが裁量権の逸脱に当たるか

特に(1)は、今後の景表法上の解釈に影響を及ぼすことになりそうで、注目点です。

●審判での判断
(1)ユナイテッドアローズが景品表示法上の表示を行った者(表示の主体)に該当するか
【景品表示法の一般的な解釈】
▽景品表示法の趣旨に照らせば、不当な表示についてその内容の決定に関与した事業者は、規制対象となる事業者に当たると解すべき。
決定に関与とは、自らもしくは他の者と共同して積極的に当該表示の内容を決定した場合のみならず、他の者の説明に基づき内容を定めた場合や、他の者に決定を委ねた場合も含まれるものと解すべき。
▽当該決定関与者に故意または過失があることを要しない

【それに照らして本件は】
▽ユナイテッドアローズは、平成12年に当該商品の購入を始めるに当たり、八木通商の説明に基づきイタリア製だと認識し、その認識のもとに、「イタリア製」と記載した下げ札を自ら作成し、品質表示タッグを八木通商に作成を委託して、その表示を付した商品を販売した。(※下記の画像参照)
▽したがって、ユナイテッドアローズが表示内容の決定に関与した者に該当することは明らかである。
▽その際には、八木通商の説明を信じて、商品がイタリア製であると誤認したことは、その判断を左右しない



  
※画像は公取委プレスリリースより


(2)ユナイテッドアローズに排除措置を命じる必要性
ユナイテッドアローズは自主的にすでに十分な排除措置を採っているのだから、公取委が排除措置を命じる必要性はないと主張していることについて。
【ユナイテッドアローズが採った措置】
▽本件のようなセレクトショップで販売される商品は、顧客はユナイテッドアローズが販売する商品として、商品選択をしていると考えられ、そのような購買行動を踏まえると、輸入業者だけでなく、小売業者においても誤認排除のための措置を講ずることが必要である。
▽公取委が本件調査を開始したあと、ユナイテッドアローズは、以下の措置を採った。
・平成16年7月4日 八木通商から原産国はルーマニアであるとの連絡を受けた
・平成16年9月10日 自社ウェブサイトおよび店頭において、「イタリア国GTA MODA社の製造による商品は、実際の生産国がルーマニア国生産であるにもかかわらず、当該輸入代理店の事実誤認によるイタリア国生産との報告をもとにイタリア国の原産国表示にて販売していたことが判明致しました」と記載。返金に応じる旨を記載。

【これでは不十分】
▽誤認排除のための告知の方法は、不当表示によって誘引された顧客の範囲や購買行動におって異なるが、ウェブサイトまたは店頭の訂正告知により、不当に誘引された顧客の大部分に告知されたと認めるに足る証拠がない。
▽告知については、一般消費者にどの商品であるかが容易に認識できるように特定する必要があるが、ウェブサイトの告知では、単にジーティーアー モーダ社製の「商品」とあるだけで、一般消費者に自分の購入した商品か否か、容易に認識できるとはいえない。
▽したがって、一般消費者の誤認を排除するには不十分である。

【原産国表示をする際の注意義務】
▽イタリア製であると表示して販売する場合、小売業者には、当該商品が本当にイタリア製か確認する注意義務がある。
▽その場合、輸入業者に確認することになるが、どの国の商品であるか漫然と尋ねるのでは不十分であって、当該商品の実質的変更行為として何がどこで行われたかをただし、疑わしい場合には根拠を求める必要がある。
▽ユナイテッドアローズは、八木通商の担当者から、「GTA社の工場がイタリアに所在することを実地に確認した」との回答を得たと主張するが、その内容は具体性に欠け、さらに、八木通商の当該担当者の公取審査官に対する供述調書では、「GTA社の工場を確認したことはない」と述べている。
▽したがって、ユナイテッドアローズの陳述は直ちに採用することができない。

以上により、(2)について、誤認排除および再発防止のため措置を命じることは必要である。

(3)ユナイテッドアローズに排除措置を命じることが裁量権の逸脱に当たるか
ユナイテッドアローズが、過去の原産国不当表示事件や同様の行為を行った販売業者との比較などから、自社に排除措置を命じることは裁量権の逸脱であると主張していることについて。
【具体的事実の主張が必要】
▽景品表示法は、趣旨・目的を効果的に達成するため、公取委に広範な裁量権を付与している。
▽この裁量権の濫用や範囲の逸脱を主張する場合には、それらを裏付ける具体的事実の主張・立証を要するものと解される。(東京もち事件判決・最高裁平成12年3月14日判決・公正取引委員会審決集第46巻581頁)

【違反行為者が多数あると考えられる場合】
▽景表法に違反する表示を行う事業者が多数あると考えられる場合に、裁量権を行使して、違反行為の規模、市場に与える影響、措置の実効性などを考慮して、一部の違反者にのみ措置を命じることは当然であり、何ら公平性を欠くものではない。
▽ユナイテッドアローズの場合、平成12年8月ころから、16年7月ころまでの長期にわたり、約2,200着の本件商品を販売しており、さらにユナイテッドアローズは有力なセレクトショップであって若年層に名が知られた存在であることからして、本件違反行為の及ぼした影響は軽微とはいえない。
▽行政処分が平等原則に違背する違法なものとなるのは、他の違反事業者に行政処分をする意思がなく、処分された事業者にのみ差別的意図をもって処分をしたような場合に限られるものと解される(東京もち事件判決)が、本件にそのような事情は認められない。

     ◇    ◇    ◇

大きいのは、「故意・過失を要しない」というところだと思います。
つまり、八木通商から言われたことを信じて、「イタリア製」との表示を行って(作成に関与して)販売したら、結果的に不当表示になってしまったわけですが、この表示違反が無過失であったとしても、排除命令は免れないということになります。作成に関与せず、製造業者(または輸入業者)が表示を作成し、それを仕入れて単に販売しただけであれば、処分を免れるということになりましょうか。私の場合、食品ぐらいしか原産国・原産地を気にしませんが、やはり世間一般では、洋服で「イタリア製」というと顧客誘因性があるんでしょうね。

また、販売業者は、仕入れる際に、原産国について「漫然と尋ねる」のではなく、どこでどのような加工がされたか、もっと突っ込んで聴取しなければなりませんし、表示が間違っていたとの認識を持ったら、顧客に対して早急に、商品を特定できるような形で告知をしなければなりません。その際には告知媒体にも配慮しなければなりません。

表示の作成に、複数の事業者が絡んでいる場合、小売業者が注意すべきことが今回いくつも明らかになったと思いますが、考えてみれば当たり前のことかもしれないですね。

健康食品についても、例えばドラッグストアなどが、店頭で薬事法・景表法に抵触する表示を行っているケースが見られますが、「メーカーから聞いた」程度の根拠だったりします。販売業者には、そんな程度で安易に表示を行う事業者も割りと多いのかもしれません。

株式会社ユナイテッドアローズに対する審判審決について(輸入ズボンの原産国不当表示に係る景品表示法違反事件)
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NOVA精算規定は無効、高裁でも受講者勝訴

2006-03-12 | 裁判
※中途解約希望の方はこちらへ → NOVA中途解約訴訟の判決は妥当か
 (記事に下に多くの方がコメントを残してくれています)


2月28日に東京高裁でNOVAの裁判がありました。今回もNOVAが敗訴しています。
原判決は昨年9月26日に東京地裁で行われましたが、NOVA側が17人の弁護士を立てたのに対し、原告の受講者は1人の弁護士も立てずに全面勝訴しました。
今回のNOVAの弁護士は3人です。
(原判決はこちら→またまたNOVAの中途解約訴訟

     ◇  ◇  ◇

【本件の概要】
●当事者
控訴人・・・NOVA(東京地裁での被告)
被控訴人・・・東京・田町校の生徒(東京地裁での原告)
   ※H14年5月に登録、H16年3月に中途解約申し出

●NOVAのシステム
▽契約時にレッスンポイント数をあらかじめ登録させ、そのポイントを購入させるシステム
▽購入ポイント数が多ければ多いほど、ポイント単価が安くなる制度(数量割引制度
▽中途解約時の精算ルールは、すでに受講したポイントを金額換算して支払った額から控除する際、「消費済み受講料のポイント単価」は購入時単価ではなく、受講済みポイント数以下で最も近いコースの単価とする規定をもとにする(消費済み受講料精算規定

●受講者の契約内容
▽レッスンポイント――600ポイント×1,200円=718,200円(※5%割引キャンペーン+消費税)
▽VOICEチケット――10枚=21,000円
▽その他の発生金額――7,150円(※何の代金なのか不明)
→合計746,350円

●中途解約時の受講者の消化ポイント数
▽レッスンポイント――57ポイント(購入600ポイントの約1割)
▽VOICEチケット――4枚
※単価をそれぞれ1,200円と2,100円で計算し、違約金5万円を加えた金額を控除
受講者の返金請求額 → 612,400円+遅延損害金 年5%


【裁判所の判断】
●契約時と異なる単価を用いることは49条2項、7項に反する
▽NOVAは、原判決(東京地裁)が「精算にあたっては契約時の単価で計算しなければならず、合理的な理由なくこれと異なる単価で計算することは許されない」と判示したことについて、「特商法49条2項の立法趣旨についての誤解に基づくもので、49条2項1号イの解釈を誤っている」と主張している。
▽しかしながら、49条2項の趣旨は、違約金の上限を設けることにより、受講者が中途解約権の行使をためらうことのないよう、実質的に行使可能なものとすることにあると解するのが相当である。
▽たしかに49条2項1号イは、事業者が「既提供サービスの対価」を正当に受け取ることができることを、確認的に規定しているものと解されるが、事業者がサービスの対価を前払金として受領しており、中途解約時に、その前払金の中から「既提供サービスの対価」相当額を控除して返還する場合、前払金の収受に際してサービスの対価に単価が定められているときは、その単価にしたがって対価を計算するのが精算の原則となるものと解すべきであり、合理的な理由なく、これと異なる単価を用いて受講者の中途解約権行使を必要以上に制限するのは、49条2項、同条7項に反し許されない

(参考)―特商法49条2項
役務提供事業者は、前項の規定により特定継続的役務提供契約が解除されたときは、損害賠償額の予定又は違約金の定めがあるときにおいても、次の各号に掲げる場合に応じ当該各号に定める額にこれに対する法定利率による遅延損害金の額を加算した金額を超える額の金銭の支払を特定継続的役務の提供を受ける者に対して請求することができない。
1 当該特定継続的役務提供契約の解除が特定継続的役務の提供開始後である場合 次の額を合算した額
(イ)提供された特定継続的役務の対価に相当する額
(ロ)当該特定継続的役務提供契約の解除によつて通常生ずる損害の額として第41条第2項の政令で定める役務ごとに政令で定める額
2 当該特定継続的役務提供契約の解除が特定継続的役務の提供開始前である場合 契約の締結及び履行のために通常要する費用の額として第41条第2項の政令で定める役務ごとに政令で定める額


●49条7項で無効となる当事者間の合意とは
▽NOVAは、49条7項で無効とされるのは、「既提供サービスの対価」という名目で、多額の違約金や、まだサービスを提供していない部分の対価(すなわち懲罰的意味合いを有する料金)を支払わせるものに限定されるべきで、NOVAの「消費済み受講料精算規定」はこれに該当しないと主張する。
▽しかしながら、この主張はNOVA独自の見解に基づくものであって、49条7項により無効とされる、49条2項の規定に反する受講者に不利なものというのが、NOVAの主張する多額の違約金などに限定されると解することはできない。

(参考)―特商法49条7項
前各項の規定に反する特約で特定継続的役務提供受領者等に不利なものは、無効とする。


●有利性の主張より、「規定」が不利か否かを検討せよ
▽NOVAは、次のように主張する。仮に、49条2項の趣旨が原判決のようにとらえたとしても、「消費済み受講料精算規定」は「数量割引制度」に伴うもので、この制度によって受講者は実質的に多大な利益を受けている。また、中途解約者は、もともと「数量割引制度」の適用を受けなかった受講者と同様の単価で最初から受講したのと同じ状態に戻るだけであり、他社の料金水準に照らしても、精算単価が不当に高額という事情もない。したがって、49条7項の「不利なもの」に該当しない。
▽しかしながら、「数量割引制度」が、割引制度のない場合よりも、受講者にとって利益となることは自明のことだが、「数量割引制度」を採用する以上、「消費済み受講料精算規定」を採用することが不可欠と認められないかぎりは、「数量割引制度」を利用した上で中途解約した受講者にとって、契約時の単価で計算した49条2項1号の制限よりも「消費済み受講料精算規定」が不利なものか否かで判断すべきであり、「数量割引制度」の有利性や、精算単価が他社の料金水準と比較して高額か否かを重視すべきではない
▽(「消費済み受講料精算規定」を適用しないとしたら、契約時に、はじめから中途解約する意図で高額の受講料を前払いしたあと、予定回数を受講後に中途解約する受講者が多数出て「数量割引制度」が維持できなくなるとの主張に対し)維持できなくなると認めるに足りる証拠がないことからすれば、NOVAの主張する事情を考慮しても、「消費済み受講料精算規定」は49条7項の「不利なもの」に該当するというべき。

●NOVA「精算規定」は無効
▽NOVAは、「消費済み受講料精算規定」の採用には高度の合理性があり、その一方で、この規定は中途解約権を制限する作用がほとんどないものだから、仮に、原判決がいう49条2項の趣旨を勘案しても、この規定を無効とする余地はないと主張する。
▽しかしながら、本件受講者が中途解約した当時、「消費済み受講料精算規定」が、経過日数に応じて受講済みとみなす「みなし消化規定」と一体となって定められていたことにかんがみれば、NOVAの主張を考慮しても、「消費済み受講料精算規定」が受講者の中途解約権行使を必要以上に制限する内容となっているというべきであるから無効といわざるを得ない。

【結論】
NOVAの控訴を棄却する。
つまり → 原判決(東京地裁)どおり、
746,350(原告が支払った額)-(1,200円×57pt-5%相当額)-8,400円(ボイスチケット)-50,000円(特商法の定める違約金)-7,150円(その他発生金額)=612,571円+年5分の遅延損害金

※原判決の「主文」には612,400円と書かれ、「裁判所の判断」の最後の部分には612,571円と書かれていて、なぜ微妙に異なるのかよく分かりません。

     ◇  ◇  ◇

判決文は長くて、文字だらけで、なかなか理解しにくいと思います。当ブログでご紹介するときには、個条書きにして区切り、正確さより分かりやすさを重視して書いています。用語についても、「役務」を「サービス」と置き換えたり、「特定継続的役務受領者」を「受講者」としたりしています。
そのため、判決内容を正確にお知りになりたい方は、リンク先の判決文をぜひご覧ください。

また、私はエネルギー切れにより、NOVAの主張した部分は省略しましたが、次のような主張をしています。
▽原判決は、49条2項の立法趣旨を誤解している
▽契約時の当事者間の合意(契約)は、民法90条(公序良俗違反)、消費者保護法10条(※たぶん消費者契約法のことだと思います「消費者の利益を一方的に害する条項の無効」)などに反することがない限り有効
▽「消費済み受講料精算規定」は、「数量割引制度」を採用しているNOVAの経営になくてはならない制度で、これがなくなった場合は経営の見直しを迫られるし、その分のコストは受講者に転嫁されるため、受講者全体の利益を害する結果となる
 などなど。

なお、この記事は、さい法律特許事務所の杉浦幸彦先生にお断りして、当該事務所ホームページにアップされている判決文を参考とさせていただきました。

「第3事件」の「平成18年2月28日東京高裁」が、本件です。
http://www.psylegal.com/NOVA.htm(さい法律特許事務所)
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NOVA、京都地裁でも敗訴

2006-02-25 | 裁判
※中途解約を希望の方は、17年2月23日の当ブログ記事をご覧ください。
 たくさんの方がコメントを書き込んでくださっています。 →
 NOVA中途解約訴訟の判決は妥当か

1月30日に、京都地裁でNOVAの中途解約に関する判決が出ています。
毎日新聞の記事によれば、京都府宇治市の女性が契約時の単価に基づく清算を主張し、地裁は請求どおりの176,672円の支払いをNOVAに命じました。

記事をみると、ポイントになるのはこの部分でしょうか。
同社側は「契約時に合意しており、法規制の対象外」と反論したが、衣斐瑞穂裁判官は「契約時より高価な金銭的負担を求める内容で無効」とし、請求通り17万6672円の支払いを同社に命じた。
女性の代理人の長野浩三弁護士は「法の対象外との主張を退けた判決は初。全受講生に当てはまり影響は大きい」と話している。


今回の裁判では、「中途登録解除手数料」なる料金が出てきます。

     ◇ ◆ ◇

=裁判の概要=
●当事者
原告・・・生徒
被告・・・NOVA

●原告の契約内容
平成13年10月25日に以下を契約。
 レギュラーコース〈スタンダード〉
 150ポイント(ポイント単価2,050円)
 有効期限=3年間
 総額290,580円(10%割引価格)

●契約時交付書面
「APPLICATION FORM(生徒登録申込書・生徒控)」
上記書面の「弊社控」はNOVAへ。

●料金体系
レギュラーコース 1レッスンあたり1ポイントを使用して受講(態様によって2ポイント以上のものもある)

《ポイント単価》 購入ポイント数が多いと単価が安くなるシステム
 600pt @1,200円
 500pt @1,350円
 400pt @1,550円
 300pt @1,750円
 250pt @1,850円
 200pt @1,950円
 150pt @2,050円
 110pt @2,100円
  80pt @2,300円

●中途解約時の清算方法
 《 受領済み総額 - 下記(ア)~(オ) 》
(ア)消化済み受講料・・・※1
(イ)消化済みVOICE利用料
(ウ)マルチメディア施設利用料
(エ)中途登録解除手数料・・・※2
(オ)教材費

※1消化済み受講料を算定する際のポイント単価は、役務提供済みポイント数以下で最も近いコースの契約時のポイント単価とし、デイタイム登録、スタンダード登録、24時間登録の登録種別に該当する単価とする。ただし、消化済み受講料は役務提供済みポイント数以上の最も近いコースのポイント総額を上限とする(以下「本件規定」という)。
※2(受講料・VOICE利用料・マルチメディア施設利用料(通信料含)の契約総額-(ア)-(イ)-(ウ))×20%とする。ただし、5万円を上限とする。


●解約の意思表示
36ポイントを消費し、16年10月6日に解約の意思表示をした。

●当事者の主張
・・・省略・・・


=裁判所の判断=
●検討事項
(1) 特商法における特定継続的役務提供契約に関する規制の趣旨
(2) 本件規定が特商法49条2項、49条7項の規制を受けるか
(3) (2)が否定された場合、本件規定が、民法90条、消費者契約法10条に照らして有効といえるか
(4) (2)が肯定された場合、本件規定が、特商法49条2項、49条7項に照らして有効といえるか

(1)特商法における特定継続的役務提供契約に関する規制の趣旨
【制定の背景】
▽特定継続的役務提供取引の規制は、平成11年改正の訪問販売法に制定された。
▽英会話教室などの契約の特徴は、(a)継続的にサービスを受けることで効果が生じることで勧誘される、(b)長期間のサービス提供、(c)これに見合う対価をあらかじめ支払う、(d)高額かつ長期間の継続的な契約が取り結ばれることが多い――など。
▽それで、エステティックサロンや外国語会話教室等の契約締結時・中途解約時に紛争が急増していたことを背景として制定された。
▽訪問販売法は、12年に特定商取引法に題名が改められたが、内容は現在の特商法41条以下の規制と概ね同じ。
▽そして、特商法49条に中途解約制度が設けられ、中途解約時の事業者が請求できる金額の上限を規定した。

【規制の趣旨】
▽特定継続的役務提供取引は、(A)契約期間が長期にわたる、(B)受けたサービスの内容を客観的に確定することが難しい、(C)受けたサービスの効果や目的の実現が不確実――などの問題点があり、消費者が期待したサービス提供・効果などが得られず、以後のサービス提供を望まない場合、顧客が契約解除を希望しても事業者が応じないなどの紛争が多発していた。
▽49条の趣旨は、中途解約の要件や事業者が請求できる金額の上限を明確化したことにあると解される。

【特商法49条2項1号イとは】
▽49条2項1号イは、中途解除時に事業者が請求できる金額として「提供された特定継続的役務の対価に相当する額」を定めている。
▽この規定は、中途解約の効果が非遡及(さかのぼらない)であることから、中途解約時点での提供済みのサービスの対価相当額について事業者が正当に請求可能であることを確認的に定めたものと解される。

【特商法49条2項1号ロとは】
▽49条2項1号ロは、中途解除する際、事業者に、政令で定める額を上限とした「特定継続的役務提供契約の解除によって通常生ずる損害」の請求を認めている。
▽この規定は、49条に規定する中途解約が理由の如何を問わず認められることとの均衡上、事業者に一定額を上限とした損害額の請求を認めたものであると解される。

<参考>
49条2項 役務提供事業者は、前項の規定により特定継続的役務提供契約が解除されたときは、損害賠償額の予定又は違約金の定めがあるときにおいても、次の各号に掲げる場合に応じ当該各号に定める額にこれに対する法定利率による遅延損害金の額を加算した金額を超える額の金銭の支払を特定継続的役務の提供を受ける者に対して請求することができない。
1号 当該特定継続的役務提供契約の解除が特定継続的役務の提供開始後である場合 次の額を合算した額
イ 提供された特定継続的役務の対価に相当する額
ロ 当該特定継続的役務提供契約の解除によつて通常生ずる損害の額として第四十一条第二項の政令で定める役務ごとに政令で定める額


【特商法49条7項とは】
▽49条7項は、「前各項(同法49条1項ないし6項)の規定に反する特約で特定継続的役務提供受領者等に不利なものは、無効とする」と規定しているが、49条各号が、事業者などに対する片面的強行規定であることを明らかにしたものであると解される。

<参考>
49条7項 前各項の規定に反する特約で特定継続的役務提供受領者等に不利なものは、無効とする。



(2)本件規定が特商法49条2項、同法49条7項の規制を受けるか
【規制を受けないとするNOVAの主張は採用できない】
▽NOVAは次のように主張する。(1)本件規定は、中途解約時の提供済み対価の計算方法に関する受講生との間の合意である、(2)49条2項1号イは、このような合意をすることや、具体的な合意内容について何ら制約を課していない、(3)だから、本件規定が49条2項1号イ、49条7項の規制を受けることはなく、これらの規定に違反するかは問題にならない。
▽確かに、49条2項1号イは、中途解約の時点で提供済みサービスの対価相当額について事業者が正当に請求可能であることを確認したにすぎないことからすれば、49条2項1号イが、計算方法などについて事業者と受講生との間で合意をすること自体を制限するものとは解されない。
▽しかし、49条2項1号イは、同号ロと相まって、中途解約時に事業者が請求できる上限額を定めたものである。
▽だから、上記の合意内容が、単に計算方法などを定めることを超えて、実質的に、上限額以上の請求を認める内容である場合は、49条2項1号、同49条7項に抵触するものといわなければならない。
▽したがって、中途解約時の提供済みサービスの対価の計算方法に関する合意について、「49条7項の適用が問題にならない」とするNOVAの主張は採用できず、本件規定が、49条2項1号、49条7項に照らし有効であるか否かを検討する必要がある。

(4)本件規定が、49条2項、49条7項に照らして有効といえるか
【契約時より高単価で精算することは実質的に法の許容範囲外】
▽49条2項1号イは、中途解約の時点で既に提供済みのサービスの対価相当額について事業者が正当に請求可能であることを確認的に記載したものである。
▽前払い金を返還する場合において、契約締結時にサービスの単価が定められており、この単価に基づいて前払金の金額が決定されていた場合には、原則として、この単価に従って提供済みサービスの対価を算定するべきである。
▽そして、合理的な理由なく、これと異なる単価を用いることは、実質的に事業者に49条2項1号が許容する金額以上の請求を認めるものであり、特商法が許容しない違約金を請求することになる。
▽したがって、49条2項1号の趣旨に反するものであり、49条7項により無効であるといわなければならない。

【「営業上不利益の軽減」は合理的理由とはいえない】
▽49条2項1号ロが、事業者に一定額を上限にした損害額の請求を認めている。
▽そこからいえば、特商法は、中途解約によって事業者が受ける損害や営業上の不利益は、49条2項1号ロにより填補されることを予定しているというべき。
▽だから、事業者に生じる損害や営業上の不利益を軽減・回避する必要があるといった点は、異なる単価で精算することの合理的理由とはいえないと解される。
▽本件の場合、契約時は1ポイントあたり2,050円(但し10%割引)を適用しているが、中途解約時には提供済み対価を3,800円で算定している。
▽本件全証拠によっても、この算定方法を採用するに足りる合理的理由があるとは認められず、特商法49条2項1号の趣旨に反するものであり、49条7項により無効であるといわなければならない。

【NOVAの主張に対して①-NHK受信料との同視】
▽NOVAは、数量割引制度や中途解約時の高い単価を用いて精算することの合理性を、公共交通機関の料金やNHKテレビ受信料などを例示して、本件規定の有効性の根拠として主張している。
▽しかし、本件では、特商法における有効性が問題とされているので、高い単価での精算の一般的な適否が直ちに本件の結論を左右するものではないし、NHKテレビ受信料契約などが本件契約とは、サービス内容、対価の額、サービス提供期間などの点で性質が全く異なるから、NOVAが主張するような精算方法がとられているからといって、本件規定の有効性が基礎付けられるものでもない。
▽したがって、被告の上記主張は採用の限りではない。

【NOVAの主張に対して②-受講生間の公平確保】
▽数量割引制度における高い単価での精算は、最大数量で契約しておいて中途解約することを防止したり、受講生間の公平を確保するなどの見地から、数量割引制度を維持するために必要であるとして、NOVAは、本件規定の有効性の根拠として主張している。
▽しかし、この主張は、契約時の単価で精算すると、NOVAの営業活動に不利益な結果が生ずるため、これを避ける目的で高い単価を適用する必要があると言っているにすぎず、このような不利益は、49条2項1号ロで認められている「通常生ずる損害の額」の請求によって対処すべきものである。
▽そのため、上記主張は、提供済み対価の算定に当たって、契約時と異なる単価を適用する合理的理由になるとはいい難い。したがって、被告の上記主張は採用できない。

【NOVAの主張に対して③-中途解約権行使の不当な制約】
▽NOVAは、本件規定にはペナルティー的要素はなく、受講生の中途解約権の行使を不当に制約するものではないと主張する。
▽特商法は、受講生に理由の如何を問わず中途解約を認めており、それとの均衡上、事業者に対し、一定額の通常生ずる損害を請求することを許している。
▽だから、契約において、この金額を超える合意をすること自体がペナルティー的要素を帯び、中途解約権の行使を不当に制約するものといわなければならない。

【NOVAの主張に対して④-受講生にも利益との主張】
▽NOVAは、本件規定により数量割引制度が維持されることで、多様な価格帯が提供できたり、他社より質の高い講義を安く提供できるから、受講生に利益があると主張する。
▽しかし、ある合意が49条7項に規定する「不利なもの」に該当するかを検討するに当たり、当該合意の成立過程の事情も総合的に判断することが否定されないとしても、NOVAが主張するような、本件規定が策定されるに至った一般的な背景事情を斟酌すべきものとは解されない。

●以上により、提供済み対価は・・・
▽49条2項1号イに従って提供済み対価相当額を算定すると、
  2,050円(契約時の単価)×36(消化済みポイント)-10%(割引)+消費税
  =69,741円 ・・・提供済みサービスの対価相当額
▽また、NOVAが受講者に請求する中途登録解除手数料も、その前提となる提供済みサービスの算定方法に関する規定が無効であることから、その限度で無効であるといわなければならない。
 →中途登録解除手数料・・・上記「●中途解約時の清算方法」の※2参照
▽したがって、上記で算定した69,741円を前提に、中途登録解除手数料の算定方法(この算定方法自体は、特商法の規定に違反するものではないと解される)に沿って算定すると・・・
  290,580円(受講生支払い総額)-69,741円=220,839円
  220,839×2割=44,167円  ・・・5万円を超えていない
 したがって、NOVAが受講生に請求できる中途登録解除手数料 → 44,167円
▽よって、NOVAが返還すべき金額は・・・
 290,580円(受講生支払い総額)-(69,741円+44,167円)=176,672円

●結論
NOVAは受講生に、176,672円と平成16年12月15日からの年5%の利息を支払え。

H18.2.16京都地方裁判所 平成17年(ワ)第784号 不当利得返還請求事件(最高裁HP)
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グレーゾーン金利に最高裁が判断

2006-02-06 | 裁判
消費者金融での貸付金利について、無担保のフリーローンの場合、多くの貸金業者が10数%~28%ぐらいの利率で行っています。これは、刑事罰もある出資法の定める上限金利が年利29.2%だからです。
しかし一方で、刑事罰のない利息制限法は上限金利を年利15%、18%、20%(借りる額により異なる)としており、この二つの法律の間(15・18・20%~29.2%)がグレーゾーンと言われる部分です。

そして、このグレーゾーンを合法化するのが貸金業規制法です。お金を借りた人が利息制限法の利率を超える利息を“任意”に支払い、かつ、貸金業者が書面交付などの一定の要件を満たしていれば、グレーゾーンでの営業を認めているのです。これが「みなし弁済」です(貸金業規制法43条)。

これについて、最近では利息制限法を超える利息を無効とする裁判がちらほら出ています。そして1月になって相次いで最高裁判決が出ました。1月13日、19日、24日の広島高裁から上告されたもの2件、福岡高裁1件の計3件です。

金融庁ホームページから、これら判決をまとめたものがありますので、ご紹介します。

●平成18年1月13日判決
判決は、「みなし弁済」の適用の前提である法定書面の妥当性及び弁済の任意性の要件について、以下のように判示し、「みなし弁済」の適用を否定した。

① 法定書面の妥当性
▽今般の判決では契約締結時の交付書面(貸金業規制法17条)は問題にしていないが、弁済受領時の交付書面(法18条)について、現行の記載方法の妥当性を否定した。
▽具体的には、貸金業規制法施行規則においては、法定事項である「契約年月日」等に代えて「契約番号」の記載をもってすることが認められているが、これは法の委任の範囲を超えた違法な規定であり、無効である。

② 弁済の任意性
▽貸金契約における「期限の利益喪失条項(利払いが期日に遅れれば期限の利益を喪失し一括返済を求め得る旨の条項)」は、利息制限法上限金利を超える部分については無効である。
▽しかしながら、本件事案の契約における期限の利益喪失条項は、債務者に対し、利息制限法の上限金利を超える部分も含め約定どおりに利息を支払わない限り、期限の利益を喪失し、一括返済を求められるとの誤解を与え、結果として、債務者に対して、超過部分を支払うことを事実上強制することになる。
▽したがって、上記のような誤解が生じなかったといえるような特段の事情のない限り、弁済が任意であったとはいえない。

●平成18年1月19日判決
判決は、「みなし弁済」の適用の前提である弁済の任意性について、1月13日の最高裁判決と同旨を判示した(書面要件は争われなかった)。

●平成18年1月24日判決
判決は、「みなし弁済」の適用の前提要件について、以下のように判示し、「みなし弁済」の適用を否定した。
▽日賦貸金業者について「みなし弁済」が適用されるためには、日賦貸金業者の業務方法の要件(返済期間が100日以上、一定日数以上にわたり訪問して取立てを行う等)が、契約締結時だけでなく、実際の貸付けにおいても充足されている必要がある。
▽「みなし弁済」適用の前提となる法定書面の要件は、厳格に解するべきであり、「貸付けの金額」「各回の返済期日及び返済金額」が正確に記載されておらず、また、「受領金額」の記載が誤っている書面は、法定の要件を満たさない。
▽貸金契約における「期限の利益喪失条項」については、上記1月13日及び1月19日の最高裁判決と同様の理由から任意性を否定した(但し、裁判官1名はこれと異なる意見を付している)。


3つの判決は最高裁の第1~第3小法廷で行われ、どれも「破棄差し戻し」でした。つまり、もう一度、元の裁判(広島・福岡の高等裁判所)をやり直せという判断です。

上記は分かりにくいと思いますので、アサヒコムのニュース(「法の上限超すが罰則ない『灰色金利』、最高裁が実質否定」2006年01月14日03時03分)から説明すると、下記のようになります。

・最高裁は、超過利息の任意性について、「明らかな強制だけでなく、事実上の強制があった場合も、上限を超えた分の利息の支払いは無効」と判断。
・ローン契約で一般的な「分割返済の期日までに利息を支払わなければ、直ちに一括返済を求める」との特約について、「期日通りに約束した利息を支払わないと残った元本をすぐ一括して支払わなければならないうえ、遅延損害金も支払う義務を負うことになるという誤解を与え、上限を超える利息の支払いを事実上強制している」と指摘。
・上限を超えた利息も払わなければならないとした二審判決を破棄し、審理を高裁に差し戻した。
・事業者は返済を受けたときにはその都度、受領証を交付しなければならず、そこには契約日や金額の記載義務があるが、契約番号だけでいいとしている内閣府令を無効とする初判断を示した。
・消費者金融や商工ローンのほとんどはグレーゾーン金利で営業している。上記の特約は、確実に利息の支払いを求める方法として広く使われているが、今回の判決によれば難しくなる。

現在、金融庁では貸金業制度について検討が進んでいます。判決を受けて、みなし弁済規定の厳格適用が図られていくことになるのでしょう。

以下、最高裁HP
平成18年1月13日 第二小法廷判決 貸金請求事件
平成18年1月19日 第一小法廷判決 貸金請求事件
平成18年1月24日 第三小法廷判決 不当利得返還請求事件
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不当表示があったとき誰が罰せられるのか

2005-11-01 | 公正取引委員会
不当表示があった場合に、排除命令を受けるのは、事実と異なる表示を作り出した者か、はたまた、関与した者であれば対象となるのか・・・。これが今、ホットな話題なのです。(そうでもないか (^^;)

話の発端は平成16年11月24日に公正取引委員会が排除命令を出した事例です。
輸入総代理店が輸入したズボンを販売業者に卸す際、本当はルーマニア製なのにイタリア製だと説明して、販売業者がイタリア製と表示してズボンを販売したところ、原産国の不当表示で排除命令を受けた、というものです。

この事例は、不当表示があった場合、排除命令は誰に対して出されるかという問題を提起しました。「表示主体」の問題です。計6社に対して排除命令が出されたうち、八木通商はこれに同意しましたが、販売業者5社はこれを不服として、審判で争っています。
 ▽輸入総代理店=八木通商
 ▽販売業者=ビームス、トゥモローランド、ベイクルーズ、ワールド、ユナイテッドアローズの5社

(2月11日当ブログ記事=輸入衣料品の販売業者5社に対する審判開始決定について

10月26日にこの審判を傍聴に行ってきました。審判はすでに第6回まで進み、今回は参考人審訊。
参考人は慶応義塾大学名誉教授で公取委顧問のショウダ氏(たぶん正田彬氏かと)で、公取から20分、小売5社から90分で、質問に答えました。

表示主体の問題は大きく分けると「内容決定説」と「作成関与説」の2つの学説に分かれます。簡単に乱暴に説明すると、以下のようになります。
▽内容決定説・・・事実と異なる表示をしたのはそもそも誰なのか、違反を作り出した者を罰するという考え方。上記の事例では八木通商に対してのみ排除命令を行うというもの。
▽作成関与説・・・不当表示に関与したすべての者に対して排除命令を出すことができるという考え方。上記の事例では、八木通商だけでなく、表示を行った販売業者5社に対しても排除命令を行えるというもの。

販売業者らの立場は「内容決定説」で、公取委の立場は「作成関与説」。
販売業者らが原産国の不当表示を行ったのは八木通商からそのように説明を受けたことによるので、同じように排除命令を受けるのは納得いかない、と主張するのは当然のことです。
これだけ聞くと、「内容決定説」のほうが妥当だと思われるんじゃないかと思いますが、公取委の考え方には消費者保護を第一義に考えているということが前提にあります。消費者の目に不当な表示がいつまでもさらされていることで被害が拡大する可能性があるので、誰が原因になっているのかを調査して排除命令がなかなか出せず、表示がそのままになるのは好ましくないということのようです。

今回の参考人審訊でも、販売業者側の代理人からは、
「景表法は表示主体は関係ないのではないか。表示の決定した者と表示した者が違う現状に合わない」
「関与者が誰かは消費者には関係ない」
「メーカー→卸し→小売→消費者と商品が渡る中で、卸し・小売は包装に関与しておらず、販売のみである」
などの意見が出され、さらに
「今回、販売業者は輸入業者に対して、原産国を確認して表示したが、それではだめなのか」
「最大限の注意義務をはらっても不当表示となってしまった場合、その販売業者は免責されることになるのか」
「では、最大限の注意義務とは具体的にはどのようなことすれば良いのか」
「輸入総代理店から卸されていたのは当該5社だけではないが、輸入総代理店に排除命令を出せば実効性が高いのではないか」
「八木通商が排除命令に同意したあと、販売5社にも排除命令を出す場合、公取委には立証責任があるのか」
という質問が出ました。

参考人のショウダ氏は景品表示法などを研究している方で、具体的な話をする立場の方ではないので、一般論として、
「40年ぐらい前は、表示をつけた事業者に対してのほうが、指導がしやすかった」
「メーカーが不当表示をしても、販売業者が正しい表示を行えば、消費者の目に触れないで済む」
「排除命令とは販売を差し止めるものである」
「メーカー→卸し→小売の3者を規制対象とすべきと考えている」
「消費者に対してどのような責任を負うか、日本では小売業者に欠如していると思う」
という意見を述べられていました。
(覚えているかぎりなので、正確な表現ではないと思うんですが・・・)

傍聴していたのは15人程度で、女性は私一人。みなさんダークな色のスーツ姿でした。関係者かな。同業者かな。
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消費者機構日本がNOVAに申し入れ

2005-10-28 | 団体
※中途解約希望の方は右の記事(の下にあるコメント)をどうぞ →  NOVA中途解約訴訟の判決は妥当か

消費者機構日本が、NOVAの約款は問題があるとして、同社に対し、改善を求めました。

申し入れ内容
契約時に交付する「書面」に記載された事項に関して、以下のことを求める。
1.中途解約時の精算方法についての「役務提供済ポイント数以下で最も近いコースの契約時のポイント単価」「役務提供済VOICE枚数以下で最も近い枚数単価」との記載を、「当該登録者が実際に役務提供を受けたレッスンポイント数、VOICEチケット枚数にその購入時単価を乗じて算出した額とする」と改訂する。
2.有効期限徒過のレッスンポイント数およびVOICEチケット枚数を役務提供済みポイント数、チケット枚数に加える旨の記述を直ちに削除する。
3.生徒登録申込書裏面の記述の方法、内容を明確かつ平易なものに改める。

上記の申し入れについての「理由」として、(1)提供済み役務の単価の計算方法、(2)有効期限後のポイント等の無効化―の2つの問題点を挙げ、次のように説明しています。

(1)単価の計算方法について
特定商取引法49条2項1号イについて
中途解約の場合、事業者が消費者に「提供済み役務対価相当額」を請求し得る(前払いの場合は返還を要しない)と定め、解除の効力の非遡及(49条1項)との関係で、事業者は既提供済の役務の対価を正当に請求し得ることを確認するとともに、それを上限とすることにより消費者の中途解約権の行使を実質的に保障しています。
この場合の対価相当額は、それが既提供済役務の対価の精算であることから、その単価は契約時単価とすべきであり、これと異なる単価により算出する場合、49条の規定が片面的強行規定であるから、相当の合理性がない限り、49条2項1号イに違反するものです。
(略)
東京地方裁判所、東京高等裁判所の訴訟において、同規定は中途解約権を必要以上に制限するもので、特定商取引法49条2項に反し無効の旨判断されています。


(2)有効期限の設定と計算方法
同法49条2項1号イの規定(略)の範囲は既に提供した役務に対する対価に限られ、未だ提供されていない役務について、提供されたものとみなし、「対価相当額」を算出する旨の記述は同法49条2項1号イを超えて、受講者の負担を強いるもので、明らかに受講者に不利益であり、同条7項により無効です。
さらに、相談事例からは、予約が取れなくて解約する状況や、東京地裁判決(平成16.7.13)でも指摘されていた有効期間や「みなし規定」の説明がされていない状況は、解消されていない実状がうかがわれます。また、相談事例からは、常識的には1年間では消化不可能と思われるポイント数が販売されていると推察もされます。
上記の特定商取引法49条の趣旨及びこうした事情をも総合的に判断する場合、有効期限徒過のレッスンポイント等を役務提供済とみなして精算計算する旨の規定は特定商取引法49条2項1号イに反し、無効です。


参考:
第49条 役務提供事業者が特定継続的役務提供契約を締結した場合におけるその特定継続的役務の提供を受ける者は、第四十二条第二項の書面を受領した日から起算して八日を経過した後(その特定継続的役務の提供を受ける者が、役務提供事業者が第四十四条第一項の規定に違反して前条第一項の規定による特定継続的役務提供契約の解除に関する事項につき不実のことを告げる行為をしたことにより当該告げられた内容が事実であるとの誤認をし、又は役務提供事業者が第四十四条第三項の規定に違反して威迫したことにより困惑し、これらによつて当該期間を経過するまでに前条第一項の規定による特定継続的役務提供契約の解除を行わなかつた場合には、当該特定継続的役務の提供を受ける者が、当該役務提供事業者が同項の経済産業省令で定めるところにより同項の規定による当該特定継続的役務提供契約の解除を行うことができる旨を記載して交付した書面を受領した日から起算して八日を経過した後)においては、将来に向かつてその特定継続的役務提供契約の解除を行うことができる。
2 役務提供事業者は、前項の規定により特定継続的役務提供契約が解除されたときは、損害賠償額の予定又は違約金の定めがあるときにおいても、次の各号に掲げる場合に応じ当該各号に定める額にこれに対する法定利率による遅延損害金の額を加算した金額を超える額の金銭の支払を特定継続的役務の提供を受ける者に対して請求することができない。
一 当該特定継続的役務提供契約の解除が特定継続的役務の提供開始後である場合 次の額を合算した額
 イ 提供された特定継続的役務の対価に相当する額
 ロ 当該特定継続的役務提供契約の解除によつて通常生ずる損害の額として第四十一条第二項の政令で定める役務ごとに政令で定める額
二 当該特定継続的役務提供契約の解除が特定継続的役務の提供開始前である場合 契約の締結及び履行のために通常要する費用の額として第四十一条第二項の政令で定める役務ごとに政令で定める額

7 前各項の規定に反する特約で特定継続的役務提供受領者等に不利なものは、無効とする。


また、書面の記載方法・内容は、「非常にわかり難く、一読してその内容を理解することは全く困難なもの」であるため、消費者基本法5条1項1号(消費者に対し必要な情報を明確かつ平易に提供することを事業者の責務としている)、消費者契約法3条1項(事業者は契約条項を定めるにあたり、消費者にとって、契約の内容が、明確でかつ分かりやすいものとするよう努めるべき旨規定している)の趣旨に反するもの、としています。

     ◇

消費者機構日本(COJ)は、日本生活協同組合連合会、日本消費者協会、日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会が作った組織で、平成16年9月に設立されました。場所は主婦連ビルの中です。
そのホームページトップには「消費者被害の拡大防止のため、消費者団体訴訟制度の実現と活用を目指」すとあります。

そのCOJは、今年6月に各種学校・塾・予備校等の契約トラブル110番を開催しましたが、その結果を受けて、今回、NOVAへの申し入れを行い、9月28日に送付しています。
内容は「特商法に違反するので改善を求める」というものですが、アサヒドットコムには、「NOVAは『約款は所管の経済産業省と意見交換するなど、法に基づいて作成したもの。今すぐかえるつもりはない』などとする回答書を送った」と書かれています。

消費者機構日本ホームページ
http://www.coj.gr.jp/
(株)ノヴァに約款等の是正を申し入れました
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またまたNOVAの中途解約訴訟

2005-10-10 | 裁判
(※中途解約希望の方は右の記事(の下にあるコメント)をご覧ください。 NOVA中途解約訴訟の判決は妥当か 

このブログでも、NOVAの中途解約をめぐる裁判については今年2月の東京地裁、その控訴審である7月の東京高裁をご紹介していますが、今回のは別件で、9月26日に東京地裁であったものです。

生徒側は弁護士をたてず、それに対してNOVA側は17人もの弁護士を擁しましたが、生徒側が勝訴しています。

     ◇

●当事者
原告・・・田町校の生徒(H14年5月に登録、H16年3月に中途解約申し出)
被告・・・NOVA

●原告の購入ポイント数
・レッスンポイント600(@1260円)=718,200円(5%割引キャンペーン中だった)
・VOICEチケット10回=21,000円
・その他の発生金額=7,150円(判決文に書かれていますが何の代金なのか不明)
合計746,350

●NOVAの料金システム
まとめ買いすると1レッスン当たりの単価が安くなるシステム。レッスンポイント1pt当たり1レッスンが受けられる。
 600pt @1,200円    150pt @2,050円
 500pt @1,350円    110pt @2,100円
 400pt @1,550円     80pt @2,300円
 300pt @1,750円     50pt @3,000円
 250pt @1,850円     25pt @3,800円
 200pt @1,950円
なお、このポイントには有効期限がある。

●中途解約時の原告の消化ポイント数
・レッスンポイント 57ptを消化
・VOICEチケット 4枚(8,400円)を消化
レッスンポイントは約1割を消化

●NOVAから交付された「解約清算書」
・消化済みレッスンポイント 384pt×@1,750円=651,000円(消費税加算の上、5%割引)
・消化済みVOICEチケット 10回分=21,000円
・中途登録解約手数料 12,800円
・その他発生金額 7,150円   この4項目合計691,950円
54,400円(746,350-691,950)を返金する旨記載

解約精算金額が少ないことに驚き、消費生活センターに相談、契約時に、経過週ごとにポイントが消化済みになること、1年間で200ptが消化済みになることについて説明を受けていなかったと指摘してNOVAと交渉した。
これにより、2度にわたり金額の異なる「解約清算書」が交付された。
返金額 (1)54,400円 → (2)279,175円 → (3)329,175円

(3)329,175円の解約清算書は「この金額で最終的解決とする旨記載した同意書に署名捺印の上返送されたい」と記載されており、原告は対応に不満を抱き、平成16年8月25日に提訴した。
なお、本訴でNOVAは、「現在のNOVAの約款には経過週数に応じた標準受講ポイント数等とみなす規定がないことを踏まえ、消化済み受講料及び消化済みVOICE利用料を算定する際に用いるべき単価のみ主張する」として、精算金額を510,228円と主張した。

《NOVAの約款に記載されていること》
消化済み受講料を算定する際に用いるべきポイント単価は、役務提供済みポイント数以下で最も近いコースの契約締結時のポイント単価とする。ただし、登録種別に拠らず、消化済みポイント数が25pt未満の場合は5,000円、25pt以上50pt未満は3,800円、50pt以上80pt未満は3,000円とする。
VOICE利用回数に2,000円を掛けた金額を消化済みVOICE利用料とする。


●裁判所の判断
【特商法49条の趣旨】
・特商法49条はクーリングオフ期間経過後、かつ役務提供開始後の中途解約権を認めるとともに、違約金上限を定めている。しかもこれは強行規定である。
・なぜこのような規定があるかというと、(1)契約が長期なので生徒に続けられなくなる事情もあり得る(2)役務の効果が不確実―ということから設けられた。
・つまり、同法は生徒に中途解約権の行使を実質的に保障している。
・そうすると、特商法に定める「提供された特定継続的役務の対価に相当する額」の算定にあたっては、生徒が契約したときの単価で計算しなければならず、合理的な理由なくこれと異なる単価で計算することは許されないというべき。

【NOVAの約款規定】
・NOVAは、大量購入して中途解約した生徒と、最初から少量購入した生徒とで不公平を生じるばかりでなく、多くの者がとりあえず大量購入して中途解約することになり、数量割引制度が維持できなくなるとして、JR定期券、NHK受信料を引き合いに出し、約款の算定は合理的な理由があると主張する。
・この主張は一見、衆人の納得を得られそうな理屈であるが、大量購入するには多額の前払い金を要する上、5万円または契約残額の20%に相当する損害金を徴収されるので、多くの者がとりあえず大量購入して中途解約する手法をとるかは多分に疑問である。
・仮にそのような懸念があるなら約款の既定を改訂し、レッスンポイントの単価を平準化してリスクを回避することができるのである。
・大量購入させることにより、NOVAは役務提供に着手する前に多額の前払い金を収受して運転資金とすることができ、また長期間に安定した顧客を得るという利点もある。
・またNOVAは、JR定期券、NHK受信料を引き合いに出しているが、特定継続的役務は取引内容に不確実性、不透明性が伴い、JRやNHKの提供する役務とは性格が異なる。さらにJR、NHKは中途解約に伴う損害金が徴収されることはないし、大量購入による割引も本件のような極端なものではない。
・特商法の趣旨からすると、中途解約精算金の計算に当たっては、消費者に予期しない損害を与えることのないよう配慮すべき。
・NOVAは、大量購入&中途解約者であっても、解約時に適用する料金は、実際の消化数量に応じた割引率が適用されているから合理性があり、中途解約権行使を不当に制限するものではないと主張する。
・しかし、契約時の単価が1200円であっても消化数が25pt未満の場合、その単価は実に5000円となり、その差は3800円にも上る。本件消化済み受講料算定に関する規定は、一体となって解約権行使を制限するものとして機能しているといえる。

【事前説明】
・原告が契約時に、NOVAから勧められて600pt購入したが、その際、中途解約した場合の精算方法について明確な説明を受けていない。
・NOVAが交付した「Course Guide」という書面には、消化済み受講料算定規定が記載されている。
・しかし、600ptは70万円を超える高額なもので、これを3年内に消化するには多くの困難が伴い、中途解約せざるを得ない事態に至ることも少なくないと思われ、原告のような大量購入者にとって中途解約の精算条件は重大な関心事に属するから、「Course Guide」の交付だけでは足りず、購入時に算定方法の明確な説明を加えた上で、何ポイント購入するか選択を求めるべきである。
・「Course Guide」の精算規定を見ても、容易に消化済み受講料の算定方法を知ることができるとは言いがたい。
・NOVA担当者は、中途解約について口頭説明を加えることなく大量購入を勧めており、特定商取引法上の消費者保護の要請に反する。
・NOVAは当初、精算金として54,400円を提示し、原告の了解を得られないと見るや、279,175円、329,175円と増額した案を順次提示したことからも、NOVAが原告に対し、中途解約について明確に説明していなかったことを如実に示すものである。
・したがって、NOVAの規定により特商法の定める「提供された特定継続的役務の対価に相当する額」を算定することには合理的な理由がない。

【精算金額】
・上記のとおりであり、中途解約にあたり、NOVAの消化済み受講料算定規定を適用して計算することは許されず、1200円をもとに計算すべきである。
 746,350(原告が支払った額)-(1,200円×57pt-5%相当額)-8,400円(ボイスチケット)-50,000円(特商法の定める違約金)-7,150円(その他発生金額)=612,571円+年5分の遅延損害金

     ◇

「1レッスンは3800円。但し600ptまとめ買いしてくれれば1200円にする」という契約だとして、1レッスン受けたところで解約したとしたら、これを3800円で精算したとしても特別に変なことではないでしょう。
しかし、英会話教室は特商法の「特定継続的役務提供」として指定された業種ですので、通常の業種と同様に考えるわけにいかない事情があります。

英会話教室、家庭教師派遣、結婚相手紹介サービス、学習塾、エステ、パソコン教室の6業種については、サービスが完了しても効果が出るかどうか分からないという業種であり、また契約が高額になることも多いことから、トラブルが多発していました。それで特商法に指定されたわけですが、この一連の判決から、これら6業種はまとめ買いすれば安くなるという料金体系を実質取りにくいということになります。

私は、今回のような購入時と解約時の単価の差が、特商法の定める違約金に当たるとは思いませんでした。また、そう判断されることによって、6業種に関しては実質このような料金体系が取りにくいことも改めて知った次第です。特商法の規定をはっきりさせる機会となる、いい判決だといえるのかもしれません。特商法にその業種が指定されることは、事業者にしてみれば営業手法を根本から見直さなければならないという、大変なことになるわけですね。その大変さが今回ようやく分かったような気分です。

NOVAのシステムには解約時の適用単価のことだけでなく、明らかに問題な部分もあります。例えば、有効期限によるみなし消化の問題、事前説明がない問題、有効期限が3年(600ptの場合?)などです。
特商法の規定では書面交付が義務付けられ、この中に解約に関する事項も含まれています。交付された書面に、「みなし消化」や「解約時の適用単価」などが記載されているのか分かりませんが(本判決では「当該部分を見て、容易に消化済み受講料の算定方法を知ることができるとは言い難い」と書かれています)、事前の口頭説明がなかったとしても法的には問題にならないでしょう。

このような小さな文字の約款を交付する形で契約するものには「保険」があります。保険もまたトラブルが多く、適用除外などで加入者と保険会社の間でもめますが、現状では、約款に書いてあれば消費者の主張はまず通らないでしょう。
今、パンフレットなどの表示を消費者にもっと分かりやすくすべきではないか、という議論があって、委員会で検討しているように聞きました。英会話教室などについても、詳細が書かれた書面を渡しているのだから事業者は免責になる、というのではなく、分かりやすくしていく努力が必要でしょう。事前説明で消費者が理解していれば、こんなにトラブルが起こらないでしょうから。

この記事は、杉浦幸彦先生に判決文をご提供いただきました。
さい法律特許事務所ホームページ
NOVA第3事件判決(H17.9.26東京地裁)
http://homepage2.nifty.com/psypsy/NOVATDC3.pdf
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英会話教室の中途解約

2005-08-31 | 裁判
今年の2月に、英会話教室NOVAの中途解約返還金に関する判決が東京地裁で出て、私も当ブログで記事として書きました。
その後、7月下旬になって、「NOVA」「解約」などのキーワードで当ブログに来訪される方が増えたので、7月に何かあったのかヤフーなどで検索してみましたが、何もみつかりませんでした。
そこで、当ブログの2月の記事に、「どういうきっかけで来訪されたのか、コメントを残してほしい」と追記してみたところ、NOVAとの中途解約トラブルを抱えた方からコメントが寄せられ、消費生活センターに相談したら7月20日に東京高裁で判決が出たと教えられた、と書かれていました。

この書き込みをきっかけとして、その後、この2月記事には、いくつものコメントが寄せられています。
中途解約トラブルを抱えた方々、NOVA裁判で消費者側の代理人を務めた弁護士の方、昨年の別件NOVA裁判の原告の方もコメントをくださり、裁判を経験したことのない私たちに裁判の生の話を提供してくれました。
弁護士の方は、中途解約希望の方に「解約精算書」を請求することや、そこに解約申し入れ日を明記してもらうことなどをアドバイスしてくださっています。

英会話教室で中途解約をしようとしている方にとって、参考になると思いますので、こちらをご覧ください。
同様に、特定継続的役務提供に指定されているエステ、学習塾、家庭教師、パソコン教室、結婚情報サービスの中途解約をされる場合も参考になるのではないでしょうか。

記事の一番下に、コメントがたくさん書き込まれています。

2月23日の当ブログ記事(一審)
NOVA中途解約訴訟の判決は妥当か ←コメントはこちら

参考
8月21日の当ブログ記事(二審)
NOVAの主張、控訴審でも通らず
コメント
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NOVAの主張、控訴審でも通らず

2005-08-21 | 裁判
※中途解約希望の方はこちらへ → NOVA中途解約訴訟の判決は妥当か
 (記事に下に多くの方がコメントを残してくれています)


7月20日に東京高裁で、英会話教室NOVAの中途解約時の返還金に関する控訴審判決が出ています。
これは、今年2月17日の東京地裁判決でNOVAの主張が認められず、受講者側が勝訴しましたが、これを不服として、NOVAが控訴していたものです。
事実関係など経緯については、2月23日の当ブログ記事(NOVA中途解約訴訟の判決は妥当か)に譲るとして、東京高裁がどのように判断したのかを中心にご紹介します。

※話がややこしくなるので、地裁判決記事同様、レッスンポイントとVOICEチケットのうち、前者のみで説明します。

     ◇

●当事者
控訴人(一審の被告):株式会社ノヴァ
被控訴人(一審の原告):受講者

●一審判決
NOVAは、レッスンポイントを一括購入するシステムをとり、ポイント数が多いほど、1レッスン当たりの単価が安くなる制度となっている。
本件受講者は、600ポイントのまとめ買いをして、1レッスンあたり1200円の単価で受講していたが、386ポイント消化時点で中途解約をした。
残金の返還に当たって、NOVAの約款によれば、消化分386ポイントに一番近い300ポイント(@1750円)または400ポイント(@1550円)のまとめ買い単価を386ポイントに掛けて、低いほうの金額を既消化分として計算する。(結果1550円で計算)
それに従い、NOVAは10万円余り(はっきりしません)を返還したが、受講者は消化分の計算も1200円の単価で行うべきとして訴訟を起こした。

裁判所は、契約時1200円と返金時1550円との差額は、特定商取引法の定める違約金(5万円または契約残額の100分の20に相当する金額のいずれか低い額)の範囲を超えるので違法とし、386ポイント×1200円を総支払額から差し引いた31万円余りを返還するよう言い渡した。

【図式】レッスンポイントのみ紹介
・600ポイント×1,200円+消費税=756,000円 で契約
・386ポイント消化時点で解約申し入れ

NOVAは・・・
・約款により、386ポイント×1,550円=620,000円 として消化分を計算
・756,000円-620,000円で計算し、10万円余りを返還(消費税は不明)

受講者は・・・
・386ポイント×1,200円=463,200円 として消化分を計算
・756,000-463,200=292,800円 を返還すべきと主張(VOICEチケットを加え、解約手数料を引いて計31万円余りの返還を求めた)

●関係法令
(1)特定商取引法49条2項
役務提供事業者は、前項の規定により特定継続的役務提供契約が解除されたときは、損害賠償額の予定又は違約金の定めがあるときにおいても、次の各号に掲げる場合に応じ当該各号に定める額にこれに対する法定利率による遅延損害金の額を加算した金額を超える額の金銭の支払を特定継続的役務の提供を受ける者に対して請求することができない。
一  当該特定継続的役務提供契約の解除が特定継続的役務の提供開始後である場合 次の額を合算した額
(イ)提供された特定継続的役務の対価に相当する額
(ロ)当該特定継続的役務提供契約の解除によつて通常生ずる損害の額として第四十一条第二項の政令で定める役務ごとに政令で定める額

(2)同49条7項
前各項の規定に反する特約で特定継続的役務提供受領者等に不利なものは、無効とする。


●NOVA約款
(a)消化済み受講料
消化済み受講料を算定する際に用いるべきポイント単価は、役務提供済みポイント数以下で最も近いコースの契約時のポイント単価とし、デイタイム登録、スタンダード登録、24時間登録の登録種別に該当する単価とする。
ただし、消化済み受講料は、役務提供済みポイント数以上の最も近いコースのポイント総額を上限とする。
(b)中途登録解除手数料
中途登録解除手数料は、差し引き計算後の金額の2割(ただし、5万円を上限とする)とする。


●争点
NOVA約款の消化済み受講料精算規定は、特商法49条2項1号イに違反して無効か。

●高裁の判断
【49条2項の解釈】
・NOVAは、49条2項が「提供された特定継続的役務の対価に相当する額」を控除できると定めているのみであって、その算定の基礎となる単価については何も規定していないから、個々の契約にゆだねる趣旨であると主張している。
・しかし、いかなる単価でも自由に定めることができるというのであれば、法の趣旨を潜脱することになりかねない。
・だから、NOVAの「消化済受講料精算規定」には、合理的な理由があり、受講者の中途解約権の行使を必要以上に制限する内容となっていないかについて検討すべきである。

【購入時単価での精算は、数量割引制度を否定するか】
・NOVAは、数量割引制度でのポイント単価は、購入数量を全部使い切ることを前提にしており、中途解約する場合に同じ単価となることを意味しない、そうしなければ数量割引制度を否定することになると主張している。
・しかし、NOVAの同業者で、購入時の単価で精算している事業者もある。(首都圏を中心に27店舗をの英会話教室を経営する業者)
・この例からも、数量割引制度と購入時単価での精算は両立しないものではなく、「消化済受講料精算規定」を無効とすれば当然に、数量割引制度の否定とはならないことは明らかである。

【大量購入した中途解約者と少量購入者との不公平感】
・NOVAは、当初から少量のポイントを購入した受講者と、当初、大量購入しておいて少量のポイントを消化したところで中途解約をした受講者との公平を図る必要があるから、「消化済受講料精算規定」は合理的であると主張している。
・そして、以下のように例示している。同じ200ポイントを消化する場合でも、当初から200ポイントだけ購入した者は、ポイント単価1950円、総額39万円で受講することになるのに対し、当初600ポイント購入して200ポイント消化後に中途解約する者は、ポイント単価1200円、総額24万円が控除されるのみとなり、結果的に割引料金でレッスンを受講できたということになるが、これでは同じポイント分だけレッスンを受講した者の間で不公平を生じる。
  最初から200ポイント購入 200×1950円=39万円
  最初600購入後200で中途解約 200×1200円=24万円 ・・・不公平を生じると主張
・しかしながら、特商法は役務の内容と対価との均衡性についてなんら介入しないから、ある受講者が有利な条件で契約したとして、他の受講者が提案されたポイント単価を容認していたのであれば、法令違反(詐欺・公序良俗違反など)がないかぎり、直ちに同一の取引条件として比較すべき事柄とはならない。

・「大量購入後の中途解約者」の取引と「少量購入者」の取引を比較する場合に考慮しなければならないのは、次のことである。
(i)前払いで支払われる料金は、事業者による英会話教授が着手前であり、仕事の結果に対する報酬としては、収納するに至らない前渡し金の意味合いがあるものであり、事業者が英会話教授をしないこと(中途解約)が確定すれば、その時点で受講者に返還されるべき性質の金銭であると理解される点。
(ii)NOVAが不公平だとして比較する両者は、そもそも前払いする購入額(総額)が大きく異なり、事業者が前払いにより得られる経済的利益には大きな差異があるので、両者の間には明らかに取引条件の差異が存在するという点。
・だから、消化済み受講料精算規定の合理性を論ずるのは筋違いと言わなければならない。
・NOVAには、本件と同様の請求に対し、「消化済受講料精算規定」によらずに、購入時の単価で精算した例があり、この例と本件との不公平のほうがむしろ問題である。
・本件では、ほかに合理的な理由があると認められないから、当該「規定」は受講者の中途解約権の行使を必要以上に制限する内容となっているものといわざるを得ず、無効というべき。

【結論】
受講者に返還すべき額は「310,486円」となる。
 ・787,500円-(1260(税込み)×386pt)=301,140円
 ・VOICEチケット差引額 59,346円
 ・中途解約手数料 ▲50,000円(約款により301,140+59,346の2割(上限5万円))
これに加え、年5分の遅延損害金を支払う。

●結論
NOVAの控訴を棄却する。

     ◇

NOVAの約款には、契約日からの経過日数によって、サービスを受けていなくても、受けたものとみなされるという規定がありました。
これについては、別件の裁判(平成16年7月13日東京地裁判決)で、「実際に提供されていないレッスンポイントを有効期限の経過等を理由に消化済みのものとみなして計算することは許されない」と判断されており、NOVAもこれを受けて、現在では約款の当該事項については無効であると自認しると、判決文の中にありました。

この控訴審判決記事については、さい法律特許事務所の杉浦幸彦先生が判決文をご自身のホームページに掲載してくださり、それを参考に書きました。
こちらのページには、昨年の別件裁判の判決文も掲載されています。

さい法律特許事務所HP
http://homepage2.nifty.com/psypsy/sub3.html
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NOVAの控訴審判決

2005-08-18 | 裁判
今年2月17日に、英会話教室NOVAでの中途解約をめぐる裁判でNOVA側の主張が認められず、NOVAは控訴していました。
その控訴審判決が7月20日に東京高裁で出たようなのですが、ニュースサイトや裁判所のホームページなどを見ても、情報が出ておらず、内容が分かりませんでした。

でも本日、消費者(受講者)側の代理人を務めた杉浦幸彦先生が、内容について情報提供してくださいました。
それをご紹介します。

     ◇

・7月20日の東京高裁判決は、NOVAの控訴を棄却した

NOVAは・・・
・地裁判決が数量割引制度を完全に否定するものであると主張した
それに対し、高裁は・・・
・数量割引制度と被控訴人主張の購入時単価での精算とは両立しないものではない
・NOVA約款の消化済み受講料精算規定を無効とすれば当然に数量割引制度の否定に帰着する、ということにはならない
・多くのポイントを購入した上、解約した受講生と、少しのポイントを購入の上、消費し尽くした受講生との不公平さを強調するNOVAの論旨は「筋違い」である
結論
・NOVAの約款は特定商取引法に照らし違法

・それを受けて、NOVAは上告した

     ◇

いかがでしょうか。
地裁判決に続いて、NOVAが完全に負けたようです。結局、最高裁まで行くことになりましたね。
先生も書かれているように、NOVAは他にも訴訟を抱えていて、ネットで検索をかけても、過去の訴訟などいくつか出てきます。
私のブログでさえも、「NOVA 解約」などのキーワードで検索して来てくださる方がほぼ毎日10件ぐらいずつありますので、中途解約などのトラブルを抱えている方が多いのかもしれません。

原判決(東京地裁)については、2月23日の当ブログ記事をどうぞ。
杉浦先生のコメントも下のほうにあります。
NOVA中途解約訴訟の判決は妥当か

追記:8月19日
杉浦幸彦先生が高裁判決をご自身のホームページにアップしてくださいました。
こちらもご覧ください。
http://homepage2.nifty.com/psypsy/sub3.html(さい法律特許事務所HP)

追記:8月21日
控訴審判決についての記事をアップしました。
NOVAの主張、控訴審でも通らず
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「5年間ノーワックス」広告に逆転判決

2005-08-13 | 裁判
自動車用コーティング剤の広告で、「5年間完全ノーワックス」などと虚偽の表示により消費者に誤認を与えたことにより損害を被ったとして、ワックス販売会社が起こした裁判の控訴審判決が8月10日に出ています。
原告の主張を認めた一審判決を取り消し、その主張を退ける内容となりました。

     ◇

●当事者
一審(東京地裁)
原告:株式会社ウイルソン(東京都中野区)
被告:中央自動車工業株式会社(大阪府大阪市)

今回の控訴審(知財高裁)
控訴人:中央自動車工業
被控訴人:ウイルソン

●控訴審に至るまでの概要
中央自動車工業は、自動車用コーティング剤「CPCペイントシーラント」(以下、「CPC」)の輸入・販売を行う事業者で、その広告において、次のような表示を行っていた。
「新車時施工 輝きを!5年間保証」
「確実な施工によるテフロン被膜は水洗いなどで長期間落ちることが無くオリジナルペイントの輝きをいつまでも維持させる『5年間完全ノーワックス』という夢を実現したのです」
「新車でCPCペイントシーラントを施工された場合は、5年間保証(新車登録時1年以内なら3年間)もちろん効果は保証期間以上に維持される品質を持っています」

これに対し、ワックス販売会社のウイルソンが、これら表示はCPCの品質・内容を誤認させるものであり、不正競争防止法2条1項13号の行為に該当するとして、これらを記載したカタログの廃棄、販売の差し止め、謝罪広告の掲載、1億1000万円の支払いなどを求めた。

一審の東京地裁(平成16年9月15日)は、ウイルソンの主張を認め、当該表示の禁止、1000万円の支払いなどを中央自動車工業に命じた。
これを受けて、中央自動車工業は即日控訴した。

●控訴審での検討
「施工後5年間、新車時の塗装の輝きが維持される」との表示は、CPCの品質・内容を誤認させるか?
(※ウイルソンは、CPCについて、新車時の塗装の輝きが5年間持続する効果がないとする根拠として、耐候性試験の結果を提出していますが、裁判所はこれについて検討したもののうち、主なものを紹介します)

【甲126試験】
(財)日本塗料検査協会がウイルソンの依頼を受けて、ブランク試験片とCPC施工品3種の試験片について1000時間耐候性試験を行い、光沢度の測定をした。
その結果は、いずれもほとんど差異がなく、当初の光沢度から2分の1以下に低下していることが認められる。(つまり、CPC施工品でも光沢度が維持できない)
▽ブランク試験片 94→38(洗浄後37)
▽CPC施工試験片(10日屋内放置) 94→37(洗浄後38)
▽CPC施行試験片(10日屋内放置+メンテナンスクリーナー使用) 95→39(洗浄後40)

しかしながら、この検査方法は必ずしも適切とはいえない。
・この試験の試験片は、わが国で80年代前半以降、自動車上塗り塗料として使用されていないアミノアルキド樹脂塗料の塗板が用いられている。
・アミノアルキド塗料は、その後使用されるようになった熱硬化ポリエステルや熱硬化アクリルなどに比して劣化しやすい。
・自動車塗装板の上に施工されるCPCの効果を検査するに当たって、そのような現在の自動車に用いられていない劣化しやすい塗料を使用した試験片を用いて実験を行うことは必ずしも適切とはいえない。
・また、CPC施工試験片の具体的な作成手順・方法が明らかでないことを併せ考えると、同試験の結果からCPCの効果を的確に認定することは困難であるというべきである。

【甲168等試験・甲170試験】
上記の点を考慮して、ウイルソンが新たに日本塗料検査協会に依頼して行った試験である。
それによれば、1000時間後の光沢度は、CPC施工品と未施工品とでほとんど差異がなく、いずれも50%前後となっている。
この結果から見る限りは、CPCには塗装面の光沢度の劣化を防止する効果すらないということになる。

しかしながら、この結果には以下の欠陥がある。
・CPC施工試験片でアミノアルキドは平均値70に対し、熱硬化ポリエステルは43と光沢度が著しく劣る結果が示されている。
・熱硬化ポリエステルよりも劣化しやすいとされているアミノアルキドの方がかなり優位にあるというのは通常考えにくいことである。
・この点についての合理的な説明も見当たらない。
・また、この試験では、光沢度が経時的に大きく下落している結果が示されているが、その一方でウイルソンが行った実車光沢度測定報告によると、CPC未施工品4年~10年程度の中古車10台について光沢度を測定した結果、その洗車後の平均光沢度は91.8であった。
・ウイルソンの提出する証拠自体に相互に整合しない結果が現れており、その点についての合理的な説明も見当たらない。
・上記の点からすると、耐候性試験の結果が必ずしも自然条件下における実際の状況の変化と常に一致するとは限らないことが窺われる。

【メンテナンスクリーナー使用について】
・中央自動車工業提出の「乙148試験」は照射200時間ごとにメンテナンスクリーナーを塗布しているので、ウイルソンが行った試験条件とは異なっており、ウイルソンはこの条件設定が不合理である旨主張する。
・しかし、CPCにはメンテナンスクリーナーが付属品として付いており、CPCの従前の販促用カタログでは次のように書かれ、CPC施工後にメンテナンスクリーナーの使用を推奨している。
 「水洗いをしていて落ちない汚れが目立ってきたら早めにボディー全体にご使用下さい」
 「ご使用の頻度は年に2~3回ボディ全体に・・・」
・もともとCPCは付属しているメンテナンスクリーナーとの併用を前提とすることを表示しているといえる。
・したがって、上記試験の条件として必ずしも不合理・不適切なものであるということはできない。
・両社の試験はどちらも、ASTM-G53という同じ規格に従った耐候性試験でありながら、著しく異なる結果が現れており、メンテナンスクリーナーの使用の有無のみならず、それぞれの試験における具体的な手法・条件・試験片の調整等の微妙な違いなどに大きく影響されていることによるものであることを窺わせるものといえる。

【まとめ】
・耐候性試験は、試験方法・条件・試験片の調整などによる影響を受けやすいものである。
・まして、一方において、CPC施工品の光沢度保持率が91.9%であることを示す中央自動車工業側の試験結果がある。
・また、実際にCPC施工から5年経過後の複数の車両の平均光沢度が、93.7%、96.1%という高い数値を維持していることを示す測定結果もある。
・これらに照らすと、ウイルソンの各耐候性試験結果による、新車時の塗装面の光沢度を5年間持続する効果がCPCにはないとまで的確に認定することはできないといわざるを得ない。
・「新車の輝き」が持続しているかどうかということ自体が、多分に見る者の主観によるところが大きく、ある程度の幅を持つものである。
・これらを併せ考えると、本件全証拠をもってしても、「新車時の塗装の輝きが5年間維持される」との表示が虚偽であり、その表示が需要者等に被告商品の品質及び内容を誤認させるものであると認めることはできない。

●結論
ウイルソンの請求する表示の使用差し止めおよび損害賠償は理由がないから、棄却する。

     ◇

地裁と高裁で反対の結果となりました。
新車時にCPCを施工して、メンテナンスクリーナーで一定期間ごとに手入れをしていれば、新車時の輝きが5年間保証されるというもの。
一般的に「5年間保証」などと言うと、いろいろなイレギュラーなケースが出てきて、苦情になることが多いかと思うのですが、この商品はどうなんでしょうか。
私の周りにはこれを施工した人がおらず、実際のところどうなのかが分かりません。

もし、5年より前に光沢がなくなり苦情を言ったとしたら、「あなたのメンテナンスが悪い」と言われてしまったりしないのでしょうか。
5年という長いスパンであること、判決でも言っているように「新車の輝き」とは主観によるところが大きいことなどから、トラブルになるケースも多いのではないか、と気になります。

報道によれば、ウイルソンは上告するようです。
ちなみに、ワックス販売会社は「ウィルソン」ではなく「ウイルソン」です。(イが大きい)

H17.8.10知財高裁 平成17(ネ)10029等 不正競争民事訴訟事件(最高裁判所HP)
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カメヤマvs日本香堂

2005-05-13 | 裁判
日本香堂が販売するろうそくについて、すすの量が90%少ない、消したときの臭いが50%少ないと表示したのは、不正競争防止法の「品質等誤認表示」および「営業誹謗行為」に当たるとして、カメヤマが訴えていた裁判の控訴審判決が4月28日に大阪高裁で出ています。

     ◇

●当事者
カメヤマ株式会社・・・1審原告
株式会社日本香堂・・・1審被告

大阪地裁判決の敗訴部分をそれぞれ控訴したので、高裁ではどちらも「控訴人兼被控訴人」


●訴えた内容
カメヤマは、日本香堂が販売するろうそくについて、
  ・燃焼時に発生するすすの量が90%減少
  ・火を消したときに生じる臭いが50%減少
などと表示していることは、
  ・不正競争防止法2条1項13号(品質等誤認表示)、
  ・同14号(営業誹謗行為)
に該当すると主張して、以下を求めた。
  ・上記表示や表示をした商品の販売などの差し止め
  ・上記表示の廃棄
  ・損害賠償3000万円の支払い
  ・謝罪広告の掲載


●裁判所の判断
【消し臭50%減少の根拠は信用性が低い】
日本香堂は、消したときの臭いは気化したパラフィン類の臭いであり、パラフィン類の属する炭化水素系の臭いの臭気指数相当値は50%強カットされていると主張している。
しかし、その根拠となる日本香堂の実験でサンプルとされた気体の臭いの類似度を見ると、以下のようになっている。

・従来品
炭化水素系9.2%、アルデヒド系35.0%、エステル系12.6%、アンモニア系12.1%、有機酸系10.8%
・新商品
炭化水素系12.8%、アルデヒド系27.5%、エステル系27.5%、アンモニア系10.5%、有機酸系11.4%

上記によれば、炭化水素系に属する気化したパラフィン類の臭いよりも、むしろアルデヒド系やエステル系の臭いに近いものと考えられ、消し臭が気化したパラフィン類の臭いであることと明らかに矛盾している。
全体としての臭いの強度を示した臭気指数相当値では、従来品が36.3、新商品が31.7であり、日本香堂の新商品は約13%減少したにとどまるということができる。

以上により、消した臭いが50%減少していると認めることはできない。


【すす量90%減少について】
省略
※原審で出た判決がそのまま控訴審でも通っているようですが、原審を見つけられず、どのように検証したかが分かりませんでした。「品質等誤認表示」と判断されているようなので、90%減少しているとは認められなかったものと思われます。


【損害額の算定】
(1)信用毀損に係る損害 → 0円
(2)営業上の損害 → 300万円
(3)有形損害 → 413万1259円

(1)について
日本香堂の行為は、「品質等誤認表示」に当たるが、このことから直ちにカメヤマの信用が毀損されたということはできない。

(2)について
一般消費者は、日本香堂の新商品は従来品に比べてすす90%、消し臭50%減少していると信じて新商品を購入し、これと競合するカメヤマの商品を購入しないという消費行動をとることがあるものと推認され、これを覆すに足りる証拠はない。
カメヤマがいくらの損害を受けたかについては、これを認定するに足りる的確な証拠がなく、その額を立証するために必要な事実を立証することが極めて困難なものであるといえる。
したがって、日本香堂の品質等誤認表示の態様、カメヤマの市場占有率(50~60%)などを考慮して、原告の損害額は300万円であると認めるのが相当である。

(3)について
内訳は、人件費150万円、環境保全事業団への実験委託費150万4146円、機材費3万6960円、調査活動費0円(認められなかった)、ろうそく購入費9万0153円、弁護士費用100万円。
(上記内訳の額が認められた根拠は省略)


●結論
・日本香堂は、カメヤマに対して713万1259円とその利息(年5%)を支払え。


     ◇

日本香堂のホームページを見ると、50%、90%との表示はなく、「油煙減少、消しニオイ減少。従来のローソクと比べて、仏壇・神棚を汚すとされている油煙(スス)を少なくした、画期的なローソク」と書かれていました。


H17. 4.28 大阪高裁 平成16(ネ)2208 不正競争 民事訴訟事件(最高裁判所HP)
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