goo blog サービス終了のお知らせ 

失われたメディア-8cmCDシングルの世界-

50円とか100円で叩き売られている8cm CD singleを見るとついつい買ってあげたくなることはないか。私はある。

「COSMIC SURFIN'」 電気GROOVE 1991年

2008-03-08 | 黄魔術系
YMO、初期の代表曲。いろいろあるから駆け足で。

作曲:細野晴臣

初出はオムニバスアルバム『パシフィック』(1978)。1978年は4月に『はらいそ』、11月にYMOの1stがリリースされている。その間(6月)に出た「コズミック・サーフィン」は、トロピカルとテクノの中間、といった印象。YMOヴァージョンよりゆったりしたテンポで、サウンドは確かにテクノなんだけど、フュージョン寄りに聴こえる。そのアルバムは持っていなかったが、『HOSONO BOX 1969-2000』(左上)で聴くことができた。本当に有用性の高いボックス。重宝してます。

そして、YMO。上列に並べた3アルバムに収録。
左から、1st『イエロー・マジック・オーケストラ』のオリジナル日本盤(1978)&USミックス盤(1979)、ライブ盤『公的抑圧~Public Pressure』(1980)。

1stの日本盤は4分51秒で、US盤は4分29秒とアウトロが少し短くなってるが、まあほとんど同じ。ギターは高中正義。いわゆる「テケテケ」もあり、サーフミュージックのパロディ的な側面が強調されている。打ち込みのように聴こえるドラムは、高橋幸宏が人力で叩いているんだな、これが。

『公的抑圧』には79年8月にL.A.のGreek Theatreで行われたライブが収められている。契約の関係で渡辺香津美のギターが一切カットされているのは有名な話。初めて世界に出たYMOの、勢いのある演奏が楽しめる。これとまったく同じ音源が、大ヒットシングル「ライディーン」(中右)のB面にも収められていた。

下列左から2番目が『FAKER HOLIC』(1991)。当時「奇跡のリリース!」と騒がれたのは、『公的抑圧』でカットされた渡辺香津美のギターが復活していたから。個人的には騒ぐほどのギタープレイだとは思えないのだが…海外では圧倒的にウケがよかったらしい。2枚組で、DISC 1が[LONDON, PARIS SIDE]、2が[NEW YORK SIDE]。それぞれに「COSMIC SURFIN」が収録されている。DISC 1は1979.10.24のLONDON, VENUEで、DISC 2は同年11.6のN.Y. BOTTOM LINEでのライブである(『公的抑圧』のヴァージョンとは重なっていない)。ギターがリズムを刻むと、なんとなく(それが渡辺香津美であっても)ロックぽく聴こえるものだ。このアルバムのライナーには、SPECIAL THANKSとして砂原良徳の名前が載っていたりする。

もういっこライブ。左下のビデオ(VHS)『ウィンターライブ'81』。
『BGM』『テクノデリック』(ともに1981)リリース後の国内ツアーを収録した映像。本編はすべてこの2枚のアルバムからの曲が演奏され、最後にアンコールで「コズミック・サーフィン」。昔聴いたときはえらく過激な演奏に思えたが、今回久々に見たら、割と普通だったな、という感想。

その後、発掘されまくった音源たちは追いかけていない。大村憲司が参加した2度目のワールドツアーのCDくらいは買うべきだったかなあ。


ここからは、うちにあったカヴァーを。

ダルマが三つ並んでいるジャケが、今回の8cm。電気グルーヴの(単独名義では)デビューシングル。その前にはTMNとの競演盤がある。

①MUD EBIS ~800YEN MIX~
作詩・作曲:石野卓球
ナゴムの残り香あり。

②COSMIC SURFIN' ~Live at Automatic theatre L.A.~
同じ年(1991年)にリリースされたYMOのライブ盤『フェイカー・ホリック』にちなんだカヴァーということで、擬似ライブ(レイヴ?)。なんだかハードロック調のギターで奏でられるコズミック・サーフィン。

定価800円、中古で105円。
裏は3人の顔写真。瀧の額には「祝756号」の文字…

同年のアルバム『UFO』(すぐ下)には別ミックスというよりは別ヴァージョンが収録された。「COSMIC SURFIN'(Ecstasy bathroom mix)」はその名のとおり、終盤にシャワーを浴びながらの鼻歌でコズミック・サーフィン。135BPMとのこと。

その右下の3枚組み力作コンピ『イエローマジック歌謡曲』(2005)には、コスミック・インベンションによるカヴァーが。なんと詩が付いてる(作詩は近田春夫!)。中学生バンドとしてYMOの前座を務めたこともあったコスミック・インベンション。この1982年シングルの時点でも当然学生さんたちだったはずだが、妙にこなれた女性ヴォーカルがまったく若さを感じさせない。頭の「♪キラキラキラキラ~ショワショワショワショワ~」で脱力…近田さんの思う壺か。

右下、The TOY BOX『Acoustic YMO』(2005)。タイトルどおり、生楽器によるYMOの1st(日本盤)のフルカヴァー。目玉はなんと言っても「シムーン」と「マッド・ピエロ」で細野晴臣がヴォーカルをとっていること(オリジナルでは細野さんは歌ってないからね)だが、企画のねじれ具合にまず感動する。「コズミック・サーフィン」のピュンピュンいう電子音も生楽器で再現してるし…非電子楽器でここまでやるか!という可笑しさが最も顕著なのは最初の「コンピューター・ゲーム」かもしれない。

「コズミック・サーフィン」という楽曲自体にそれほどの思い入れはないものの、ここまでまとめて音源を聴いてみると、頭の中がテクノで埋め尽くされていくのが分かった。カヴァー曲を選ぶ際、卓球・まりんが「ともにどちらからともなく曲名が挙がった」というエピソードもなかなか味があるな。



コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「夢ロケッツ/バンビDO!」 ... | トップ | 「T・レックス ベスト」 T.... »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (石ばし)
2008-03-08 17:15:50
並べてみるとありますねー。
前に自分のブログにも書きましたが、YMOの1stに入っているヴァージョン、最近になって私的再評価中です。

それにしても、電グル「MUD EBIS」がひと言で済まされているのがちょっと可笑しいです(笑)。まあ記事のテーマがC/Wの方ですからね。ちなみに僕は「MUD EBIS」好きです♪
返信する
ははは (nakamura8cm)
2008-03-09 10:32:27
「MUD EBIS」の扱い、雑ですみません(笑)
じつは「コズミック・サーフィン」より「♪ドラ息子 ダメ息子~」のほうが耳に残って困るんです!卓球の、あの妙に流暢な歌い方って絶対CMソングに向いてると思いますね。刷り込み能力高いよー

返信する

コメントを投稿

黄魔術系」カテゴリの最新記事