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英会話教室の中途解約

2005-08-31 | 裁判
今年の2月に、英会話教室NOVAの中途解約返還金に関する判決が東京地裁で出て、私も当ブログで記事として書きました。
その後、7月下旬になって、「NOVA」「解約」などのキーワードで当ブログに来訪される方が増えたので、7月に何かあったのかヤフーなどで検索してみましたが、何もみつかりませんでした。
そこで、当ブログの2月の記事に、「どういうきっかけで来訪されたのか、コメントを残してほしい」と追記してみたところ、NOVAとの中途解約トラブルを抱えた方からコメントが寄せられ、消費生活センターに相談したら7月20日に東京高裁で判決が出たと教えられた、と書かれていました。

この書き込みをきっかけとして、その後、この2月記事には、いくつものコメントが寄せられています。
中途解約トラブルを抱えた方々、NOVA裁判で消費者側の代理人を務めた弁護士の方、昨年の別件NOVA裁判の原告の方もコメントをくださり、裁判を経験したことのない私たちに裁判の生の話を提供してくれました。
弁護士の方は、中途解約希望の方に「解約精算書」を請求することや、そこに解約申し入れ日を明記してもらうことなどをアドバイスしてくださっています。

英会話教室で中途解約をしようとしている方にとって、参考になると思いますので、こちらをご覧ください。
同様に、特定継続的役務提供に指定されているエステ、学習塾、家庭教師、パソコン教室、結婚情報サービスの中途解約をされる場合も参考になるのではないでしょうか。

記事の一番下に、コメントがたくさん書き込まれています。

2月23日の当ブログ記事(一審)
NOVA中途解約訴訟の判決は妥当か ←コメントはこちら

参考
8月21日の当ブログ記事(二審)
NOVAの主張、控訴審でも通らず

NOVAの主張、控訴審でも通らず

2005-08-21 | 裁判
※中途解約希望の方はこちらへ → NOVA中途解約訴訟の判決は妥当か
 (記事に下に多くの方がコメントを残してくれています)


7月20日に東京高裁で、英会話教室NOVAの中途解約時の返還金に関する控訴審判決が出ています。
これは、今年2月17日の東京地裁判決でNOVAの主張が認められず、受講者側が勝訴しましたが、これを不服として、NOVAが控訴していたものです。
事実関係など経緯については、2月23日の当ブログ記事(NOVA中途解約訴訟の判決は妥当か)に譲るとして、東京高裁がどのように判断したのかを中心にご紹介します。

※話がややこしくなるので、地裁判決記事同様、レッスンポイントとVOICEチケットのうち、前者のみで説明します。

     ◇

●当事者
控訴人(一審の被告):株式会社ノヴァ
被控訴人(一審の原告):受講者

●一審判決
NOVAは、レッスンポイントを一括購入するシステムをとり、ポイント数が多いほど、1レッスン当たりの単価が安くなる制度となっている。
本件受講者は、600ポイントのまとめ買いをして、1レッスンあたり1200円の単価で受講していたが、386ポイント消化時点で中途解約をした。
残金の返還に当たって、NOVAの約款によれば、消化分386ポイントに一番近い300ポイント(@1750円)または400ポイント(@1550円)のまとめ買い単価を386ポイントに掛けて、低いほうの金額を既消化分として計算する。(結果1550円で計算)
それに従い、NOVAは10万円余り(はっきりしません)を返還したが、受講者は消化分の計算も1200円の単価で行うべきとして訴訟を起こした。

裁判所は、契約時1200円と返金時1550円との差額は、特定商取引法の定める違約金(5万円または契約残額の100分の20に相当する金額のいずれか低い額)の範囲を超えるので違法とし、386ポイント×1200円を総支払額から差し引いた31万円余りを返還するよう言い渡した。

【図式】レッスンポイントのみ紹介
・600ポイント×1,200円+消費税=756,000円 で契約
・386ポイント消化時点で解約申し入れ

NOVAは・・・
・約款により、386ポイント×1,550円=620,000円 として消化分を計算
・756,000円-620,000円で計算し、10万円余りを返還(消費税は不明)

受講者は・・・
・386ポイント×1,200円=463,200円 として消化分を計算
・756,000-463,200=292,800円 を返還すべきと主張(VOICEチケットを加え、解約手数料を引いて計31万円余りの返還を求めた)

●関係法令
(1)特定商取引法49条2項
役務提供事業者は、前項の規定により特定継続的役務提供契約が解除されたときは、損害賠償額の予定又は違約金の定めがあるときにおいても、次の各号に掲げる場合に応じ当該各号に定める額にこれに対する法定利率による遅延損害金の額を加算した金額を超える額の金銭の支払を特定継続的役務の提供を受ける者に対して請求することができない。
一  当該特定継続的役務提供契約の解除が特定継続的役務の提供開始後である場合 次の額を合算した額
(イ)提供された特定継続的役務の対価に相当する額
(ロ)当該特定継続的役務提供契約の解除によつて通常生ずる損害の額として第四十一条第二項の政令で定める役務ごとに政令で定める額

(2)同49条7項
前各項の規定に反する特約で特定継続的役務提供受領者等に不利なものは、無効とする。


●NOVA約款
(a)消化済み受講料
消化済み受講料を算定する際に用いるべきポイント単価は、役務提供済みポイント数以下で最も近いコースの契約時のポイント単価とし、デイタイム登録、スタンダード登録、24時間登録の登録種別に該当する単価とする。
ただし、消化済み受講料は、役務提供済みポイント数以上の最も近いコースのポイント総額を上限とする。
(b)中途登録解除手数料
中途登録解除手数料は、差し引き計算後の金額の2割(ただし、5万円を上限とする)とする。


●争点
NOVA約款の消化済み受講料精算規定は、特商法49条2項1号イに違反して無効か。

●高裁の判断
【49条2項の解釈】
・NOVAは、49条2項が「提供された特定継続的役務の対価に相当する額」を控除できると定めているのみであって、その算定の基礎となる単価については何も規定していないから、個々の契約にゆだねる趣旨であると主張している。
・しかし、いかなる単価でも自由に定めることができるというのであれば、法の趣旨を潜脱することになりかねない。
・だから、NOVAの「消化済受講料精算規定」には、合理的な理由があり、受講者の中途解約権の行使を必要以上に制限する内容となっていないかについて検討すべきである。

【購入時単価での精算は、数量割引制度を否定するか】
・NOVAは、数量割引制度でのポイント単価は、購入数量を全部使い切ることを前提にしており、中途解約する場合に同じ単価となることを意味しない、そうしなければ数量割引制度を否定することになると主張している。
・しかし、NOVAの同業者で、購入時の単価で精算している事業者もある。(首都圏を中心に27店舗をの英会話教室を経営する業者)
・この例からも、数量割引制度と購入時単価での精算は両立しないものではなく、「消化済受講料精算規定」を無効とすれば当然に、数量割引制度の否定とはならないことは明らかである。

【大量購入した中途解約者と少量購入者との不公平感】
・NOVAは、当初から少量のポイントを購入した受講者と、当初、大量購入しておいて少量のポイントを消化したところで中途解約をした受講者との公平を図る必要があるから、「消化済受講料精算規定」は合理的であると主張している。
・そして、以下のように例示している。同じ200ポイントを消化する場合でも、当初から200ポイントだけ購入した者は、ポイント単価1950円、総額39万円で受講することになるのに対し、当初600ポイント購入して200ポイント消化後に中途解約する者は、ポイント単価1200円、総額24万円が控除されるのみとなり、結果的に割引料金でレッスンを受講できたということになるが、これでは同じポイント分だけレッスンを受講した者の間で不公平を生じる。
  最初から200ポイント購入 200×1950円=39万円
  最初600購入後200で中途解約 200×1200円=24万円 ・・・不公平を生じると主張
・しかしながら、特商法は役務の内容と対価との均衡性についてなんら介入しないから、ある受講者が有利な条件で契約したとして、他の受講者が提案されたポイント単価を容認していたのであれば、法令違反(詐欺・公序良俗違反など)がないかぎり、直ちに同一の取引条件として比較すべき事柄とはならない。

・「大量購入後の中途解約者」の取引と「少量購入者」の取引を比較する場合に考慮しなければならないのは、次のことである。
(i)前払いで支払われる料金は、事業者による英会話教授が着手前であり、仕事の結果に対する報酬としては、収納するに至らない前渡し金の意味合いがあるものであり、事業者が英会話教授をしないこと(中途解約)が確定すれば、その時点で受講者に返還されるべき性質の金銭であると理解される点。
(ii)NOVAが不公平だとして比較する両者は、そもそも前払いする購入額(総額)が大きく異なり、事業者が前払いにより得られる経済的利益には大きな差異があるので、両者の間には明らかに取引条件の差異が存在するという点。
・だから、消化済み受講料精算規定の合理性を論ずるのは筋違いと言わなければならない。
・NOVAには、本件と同様の請求に対し、「消化済受講料精算規定」によらずに、購入時の単価で精算した例があり、この例と本件との不公平のほうがむしろ問題である。
・本件では、ほかに合理的な理由があると認められないから、当該「規定」は受講者の中途解約権の行使を必要以上に制限する内容となっているものといわざるを得ず、無効というべき。

【結論】
受講者に返還すべき額は「310,486円」となる。
 ・787,500円-(1260(税込み)×386pt)=301,140円
 ・VOICEチケット差引額 59,346円
 ・中途解約手数料 ▲50,000円(約款により301,140+59,346の2割(上限5万円))
これに加え、年5分の遅延損害金を支払う。

●結論
NOVAの控訴を棄却する。

     ◇

NOVAの約款には、契約日からの経過日数によって、サービスを受けていなくても、受けたものとみなされるという規定がありました。
これについては、別件の裁判(平成16年7月13日東京地裁判決)で、「実際に提供されていないレッスンポイントを有効期限の経過等を理由に消化済みのものとみなして計算することは許されない」と判断されており、NOVAもこれを受けて、現在では約款の当該事項については無効であると自認しると、判決文の中にありました。

この控訴審判決記事については、さい法律特許事務所の杉浦幸彦先生が判決文をご自身のホームページに掲載してくださり、それを参考に書きました。
こちらのページには、昨年の別件裁判の判決文も掲載されています。

さい法律特許事務所HP
http://homepage2.nifty.com/psypsy/sub3.html

NOVAの控訴審判決

2005-08-18 | 裁判
今年2月17日に、英会話教室NOVAでの中途解約をめぐる裁判でNOVA側の主張が認められず、NOVAは控訴していました。
その控訴審判決が7月20日に東京高裁で出たようなのですが、ニュースサイトや裁判所のホームページなどを見ても、情報が出ておらず、内容が分かりませんでした。

でも本日、消費者(受講者)側の代理人を務めた杉浦幸彦先生が、内容について情報提供してくださいました。
それをご紹介します。

     ◇

・7月20日の東京高裁判決は、NOVAの控訴を棄却した

NOVAは・・・
・地裁判決が数量割引制度を完全に否定するものであると主張した
それに対し、高裁は・・・
・数量割引制度と被控訴人主張の購入時単価での精算とは両立しないものではない
・NOVA約款の消化済み受講料精算規定を無効とすれば当然に数量割引制度の否定に帰着する、ということにはならない
・多くのポイントを購入した上、解約した受講生と、少しのポイントを購入の上、消費し尽くした受講生との不公平さを強調するNOVAの論旨は「筋違い」である
結論
・NOVAの約款は特定商取引法に照らし違法

・それを受けて、NOVAは上告した

     ◇

いかがでしょうか。
地裁判決に続いて、NOVAが完全に負けたようです。結局、最高裁まで行くことになりましたね。
先生も書かれているように、NOVAは他にも訴訟を抱えていて、ネットで検索をかけても、過去の訴訟などいくつか出てきます。
私のブログでさえも、「NOVA 解約」などのキーワードで検索して来てくださる方がほぼ毎日10件ぐらいずつありますので、中途解約などのトラブルを抱えている方が多いのかもしれません。

原判決(東京地裁)については、2月23日の当ブログ記事をどうぞ。
杉浦先生のコメントも下のほうにあります。
NOVA中途解約訴訟の判決は妥当か

追記:8月19日
杉浦幸彦先生が高裁判決をご自身のホームページにアップしてくださいました。
こちらもご覧ください。
http://homepage2.nifty.com/psypsy/sub3.html(さい法律特許事務所HP)

追記:8月21日
控訴審判決についての記事をアップしました。
NOVAの主張、控訴審でも通らず

「5年間ノーワックス」広告に逆転判決

2005-08-13 | 裁判
自動車用コーティング剤の広告で、「5年間完全ノーワックス」などと虚偽の表示により消費者に誤認を与えたことにより損害を被ったとして、ワックス販売会社が起こした裁判の控訴審判決が8月10日に出ています。
原告の主張を認めた一審判決を取り消し、その主張を退ける内容となりました。

     ◇

●当事者
一審(東京地裁)
原告:株式会社ウイルソン(東京都中野区)
被告:中央自動車工業株式会社(大阪府大阪市)

今回の控訴審(知財高裁)
控訴人:中央自動車工業
被控訴人:ウイルソン

●控訴審に至るまでの概要
中央自動車工業は、自動車用コーティング剤「CPCペイントシーラント」(以下、「CPC」)の輸入・販売を行う事業者で、その広告において、次のような表示を行っていた。
「新車時施工 輝きを!5年間保証」
「確実な施工によるテフロン被膜は水洗いなどで長期間落ちることが無くオリジナルペイントの輝きをいつまでも維持させる『5年間完全ノーワックス』という夢を実現したのです」
「新車でCPCペイントシーラントを施工された場合は、5年間保証(新車登録時1年以内なら3年間)もちろん効果は保証期間以上に維持される品質を持っています」

これに対し、ワックス販売会社のウイルソンが、これら表示はCPCの品質・内容を誤認させるものであり、不正競争防止法2条1項13号の行為に該当するとして、これらを記載したカタログの廃棄、販売の差し止め、謝罪広告の掲載、1億1000万円の支払いなどを求めた。

一審の東京地裁(平成16年9月15日)は、ウイルソンの主張を認め、当該表示の禁止、1000万円の支払いなどを中央自動車工業に命じた。
これを受けて、中央自動車工業は即日控訴した。

●控訴審での検討
「施工後5年間、新車時の塗装の輝きが維持される」との表示は、CPCの品質・内容を誤認させるか?
(※ウイルソンは、CPCについて、新車時の塗装の輝きが5年間持続する効果がないとする根拠として、耐候性試験の結果を提出していますが、裁判所はこれについて検討したもののうち、主なものを紹介します)

【甲126試験】
(財)日本塗料検査協会がウイルソンの依頼を受けて、ブランク試験片とCPC施工品3種の試験片について1000時間耐候性試験を行い、光沢度の測定をした。
その結果は、いずれもほとんど差異がなく、当初の光沢度から2分の1以下に低下していることが認められる。(つまり、CPC施工品でも光沢度が維持できない)
▽ブランク試験片 94→38(洗浄後37)
▽CPC施工試験片(10日屋内放置) 94→37(洗浄後38)
▽CPC施行試験片(10日屋内放置+メンテナンスクリーナー使用) 95→39(洗浄後40)

しかしながら、この検査方法は必ずしも適切とはいえない。
・この試験の試験片は、わが国で80年代前半以降、自動車上塗り塗料として使用されていないアミノアルキド樹脂塗料の塗板が用いられている。
・アミノアルキド塗料は、その後使用されるようになった熱硬化ポリエステルや熱硬化アクリルなどに比して劣化しやすい。
・自動車塗装板の上に施工されるCPCの効果を検査するに当たって、そのような現在の自動車に用いられていない劣化しやすい塗料を使用した試験片を用いて実験を行うことは必ずしも適切とはいえない。
・また、CPC施工試験片の具体的な作成手順・方法が明らかでないことを併せ考えると、同試験の結果からCPCの効果を的確に認定することは困難であるというべきである。

【甲168等試験・甲170試験】
上記の点を考慮して、ウイルソンが新たに日本塗料検査協会に依頼して行った試験である。
それによれば、1000時間後の光沢度は、CPC施工品と未施工品とでほとんど差異がなく、いずれも50%前後となっている。
この結果から見る限りは、CPCには塗装面の光沢度の劣化を防止する効果すらないということになる。

しかしながら、この結果には以下の欠陥がある。
・CPC施工試験片でアミノアルキドは平均値70に対し、熱硬化ポリエステルは43と光沢度が著しく劣る結果が示されている。
・熱硬化ポリエステルよりも劣化しやすいとされているアミノアルキドの方がかなり優位にあるというのは通常考えにくいことである。
・この点についての合理的な説明も見当たらない。
・また、この試験では、光沢度が経時的に大きく下落している結果が示されているが、その一方でウイルソンが行った実車光沢度測定報告によると、CPC未施工品4年~10年程度の中古車10台について光沢度を測定した結果、その洗車後の平均光沢度は91.8であった。
・ウイルソンの提出する証拠自体に相互に整合しない結果が現れており、その点についての合理的な説明も見当たらない。
・上記の点からすると、耐候性試験の結果が必ずしも自然条件下における実際の状況の変化と常に一致するとは限らないことが窺われる。

【メンテナンスクリーナー使用について】
・中央自動車工業提出の「乙148試験」は照射200時間ごとにメンテナンスクリーナーを塗布しているので、ウイルソンが行った試験条件とは異なっており、ウイルソンはこの条件設定が不合理である旨主張する。
・しかし、CPCにはメンテナンスクリーナーが付属品として付いており、CPCの従前の販促用カタログでは次のように書かれ、CPC施工後にメンテナンスクリーナーの使用を推奨している。
 「水洗いをしていて落ちない汚れが目立ってきたら早めにボディー全体にご使用下さい」
 「ご使用の頻度は年に2~3回ボディ全体に・・・」
・もともとCPCは付属しているメンテナンスクリーナーとの併用を前提とすることを表示しているといえる。
・したがって、上記試験の条件として必ずしも不合理・不適切なものであるということはできない。
・両社の試験はどちらも、ASTM-G53という同じ規格に従った耐候性試験でありながら、著しく異なる結果が現れており、メンテナンスクリーナーの使用の有無のみならず、それぞれの試験における具体的な手法・条件・試験片の調整等の微妙な違いなどに大きく影響されていることによるものであることを窺わせるものといえる。

【まとめ】
・耐候性試験は、試験方法・条件・試験片の調整などによる影響を受けやすいものである。
・まして、一方において、CPC施工品の光沢度保持率が91.9%であることを示す中央自動車工業側の試験結果がある。
・また、実際にCPC施工から5年経過後の複数の車両の平均光沢度が、93.7%、96.1%という高い数値を維持していることを示す測定結果もある。
・これらに照らすと、ウイルソンの各耐候性試験結果による、新車時の塗装面の光沢度を5年間持続する効果がCPCにはないとまで的確に認定することはできないといわざるを得ない。
・「新車の輝き」が持続しているかどうかということ自体が、多分に見る者の主観によるところが大きく、ある程度の幅を持つものである。
・これらを併せ考えると、本件全証拠をもってしても、「新車時の塗装の輝きが5年間維持される」との表示が虚偽であり、その表示が需要者等に被告商品の品質及び内容を誤認させるものであると認めることはできない。

●結論
ウイルソンの請求する表示の使用差し止めおよび損害賠償は理由がないから、棄却する。

     ◇

地裁と高裁で反対の結果となりました。
新車時にCPCを施工して、メンテナンスクリーナーで一定期間ごとに手入れをしていれば、新車時の輝きが5年間保証されるというもの。
一般的に「5年間保証」などと言うと、いろいろなイレギュラーなケースが出てきて、苦情になることが多いかと思うのですが、この商品はどうなんでしょうか。
私の周りにはこれを施工した人がおらず、実際のところどうなのかが分かりません。

もし、5年より前に光沢がなくなり苦情を言ったとしたら、「あなたのメンテナンスが悪い」と言われてしまったりしないのでしょうか。
5年という長いスパンであること、判決でも言っているように「新車の輝き」とは主観によるところが大きいことなどから、トラブルになるケースも多いのではないか、と気になります。

報道によれば、ウイルソンは上告するようです。
ちなみに、ワックス販売会社は「ウィルソン」ではなく「ウイルソン」です。(イが大きい)

H17.8.10知財高裁 平成17(ネ)10029等 不正競争民事訴訟事件(最高裁判所HP)